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開成への国語  あの日のあなたがここにいる  松村栄子  ━001にやさしいゆりかご━ 完

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少女剣士、ぐずの肥満児、失恋、ゲーム、大学時代、永遠の仲間

 それはわたしにしても同じことだ。どんなに一生懸命稽古しても、君津さんの目に留まることはない。彼が好むのは、剣道ではなくお茶とかお華とかをやるような女の子だ。彼がすきなのは三年生の誰々だと、妹の気持ちも知らずに能天気な兄が教えてくれていた。クラス委員をしているそのひとは知的で落ち着いた雰囲気を持っていて、実際にはピアノとバレエを習っているそうだけれど、たしかにお茶やお華も似合いそうだった。あんなひとと比べてたら、わたしなどは棒を振り回すただのガキ大将だ。君津さんに近寄っていくにもチャンバラで切り結ぶ以外に方法がない。

 すると、いまさらながらに自分の立場がよくわかった気がした。それまで、わたしは何でもしゃにむに我を通せば思うようにならないことなどないと思っていた。田辺にはそういう強い主張や自尊心や意地のようなものが欠如しているのだと思っていた。たしかに君津さんには届かないが、少なくとも自分は田辺よりは優秀な人間であり田辺よりは世界の中心に近い場所にいて、彼を保護してやるのは余裕からくる慈悲心だと思っていた。でも気づいてみれば、田辺もわたしも大した違いはなかった。好きなひとに好きだと堂々と言えるだけのものを己に備えておらず、駄目だとわかっていてもなお告白するだけの勇気などもない。

問 「それはわたしにしても同じことだ」とありますが、どんなことが同じなのですか。

問 「彼を保護してやるのは余裕からくる慈悲心だと思っていた」とありますが、「余裕からくる慈悲心」ではなく、何だったのですか。

e:「慈悲心」とは?

F:「苦しみ悩む者をあわれみ、いつくしむ心」ですね。

e: 「慈悲心」ではなく、何だったのか?

F: 「あわれみ」などでは決してなかったのだと思い直している部分に着目すればいいのです。。

e:高岡は田辺のことを

F:「強い主張や自尊心や意地のようなものが欠如しているのだと思っていた」

e:「少なくとも自分は田辺よりは優秀な人間」

F:であると感じていました。

e:田辺より高い立場から、

F:田辺をあわれんでいるのだと信じて

e:疑わなかった?

F:ところが、「わたしの秘かな憧れ」を

e:「田辺に見透かされている」

F:ことを知り、しかも、「同病相憐れむといった心持ちか、あるいは武士の情け」

e:高岡のことを口に出してからかったりしなかった

F:田辺を見直していますね。

e:好きな人に相手にされず

F:告白する勇気もなく

e:すきな相手の理想からほど遠いという点では

F:「田辺もわたしも大した違いはなかった」ことに気づくのです。

e: 結局、高岡は田辺を「あわれんで」「保護」していたのではなく

F: 自分自身と似たような痛みや欠陥をもっている田辺だからこそ

e: 「保護」していたのだ?表面的には正反対に見えるかもしれないが・・・

F: そうですね。仲間意識に近いものからきた

e: 同じ痛みを持つ者をかばおうとする?

 「それに、ぼく、もうすぐ転校するし」

 わたしはゆっくりと首を回して彼を見た。

 「どこに?」

 「東京」

 「そうか」

 わたしはなんとなく道の端にしゃがみ込んだ。目の前を川が流れている。水量は少なく、乾いた土手には手を切りそうな薄の葉が揺れている。そんなものを眺めながらしばらく黙っていた。

問 「目の前を……揺れている」とありますが、この表現から「わたし」のどのような気持ちが読み取れますか。

e:【表現から読み取れる気持ち】を問う設問ですか?

F:平成4、7、9年に出題されています。

e:【表現の効果】や【表現の理由】とは違いますな。

F:【気持ち】に限定して答えさせる問題です。

e:「心情」というのは?

F:登場人物の言動からだけでなく、

e:”情景”からも判断できる?

F:表現と”対比”させて考えるのがポイントです。

e: これはなかなか手強い問いですね。麻布によく出題される問題でしょ!?

F: 麻布に限りませんが・・・・・・

e: これが解けないと・・・いわゆる”合否問題”でしょう?

F: この問題を征すれば

e: 物語文を制し

F: 入試を征する!?

e: ところで、「川の流れ」は?

F: 「目の前に川が流れている」から判断します。

e:つまり、どういうことですか?

F:「川の流れ」を「時間の流れ」ととります。

e:なるほど・・・それで?

F:長文の最後の文章である点

e:それと、田辺が「転校する」ことを聞いた直後の表現であることからも?

F:今までの時の流れを振り返っていると考えるわけですね。

e: 次に「水量は少なく、乾いた……」は

F: 田辺とどんな付き合い方をしてきたか、というのがヒントですね。

e:自分と実は同類であったことがわかった田辺とは

F:本当の付き合いをしてこなかったのではないか・・・

e:誤解の多い?

F:底の浅い付き合い方をしてきてしまったんではないか・・・

e: さらに「手を切りそうな」「薄の葉」は?

F: 「薄の葉」は何でしょう?。

e:もしかして、田辺と別れることへの感傷?”手を切る”?”別れ”?

F: そして、「後悔」「さびしさ」を頭に置きながら、どうして後悔するのか、どうしてさびしいのか?

e: 文章の最後の方をうまくまとめていけばいいんですかね?

F: 心情というのは登場人物の言動からだけでなく、情景からも判断できるとさっき述べました。

e: 表現と対比させて考えるのがポイントも。

F: ところで、”薄”の花言葉は「心が通じる」だそうです。

e: 枯尾花

F: 「山は暮れて 野は黄昏の 芒かな」

e:与謝蕪村?

F: 幽霊の正体見たり枯れ尾花

e: 高岡は幸が”薄”い?

F: もかけてますかね???

e: とにかく”別れ”と”後悔”は

F: ”つきもの”ということで……

松村栄子 ━━001にやさしいゆりかご━━

学校生活はまるでゆりかごの中にでもいるようだ。いろいろな人が許してくれる。学校の中は変に平等で、私たちはどんなことでもお互い言い合える。ただ、ひとたび、学校の外の世界に出たら、どうなるだろう。突出した能力のあるものは、自分の能力を上手く使い、上手く世の中を渡っていく。そうでない人間はなんとか自分と世の中との折り合いをつけて、「なんとか」生きていく。わたしがこの小説を読んでいて1番感じたのは「特別」じゃない人間の哀しさだ。才能は努力や誠実さを、時にいとも簡単に飛び越えてしまう。それは理不尽にさえ見えるけれど、でも、わたしは「あきらめる」ことを知っている人間を、愛おしいと思う。たとえ特別な才能には恵まれなかったとしても。

松村栄子━001にやさしいゆりかご━

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2016年 国語記述 ラストスパート生 限定募集

秋は中学入試の合否を決する”天王山”ー秋を制する者は入試を征するーと言われる所以です。

 秋は中学入試の『合否』を決する゛天王山゛-秋を制する者は入試を征するといわれる所以です。秋といえば、言わずと知れた徹底した志望校対策に尽きます。と、言っても第2、第3志望校対策も平行して同時進行しなければなりません。その上、最終的な志望校決定の目安になる大手進学塾の合判や学校別合判テスト対策も必要です。しかし、自ら進んでそれらを完璧にやりこなすことはなかなか至難です。だからと言って、塾もそんなにあてにはできません。それらの対策を個人別にはやってくれないからです。秋-最後の追い上げ-ここで、プロチュータの出番です。その効果のほどは絶大です。なぜなら、マン・ツー・マンによる個人対応で上記の対策に対してフォローできるからです。座右の師=プロチュータ-それも、20%の合格可能性を80%にしてしまう゛ミラクルチュータ゛を持つ-これが合格への近道だと断言できます。志望校合格のカギ、それは、徹底した①本命校対策②押さえ校対策③学校別合判対策ができるプロチュータの存在です。キー・ワードは゛一石(師)三鳥(対策)゛!!そして、この秋、ライバルに決定的な差をつけ、゛合格゛の2文字を勝ち取りましょう。

 「国語記述」を苦手とする生徒が目立って多くなってきています(朝日新聞平成8年11月10日付)。その理由は今までの進学塾では決定的な学習対策がなされていないからです。
 ご存知のように、ほとんどの進学塾の場合、来る日も来る日も「切り張りプリント」と「テキスト授業」です。これでは本番に通用する受験生が育つわけがないでしょう。
 そのため、最近の入試では特に御三家・筑駒・駒東中では「国語記述」で合否が決まるとさえ言われています。他の教科では差がつかないからです。また、入試問題では「記述式」が多くなって決定的に差がでてしまうからです。
 「国語記述」を伸ばすにはどうすれば良いのでしょうか?
 それは読書・作文だと言われ、それに反対するつもりはありませんが、入試まであと5ヶ月。もっとすべきことがたくさんあるはずです。
 それは、たとえば、開成中なら「論理性と物語の本質」を、麻布・武蔵中なら「物語の本質」を、筑駒・灘中なら「論理性と詩の本質」を徹底的に理解することです。そこから明快な解答が導かれるのです。それを理解した地点で問題を眺めてみると、こんな易しい問題もないことに気づくはずです。
 すると、従来、たとえば御三家の国語は6割とれれば合格点といわれてきましたが、私たちの指導からすれば8~9割以上とれても不思議ではないことになります。
 御三家レベルの入試はどんな生徒も解いてみなければわからない不確定のものですが、国語における、この2~3割アップが『合格』をより確実なものにするでしょう。難関校では、誰しもよくできる算数や他の教科では差がつきません。指導法が、確立しておらず、知識のつめこみが役に立たない国語記述で合否が決まるのです。
 ここでは徹底した発想力・思考力の養成と学校別対策集中指導で他の受験生と国語記述力で決定的な差をつけます。
 国語記述は短期では差がつかないとあきらめている人も多いでしょう。なるほど知識、特に漢字の学習ではそれが言えるかもしれません。しかし、これだけ毎年傾向が同じ入試問題では対策の方法というものが確実にあります。
 それは感受性とか直観力という曖昧な問題ではなく、あくまで科学的に分析できるものであり、考え方と発想の方法を教えることで短期に習得できるものです。それぞれの進学塾が各学校の入試問題に対する模範解答を出していて、それを見ると各進学塾のレベルが手にとるように分かってきます。
 とりわけ、御三家の国語問題に対する「記述解答」には驚かされます。これでは合格できないであろうと思われるようなもの、あるいは、逆に子供が到底書けないような高度なものが堂々と出されています。ここでは、子供が考えられ、書ける。しかも、合格し得るレベルで指導します。

『開成・麻布・武蔵・駒東・筑駒・慶應・栄光・聖光・灘中への国語』・・・・・・・小6

個人別「オリジナルカリキュラム」に基づき、「カルテノート」「カリキュラムレコード」を作成。万全のフォロー体制。

・開成中への国語記述・・・・・・・・・・・・論説文・物語文の徹底解読と論理と発想力の特訓

・麻布・駒東・武蔵・栄光中への記述・・・物語文の本質の徹底解読と心理分析の特訓

・慶應普・中・藤沢・聖光中への国語・・・論説文・物語文と随筆文の徹底解読と語彙力・文法の特訓

・筑駒・灘中への国語記述・・・・・・・・論説文・随筆文・物語文・詩の徹底解読と論理的思考力の特訓

・櫻蔭中への国語記述・・・・・・・・論説文・随筆文の徹底解読と論理的思考力の特訓

[募 集]・・・若干名 [入会金]・・・10000円 
[期 間]・・・2017年1月末日
[1時間]・・・10000円(教材費・交通費込)  
[教 材]・・・『実物大過去問題(平成元年~28年)・2017年予想問題』  

・早中・早実・早高・海城・巣鴨・桐朋・渋幕・学習院・暁星・成蹊・西大和中への国語・・・・・・・小6

[募 集]・・・若干名  [入会金]・・・10000円 
[期 間] ・・・2017年1月末日
[1時間]・・・7500円(教材費・交通費込)  
[教 材]・・・『実物大過去問題(平成元年~28年ー早高・西大和中は別)・2017年予想問題』)

・開成・麻布・武蔵・駒東・筑駒・慶應・栄光・聖光・灘・櫻蔭中への国語(基礎)・・・・・・・・小5

[募 集]・・・10名 [入会金] ・・・10000円 
[期 間]・・・2018年1月末日
[1時間]・・・7500円(教材費・交通費込)  
[教 材]・・・『学校別記述秋期オリジナルテキスト(基礎)』

 ここでは、読解問題を一律にする指導から脱却し、国語学習の理想環境を設定して、あらゆる教科の基礎である語彙力や考える力そのものの向上を目指すとともに開成・麻布・武蔵・駒東・慶應・筑駒・灘中「合格」に必要な「国語基礎力」を養成します。
 総合的な「受験国語力」をじっくり熟成する上記校受験のための個人指導です。
 「読解、記述指導」と「文章をまとめる力」の徹底指導を行い、本物の「受験国語」とあらゆることの基礎である「言葉で考える力」と「語彙力」を根本的に養成します。

※ご指導までのプロセス
  
①お電話でお問い合わせ下さい。ご面談の日時を決定します。
②ご面談(御父母とお子様)
③ご入会のご検討
④ご入会時に指導曜日・時間を決定します。
⑤「指導契約書」の作成
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メモ


慶應への国語  アルはその日、夢の中で、母親の声を聞いた  辻仁成  ━ミラクル━ 1

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辻仁成━ミラクル━

本

僕の名前はアル。ジャズピアニストのパパと南に向かって旅を続けている。僕はママを知らない。だけど、きっとどこかにいる。いつもどこでも僕はママを探しているんだ−。大人になってなくしてしまったものをもういちどみつめてみませんか?すっかり大人になってしまった、かつての子供たちへ贈る、愛しくせつない物語。「BOOK」データベースより
「MARC」データベースよりピアニストのシドは、死んだ妻が今も忘れられず、妻が残したただ一人の息子・アルとすさんだ生活を送っていた。アルは母親が生きていて、雪が降ったら帰ってくると信じていた。そして30年ぶりに雪が降り・・・。

 その夜、アルは父親が返ってくるのをねずにじっと待っていた。いすにこしかけ、もう何時間もその姿勢をくずしてはいなかった。目はずっとドアを見すえている。父親を問いつめるつもりなのである。キキ(アルの友だち)が言っていたことがアルの頭の中で反響していた。『君はパパにだまされているわ。かわいそうだけど、君のママはもう死んじゃってるわね』アルはその言葉を思い返すたびに胸のおくが重たくふさがっていくのだった。そして小さな心を一生懸命保ちながら、アルはドアをにらみつけていた。

 ダダとエラソーニも心配して部屋のすみからようすをうかがっていたが、とても声をかけられる感じではなかった。柱時計の砂を刻む音だけが、室内にひびきわたっていた。

 十二時を過ぎたころ、父親は帰ってきた。かなり酔っているようすだったが、アルは容赦するつもりはなかった。

問 「アルはドアをにらみつけていた」とありますが、このときの「アル」の気持ちを説明しなさい。

問 「柱時計の砂を刻む音だけが、室内にひびきわたっていた」とありますが、この一文はどのようなことを表していますか。

「アル。どうした、まだねてなかったのか。今日は少しおそくなるって言っといただろう」

 アルはじっと父親をにらみつけていた。「パパ、パパはぼくにうそをついている?」

e:麻布にしてはめずらしく最近のものでしたよね。確か。

F:2年前ですね。平成5年、1993年に新潮文庫にでたばかりです。

e:受験生としては、まさか?!

F:でしょうね。それより、親御さんの方がびっくりでしょうね。

e:ということは、来年あたり、゛天地明察゛とか?!

F:まさか?!ただ、夏前後にだされる

e:新刊本には要注意です?

F:あまり、麻布の受験生は気にしないでしょうね。

e:昔のものが出たり、

F:最近のものが出たりで

e:『模試』を作問するのは大変でしょうね。

F:『国語』は。

e:辻仁成の「ミラクル」はいつ、どこの学校に出てもおかしくない?

F:『筑駒・駒東』3校・・・

辻仁成の「ミラクル」。大人の童話って感じでほんわかできる素敵な本でしたよ。

アルが母親を探す過程を通してだんだんと成長していきます。アルの母親はアルを産んだときに亡くなってしまっているので、どこを探してもみつからないのですけど、父親の「雪が降る頃に母親は帰ってくる」という言葉を信じています。アルは「母親とは許してくれる存在だ」というヒントを手がかりに母親を探しつづけます。公園や街の通りで母親ぐらいの年齢の女性に「僕のママじゃないよね?」と聞いてまわります。その過程で記憶をなくしていくことが大人になることだ、とかシステムや時間に流されていくのが大人になることだとかってことを知識として得ていきます。

しかし、アルはそういった大人になることを拒否します。そしてクリスマスの日、南の街に30年ぶりの雪が降ります。その夜に奇蹟が起こります。誰にも止めることのできない奇蹟。会いたいと信じ続けている人にしか見えない奇蹟が二人の前に起こります。

とっても気持ちが暖かくなる物語でした。疲れているときに読むととってもいい気分になれる本ですね。プロローグのところで「僕」の言うセリフがあります。

人との会話で待つことがどれほど大事なことか、僕はそれだけは心得ていた。

辻仁成:ミラクル

  • 辻仁成:ミラクルの画像

辻仁成 ━ミラクル━

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国語が苦手で、慶應義塾普通部・慶應義塾湘南藤沢中等部・慶應義塾中等部を目指す君へ

慶應義塾普通部・・・あこがれの「慶應ボーイ」になるために、「算数」と「国語」ではミスをしない”丁寧さ”が求められ、机に向かっての「お勉強」だけではない、様々な”事象”に対する興味関心、要するに”大人っぽさ”が「理科」と「社会」では必要だ。「うん?それって、俺のこと?」我と思わん者、いざ”日吉”へ!

【ポイント】 「記述力」というより”発想力”重視。決め手は初見で文章全体を掴む”把握力”とテキパキと問題を解いていく”情報処理力”。探さなければならない範囲が広く、文章の全体像が掴めていないと時間を浪費してしまいかねない「ストッパー問題」の類いが出題されることもあるから注意が必要だ。「40分」という時間を考えると高い処理スピードが求められるところが他校にはあまり見られない特徴。

慶應義塾湘南藤沢中等部・・・神奈川の共学校の中で圧倒的な人気を誇る難関校。例年のブレのない良問を出す「算数」と、ユニークな発想問題を出す「国語」。「理科」と「社会」は好奇心を持って”事象”を観察する”眼”が求められる。「学力(基礎知識の定着)」+「思考の柔軟性」で勝負の学校だが、問題の難易度はあくまで標準レベル。いかに取りこぼしを少なくできるかが「SFC」攻略の秘訣。

【ポイント】 ”ひらめき”重視。「問題」を見た瞬間に閃かないと、いくら時間をかけても時間内に思いつかない可能性のある難問も。制限字数内で採点者を納得させる精緻な、的確な「表現力」が問われる。「45分」で制覇するためにはミスを犯さない”注意深さ”と、日頃からの「記述」をいとわない学習が必要だ。「記号選択」と言っても、内容の正確な把握が要求されており、ここを慎重にクリアしないと「合否」の”明暗”を分ける結果となりかねない。設問=解答数も少ないので、ミスひとつが致命傷になることは確かだ。「作文」の”出来不出来”が直截に「合否」に反映されてしまう年もあるから要注意。

慶應義塾中等部・・・10年間、いや一生「慶應義塾」の一員となることもできる”憧れ”の学校。3年間の共学生活と、3年間の男女別の高校生活の両方を経験できるのも素晴らしい。「3日」の入試に集まる女子受験生のレベルは非常に高く、9割の高得点でも”合格確実”とは言えない。「一次合格者」に課せられる「面接・実技」も重視。

【ポイント】 中等部の”真骨頂”は「一般常識問題」。単なる受験勉強ではなく、幅広く「日本文化」に親しむ”教養人”であることが大事。日頃、どれだけ「大人の文章」に接してきたか。「失点が明暗を分ける」構図は不変。「何でもありの意表をつく問題」で受験生を戸惑わせる。難攻不落の「知識」。「知っていて、いったい・・・」と、、野暮なことは言わずに、涼しい顔で正解していく「教養人」こそ、求められている。「教養人」としての”たしなみ”が試される中等部。「読解」で高得点を稼いだ後、”教養”が問われる「知識」、”大人度”が試される「漢字」で得点を重ねることが”合格”の鉄則。

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・慶應義塾普通部への国語・・・・・・・・・・・・論説・物語・随筆文の徹底解読と論理と発想力の特訓

・慶應義塾湘南藤沢中等部への国語・・・・・物語・随筆文の本質の徹底解読と発想と表現力の特訓

・慶應義塾中等部への国語・・・・・・・・・・・・・論説・随筆文の徹底解読と語彙と文法の特訓

[募 集]・・・若干名 [入会金]・・・10000円 
[期 間]・・・2017年1月末日
[1時間]・・・10000円(教材費・交通費込)   
[教 材]・・・『過去問題と2016年予想問題』『慶應への知識(全6冊)』

慶應義塾普通部・慶應義塾湘南藤沢中等部・慶應義塾中等部への国語(基礎)・・・・・・・小5

[募 集]・・・若干名 [入会金] ・・・10000円 
[期 間]・・・2017年1月末日
[1時間]・・・7500円(教材費・交通費込)  
[教 材]・・・『慶應への国語オリジナルテキスト&プリント(基礎)』『慶應への知識(全4冊)』

 ここでは、読解問題を一律にする指導から脱却し、国語学習の理想環境を設定して、あらゆる教科の基礎である”語彙力”や”思考力”そのものの向上を目指すとともに慶應義塾普通部・慶應義塾湘南藤沢中等部・慶應義塾中等部受験に必要な「国語基礎力」を養成します。
 総合的な「受験国語力」をじっくり熟成する慶應3校受験のための個人指導です。
「読解と記述指導」と「文章をまとめる力」の徹底指導を行い、あらゆることの基礎である言葉で考える力と語彙力を根本的に養成し、本物の「慶應国語」を目指します。

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辻仁成━ミラクル━

本

となりのトトロ。子どもの頃、誰にもある、不思議な出会い!隣りのエラソーニ。となりのダダ。
MIRCLE−大人になって忘れてしまったものを探してみませんか?あなたの心を開くとっておきの物語

 「アル。どうした、まだねてなかったのか。今日は少しおそくなるって言っといただろう」

 アルはじっと父親をにらみつけていた。

パパ、パパはぼくにうそをついている?

 かくしごとを持っているシドはアルの真剣な質問におどろき、あたふたとしてしまった。

 「何だ、いきなり何を言うんだ」

 アルの耳のおくでは、キキの言葉がまだ消えずにひびいていた。アルは今日こそにげずにつきつめる決意だった。

「ママのことだよ。ママは本当に生きているの?ぼくはそれが知りたいんだ。パパ本当のことを教えてよ」

「何を言うんだ今ごろ。どうした何があった」

「いろいろだよ。ぼくだって少しずつ大人になっているんだもの。毎日、いろいろなことがあるんだ」

 シドはずっとこの日が来るのをおそれていた。いつかは本当のことをあるに言わなくてはならないこともかれはわかっていたし、もうアルだってだまし通せる年齢ではなかった。しかし、息子に母親の死を告げるということは、同時に自分もそれを認めなくてはならないということだった。かれはいつまでも、酒でごまかし、その事実からにげていたかった。そしてかれはまたどうしようもないうそをついてしまうのである。

「生きている」

「本当なんだね、ぼくはパパを信じていいんだね」

「ああ、信じるんだ。いいか、パパをずっと信じるんだ」

 シドの顔は赤く染まり、血管がうき出ていた。アルを見ることのできない目はふせていて、なみだでぬれ始めていた。

 「 うん、そうするよ。ぼくはママに絶対会うんだ。会いたいって願い続ければ必ずいつか会えるもんね。ママは生きているんだもん、会えないわけないよ」アルは下を向いている父親の顔を見つめて、しかし無表情にそう言った。それは大人びた顔だった。

問 「うん、そうするよ。……会えないわけないよ」とありますが、この「アル」の言葉は、「アル」のどのような気持ちを表していますか。

e:さて、最近の中等部はSFC同様?

F:「文章構造」の理解が設問を”解く”鍵になることがよくあると言われます。

e:「アル」にとって「ママ」が生きていると信じることは

F:幼い子供が「サンタクロース」を信じていることと

e:同じ?

F:”以前は”ごく自然なことであったろうと推測できますね。

e:ところが、「キキ」のセリフによって

F:信じていたものが・・・

e:まさに”危機”にさらされる!?

F:「アル」自身が言っているように、「ぼくだって少しずつ大人になっているんだもの」

e:「少しずつ大人になっている」?

F:また、「ダダ」と「エラソーニ」の間で交わされる”セリフ”もこの物語の構造を理解する上で

e:非常に重要な部分になる?

F:少しずつ”大人”になっている「アル」は「ママ」の不在という”現実”

e:ママの不在=母の死ということですか?

F:を受け入れようと心の準備をしているんですね。

e:ママの死の”受容”?

F:母の死を認めて受け入れる

e:つまり、”認容”?

F:心の中で”葛藤”を繰り返しつつ、

e:やがて”ママの死”を”現実”のこととして

F:紛れも無い”事実”として受け入れる

e:この物語のラストシーンで「母親の声を聞」き

F:「一番最初の記憶」に辿り着きますね。

e:後半、、「ダダ」と「エラソーニ」が出てこない。

F:なぜ?

e:30年ぶりに”雪”が降りました!

F:”雪”の意味、果たしている役割など

e:考えてみるのも面白い?

F:かも?

とても大切な人がいるとして、その人の記念日に贈るべき一冊を聞かれたら、辻仁成「ミラクル」を迷いなくオススメします。

ジャズピアニストのシドと、その小さな息子、アル。
アルの母親はアルの出産と引き替えに亡くなっていたが、それを信じたくないシドは、アルに小さな嘘をついてしまう。

「ママは生きている。忙しくて会えないだけだ。雪の降る日に帰ってくる。」
それから二人きりの旅がはじまった。暑くなれば北に、寒くなれば南に。雪を避けるように、シドはアルと旅を続ける。

そんなある日、降るはずのない南の町で、雪が降る
アルがはしゃげばはしゃぐほど、シドの心は暗く沈む。
思い詰めたシドは、一緒にコンビを組んでいる歌手のミナに相談し、
母親を演じてもらうことをお願いするが…。

何かを信じることが難しくなっている。
信じて裏切られることは、やはり辛い。
仮に奇跡がうまれるとしたら、それはきっと形のないものだ。

<オススメ>
-- 信じて傷つき、信じて報われた経験のある全ての大人に

辻仁成 ━ミラクル━

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本

 「さあ、もうねなさい。こんなおそくまで子供が起きていちゃだめだよ」

 シドはそう言うとアルのしりをたたいた。アルは小さく鼻息をつき、こくりとうなずく。

 「うん、そうする。ねえパパ、明日はクリスマスイブだよ。知っていた?明日の夜はサンタクロースがやって来る日だよ」

 シドは顔を上げる。

 「サンタクロースはぼくのところにも来てくれるよね」

 シドは低い声で「もちろん来るさ」と力なく答えた。

 「プレゼント何がほしいんだ。パパがサンタクロースに伝えといてやるよ」

 シドはアルの心を物で動かそうとした。しかし、アルは首を強くふった。

 「本当、じゃあ、今年はプレゼントはいらないから、ママに一目会わせてほしいって伝えといてほしいな」アルはそう言うと、すばやく立ち上がり、「おやすみなさい」といって寝室に消えた。

 アントニオ・エラソーニとダダ・ジョナサンは、落胆する父親の背中を見つめながら、静かにかべの中へと消えていった。

問 「本当、じゃあ、……伝えといてほしいな」とありますが、この「アル」の言葉は、「アル」のどのような気持ちを表していますか。

e:四谷の『合判』『合判予備』の問題とかが

F:『開成』や『麻布』にでましたね。

e:”本文”は当然として、”設問”まで”そっくり”!?

F:あれからサピが四谷の『合判』を受けるようになったとか。

e:ならなかったとか・・・最近は日能研の上位のお子さんまでが・・・で、『合判』の受験者数も増えた?

F:それは今は昔の話です。さて、作家では辻”仁成”を゛ひとなり゛と読ませ

e:ミュージシャンとしては゛Jinsei゛?

F:で゛Jinsei Songs゛ですか!あと、監督名としてかな。

e:合わせて゛Jinsei TSUJI Hitonari゛IN 人生 辻 人成でしょうか?

F:1959年日野市生まれですね。東君平という名の童話作家の叔父がいますよ。

e:どうりで文才ありですか?もう50代でしょう?

F:福岡、帯広、函館と転居と転校を繰り返してます。

e:Jinseiも?それは小説の舞台からわかりますね。

e:さて、「アル」は「ママに一目会わせてほしいって伝えといてほしいな」なんて言ってますけど・・・

F:その前に、このように言ってますね。

 「 うん、そうするよ。ぼくはママに絶対会うんだ。会いたいって願い続ければ必ずいつか会えるもんね。ママは生きているんだもん、会えないわけないよ」アルは下を向いている父親の顔を見つめて、しかし無表情にそう言った。それは大人びた顔だった。

e:そのときの「アル」の”無表情”で”大人びた顔”に注目ですか?

F:”プレゼント”の代わりに

e:「ママに一目会わせてほしい」

F:「 うん、そうするよ。・・・・・・会えないわけないよ」のセリフとは裏腹に、「アル」の表情には

e:パパへの”不信”が表れている?

F:父親への”不信感”を持ちながら

e:”プレゼント”より「ママに一目会わせてほしい」

F:これは父親を”試そう”としたのではないか?

e:「すばやく立ち上がり」「寝室に消えた」

F:会話そのものに皮肉めいた調子は感じられません。

e:で、解答例は?

F:麻布の設問は「選択肢」になっていましたね。

e:参考のために、正解の「選択肢」の内容は?

F:こうです。

 自分を信じろと言うだけではっきりしたことを言わない父親に対して、父親の言葉を信じるしかないと自分自身に言い聞かせるのだが、それでも遠まわしに非難しようとする気持ち。

e:”遠まわしの非難”ね・・・

 高校の教科書にも載ってるので結構みんな知ってると思いますが、文庫本を買って改めて読みました。でも結構短くて教科書に載ってる内容がほとんどすべてです。個人的に、この「ミラクル」を機に俺は辻仁成を結構読むようになりました。「旅人の木」「冷静と情熱の間」「今この瞬間愛しているということ」「そこに僕はいた」などです。
 ミラクルは小説初心者の俺にはマジ読みやすくて一時間ほどで読み終えた。読み終えて感じたことは、アルへの単純な憧れ。俺の座右の銘は「永遠のティーンエイジ」であり、いつまでも子供の頃の感性を持ち続けたいと摂に願っている。アルは多分大人になってもダダとエラソーニが見えていて、母の死をわかってはいるが、自分の心の中で理想の母親像、すべてを許してくれる人として存在している。子供の頃の純粋に物事を見るという感性を保持し続けたのだろう。
 高校の授業の中では、最後にアルは現実をあるがままに受け入れ父への配慮として「お母さんが来た」と言ったって説と、夢の中で母に会えた、もしくは本当に母が来たっていう説のふたつがあったんだけど、今読み直して思うと俺は新たな説を立てたい。お母さんは実際に来た、でもそれはあるの心の中での出来事であってアルもそれをわかってる。でもお母さんは自分の心の中に生きてて常にそばにいてくれるということを思った、っていう説。この結末が俺の理想だからこういうことにしときます。
 ところで辻さんの本は結構ヨーロッパのどっかが舞台となることが多い。ミラクルは場所が限定されてないが出てくる名前からしてきっと欧州。「冷静と・・」はフランスだし「今・・」はイタリア。なんでだろう。そこに何か引かれるものがあるのかな。どちらにしても辻さん作品は結構好きです。って言っても小説初心者の僕にはまだ語る資格はありませんが・・・。今年は小説月4冊以上を目標にがんばります。恋愛系ばっかなのでそろそろミステリーに手をだそうかな。

辻仁成 ━ミラクル━

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本

 アルはその夜、ねむれなかった。キキが言ったことがまだ頭の中から消え去ってはくれなかった。何度も消し去ろうとしたのに、言葉は意味を持ってかれをおさえこもうとした。

 ふと見ると、窓のそばにダダとエラソーニがいる。かれらはじっと、アルの方を見ていた。

 「どうした。ねむれないのかい」

 エラソーニがやさしい声をかけてきた。その横でダダがほほえみかけている。

 「うん、ねむくないんだ」

 二人の幽霊は、窓から差しこむ月の明かりに照らしだされて、すきとおって見えた。

 「ねえ、ダダとエラソーニは、もうすぐぼくには見えなくなるの?キキが言ったように大人になったら見えなくなってしまうの?」

 アルは勇気をふりしぼってたずねてみた。二人の幽霊はおたがいの顔を見合ってかたをすぼめる。

問 「言葉は意味を持ってかれをおさえこもうとした」とありますが、具体的にはどういうことですか。

問 「エラソーニがやさしい声をかけてきた。その横でダダがほほえみかけている」とありますが、なぜ「二人の幽霊」は「やさしい声をかけ」たり、「ほほえみかけ」たりしているのですか。説明しなさい。

 「それは、君しだいだよ」そう言ったのは、ダダ・ジョナサンだった。

 「そう、君が見えなくなっても構わないと心の片すみで思ってしまえば、その瞬間から私たちは見えなくなる」

 そう言ったのはアントニオ・エラソーニだった。アルは首を強く左右にふった。

 「ぼくはいやだよ、二人とはずっと友達でいたい。大人になっても、ずっとぼくのそばにいてほしいんだ」

 「人間は現実の世界でしか生きていけない動物なのさ。子供のころのことはみんな大人になるとわすれてしまうんだ。どんどんそういう純粋な記憶はうすれていってしまうものさ」とダダ・ジャナサン。

 「一番最初の記憶をアルは覚えているかい?」今度はアントニオ・エラソーニが聞いてくる。

 「一番最初の記憶?」アルがふしぎそうに言うと、二人はにこっと笑った。

 「そうだ、一番最初の記憶だ。今現在のアルが覚えている一番最初の記憶を言ってみたまえ」

 ダダがそう言うので、アルは必死に考えてみた。生まれた街のアパートのことを思い出そうとしたが、それよりも前の記憶があるはずだった。どんどん記憶をさかのぼっていったが、なかなか最初の記憶には到達しなかった。

 「どうした?思い出せないのかね」エラソーニが顔をのぞきこんで言う。

 「うん、なんかぼんやりしていて、どれが一番最初の記憶なのかわからないんだ」

 「それはな、つまり現実にふりまわされているからじゃ」エラソーニがそう言った。

 「さよう、人間は現実に生きる動物なのだ。アルがどんどん現実に生きていくにしたがって、私たちの体はしだいにお前にも見えなくなってしまう」ダダは少し悲しそうに言った。アルは目をぱちくりさせた。

 「アルのような子供でさえ、一番最初の記憶がうすれているんだ。アルの父親のような大人たちの記憶はもっとうすれてしまっているだろうよ。大人になるということはそういうことだ」

 「さよう、さびしい動物なのさ、人間は。いずれ、アルも私たちのことをわすれてしまう。アルが一番最初の記憶をすでに思い出せないようにね。これはある意味でしかたのないことだ。そうじゃないと人間は過去に支配されて、未来を求めなくなってしまうからね」

 アルは急に悲しくなって声を上げて抗議した。

 「ぼくはいやだ。二人のことをわすれるなんてそんなことはいやだ。ねえ、ダダ。ねえ、エラソーニ。人間はどうしてそうなってしまうの。一番最初の記憶を持ち続けた人間はいないの」

 「さっきも言ったように、それはお前しだいだ」そう言ったのはダダだった。

 「さよう、感動したことを絶対わすれないように生きていくなら、もしかしたら、私たちは見え続けるかもしれない」そう言ったのは、エラソーニだった。

 「時間や社会の流れに、ふりまわされるような人生を選んだ瞬間から、お前は私たちを見ることができなくなる。しかし、まあ、それも決して悪いことではないんだよ。ふりまわされて生きることもまた一方では真実だ」ダダが言った。

 「さよう、悪いことではない。悪いと決め付けることも悪い。お前は好きな方を選べばよい。誰も強制はしないよ。サンタクロースは存在する、と信じ続けている大人だっているんだ。ほとんどの人間がそれは作り話だと思っているこの世の中でね」エラソーニは言った。

 アルはおどろいた。

 「本当?」

 二人は笑う。

 「数百万人に一人くらいだけどね」

 かれらの笑い声はいつまでも室内にひびいていた。温かい声だった。そしてアルはその豊かなひびきに包まれたまま、いつにまにかねむりについてしまった。

e:芥川龍之介には見え続けたのかな?

F:龍之介の゛眼゛は「子供の眼」だと言われてますからね。

e:晩年、子供たちとたわむてる時の゛眼゛はまさしくそうですね。

F:「感動したことを絶対わすれないように生きていた」んでしょう!

e:ダダ・ジョナサンとアントニオ・エラソーニとたわむれていた?

F:たわむれすぎたかも?

e:龍之介といえば、『煙草と悪魔』でしょうかね。

F:大昔、ヴィアトール洛星中学(現・洛星中学)にでましたよ。

e:芥川は超ヘビースモーカだったですよね。

F:本を読むのも速かったけど

e:煙草を吸うのも?

F:龍之介のエピソードはまたの機会に。

F:平成4年(1992年)の『そこに僕はいた』は平成9年(1997年)『武蔵』にでましたね。

e:「思い起こせば、僕には片足の友達がいた。」ではじまるんでしょう!『東書』の中1に載ってる?

F:゛あーちゃん゛ですね。塾のテキストとか模試によくとりあげられる題材ですよ。

e:ここでもとりあげますか?

F:いずれ、ですね。

e:辻仁成といえば『冷静と情熱のあいだ』!

F:゛Blu゛と゛Rosso゛?

e:尾崎豊?

F:オキーフのイメージですね。

e:端正な絵画と端正な文章で共通?

F:さて、「言葉は意味を持ってかれをおさえこもうとした」とは?

e:具体的にはどういうこと?

F:この「言葉」とは

e:キキの言った「君のママはもう死んじゃってるわね」というセリフ?

F:「意味を持って」「おさえこむ」とはキキの言葉が「頭の中から消え去ってくれな」い状態

e:苦悶している状態?

F:もがき苦しんでいる状態でいることですね。

e:あるいは「意味を持って」しまって

F:「母の死」が紛れも無い事実であるとことが

e:次第に”疑う余地なし”状態になってきた?

F:因みに「赤本」「SAPIX」「銀本」の”解答”

「赤本」 「君のママはもう死んじゃってる」というキキの言葉をみとめたくないのに否定しきれずにいる状態。

「SAPIX」 「君のママはもう死んじゃってる」というキキの言葉を認めたくはないが、否定しきれずに思い悩んでいる状態。

「銀本」 ママは本当に生きているのだと信じようとしても、死んでいるのではという疑いが頭をもたげてくるということ。

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本

 小さな奇跡はアルの心の中に起こっていた。南の街に、奇跡的に降った雪は、アルがねつくまで静かに降り続いた。

 アルはその日、夢の中で、母親の声を聞いた。

問 「アルはその日、夢の中で、母親の声を聞いた」とありますが、この母親の声が「エラソーニ」や「ダダ」の言う「一番最初の記憶」だとすると、今後、「アル」はどのような「大人」になると思われますか。この物語の流れをおさえて、君の考えを述べなさい。

e:「アル」は「現実にふりまわされて」いた?

F:でしょうね。現に、「一番最初の記憶」を思い出せなかったですからね。

e:「母の死」を受け入れるという過酷な”現実”

F:この”現実”を受容してもなお「ふりまわされ」ないで生きていく方法を習得したことで

e:「アル」は「一番最初の記憶」を蘇えらせた、っていうことですか?

F:これは「現実の世界」だけで生きていくのではなく

e:心の豊かな「精神世界」にも生きていくことができる?

F:この体験によって、そういった生き方を身に着け「大人」になっていく・・・

e:まさに、゛Jinsei TSUJI Hitonari゛IN 人生 辻 人成、っていうところでしょうか?

F:以上のように解釈するのが一般的ですね。因みに「K=声の教育社」「S=SAPIX」「N=日能研」の”解答”

「K」 (例) 感動をわすれずに成長し、現実を受け入れながらも現実にふりまわされない大人になると思われる。つまり、エラソーニやダダのこともわすれない大人になれるだろう。

「S」 感動を忘れずに成長し、現実を受け入れながらも現実に振り回されない大人になると思われる。つまり、エラソーニやダダのことも忘れない大人になると思う。

「N」 夢の中で確認した母との最初の出会いをしっかりと心に持ち続け、現実の忙しさの中にあっても、それに流されることなく、「信じる」純粋さを失うことのない大人に成長してゆくと思われる。

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メモ

国語が苦手で、慶應義塾普通部・慶應義塾湘南藤沢中等部・慶應義塾中等部を目指す君へ

慶應義塾普通部・・・あこがれの「慶應ボーイ」になるために、「算数」と「国語」ではミスをしない”丁寧さ”が求められ、机に向かっての「お勉強」だけではない、様々な”事象”に対する興味関心、要するに”大人っぽさ”が「理科」と「社会」では必要だ。「うん?それって、俺のこと?」我と思わん者、いざ”日吉”へ!

【ポイント】 「記述力」というより”発想力”重視。決め手は初見で文章全体を掴む”把握力”とテキパキと問題を解いていく”情報処理力”。探さなければならない範囲が広く、文章の全体像が掴めていないと時間を浪費してしまいかねない「ストッパー問題」の類いが出題されることもあるから注意が必要だ。「40分」という時間を考えると高い処理スピードが求められるところが他校にはあまり見られない特徴。

慶應義塾湘南藤沢中等部・・・神奈川の共学校の中で圧倒的な人気を誇る難関校。例年のブレのない良問を出す「算数」と、ユニークな発想問題を出す「国語」。「理科」と「社会」は好奇心を持って”事象”を観察する”眼”が求められる。「学力(基礎知識の定着)」+「思考の柔軟性」で勝負の学校だが、問題の難易度はあくまで標準レベル。いかに取りこぼしを少なくできるかが「SFC」攻略の秘訣。

【ポイント】 ”ひらめき”重視。「問題」を見た瞬間に閃かないと、いくら時間をかけても時間内に思いつかない可能性のある難問も。制限字数内で採点者を納得させる精緻な、的確な「表現力」が問われる。「45分」で制覇するためにはミスを犯さない”注意深さ”と、日頃からの「記述」をいとわない学習が必要だ。「記号選択」と言っても、内容の正確な把握が要求されており、ここを慎重にクリアしないと「合否」の”明暗”を分ける結果となりかねない。設問=解答数も少ないので、ミスひとつが致命傷になることは確かだ。「作文」の”出来不出来”が直截に「合否」に反映されてしまう年もあるから要注意。

慶應義塾中等部・・・10年間、いや一生「慶應義塾」の一員となることもできる”憧れ”の学校。3年間の共学生活と、3年間の男女別の高校生活の両方を経験できるのも素晴らしい。「3日」の入試に集まる女子受験生のレベルは非常に高く、9割の高得点でも”合格確実”とは言えない。「一次合格者」に課せられる「面接・実技」も重視。

【ポイント】 中等部の”真骨頂”は「一般常識問題」。単なる受験勉強ではなく、幅広く「日本文化」に親しむ”教養人”であることが大事。日頃、どれだけ「大人の文章」に接してきたか。「失点が明暗を分ける」構図は不変。「何でもありの意表をつく問題」で受験生を戸惑わせる。難攻不落の「知識」。「知っていて、いったい・・・」と、、野暮なことは言わずに、涼しい顔で正解していく「教養人」こそ、求められている。「教養人」としての”たしなみ”が試される中等部。「読解」で高得点を稼いだ後、”教養”が問われる「知識」、”大人度”が試される「漢字」で得点を重ねることが”合格”の鉄則。

「慶應国語」を科学する”短期集中特訓”であと30~50点上げ、”合格”を確実なものにします。

個人別「オリジナルカリキュラム」に基づき、「カルテノート」「カリキュラムレコード」を作成。万全のフォロー体制。

慶應義塾普通部・慶應義塾湘南藤沢中等部・慶應義塾中等部への国語・・・・・・・小6

・慶應義塾普通部への国語・・・・・・・・・・・・論説・物語・随筆文の徹底解読と論理と発想力の特訓

・慶應義塾湘南藤沢中等部への国語・・・・・物語・随筆文の本質の徹底解読と発想と表現力の特訓

・慶應義塾中等部への国語・・・・・・・・・・・・・論説・随筆文の徹底解読と語彙と文法の特訓

[募 集]・・・若干名 [入会金]・・・10000円 
[期 間]・・・2017年1月末日
[1時間]・・・10000円(教材費・交通費込)   
[教 材]・・・『過去問題と2016年予想問題』『慶應への知識(全6冊)』

慶應義塾普通部・慶應義塾湘南藤沢中等部・慶應義塾中等部への国語(基礎)・・・・・・・小5

[募 集]・・・若干名 [入会金] ・・・10000円 
[期 間]・・・2017年1月末日
[1時間]・・・7500円(教材費・交通費込)  
[教 材]・・・『慶應への国語オリジナルテキスト&プリント(基礎)』『慶應への知識(全4冊)』

 ここでは、読解問題を一律にする指導から脱却し、国語学習の理想環境を設定して、あらゆる教科の基礎である”語彙力”や”思考力”そのものの向上を目指すとともに慶應義塾普通部・慶應義塾湘南藤沢中等部・慶應義塾中等部受験に必要な「国語基礎力」を養成します。
 総合的な「受験国語力」をじっくり熟成する慶應3校受験のための個人指導です。
「読解と記述指導」と「文章をまとめる力」の徹底指導を行い、あらゆることの基礎である言葉で考える力と語彙力を根本的に養成し、本物の「慶應国語」を目指します。

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②ご面談(御父母とお子様)
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 清冽な恋、家族の葛藤、あたたかな友情━。すべてが輝きにかわる春、芙雪は旅立つ。【BOOKデータベース】より引用p>

問 「こういうときのお母さんって、かわいいと思う」とありますが、「お母さん」に対してこのような気持ちを抱くのはなぜですか。

e:さて、ここでのポイントは?

F:「お母さん」を「かわいい」という芙雪の感じ方を

e:どうとらえてまとめていくか、ですか?

F:まず、「お母さん」ち「自分」を対照して

e:「お母さん」・・・「素直に」人に「甘えられる」

F:一方、「芙雪」・・・「ぶっきらぼうなタイプ」

e:で、「お母さん」の性格が「うらやましい」

F:という図式でとらえられますね。

e:ただ、これだけでは

F:「かわいい」という感じ方の「理由」

e:にはなりませんな・・・。

F:「お母さん」の「素直な」「甘え方」を

e:「うらやましい」

F:「いい」ものであると感じ、

e:それだけに、その「甘え方」をされると

F:無条件に心を動かされ

e:和まされる?

F:という心理についてふれる必要があります。

 「わかったよ。じゃあ、頼むね。そのかわり、ごはん食べ終わったら、すぐ、寝なよ」

 「うん。わかった。わかった」

 お母さんはうれしそうに言った。

 「私さぁー。卒業したら、東京に行くことにしたんだ」

 ソファによっかかって、台所に立つお母さんに声をかける。

 「えーっ!東京?」

 お母さんは、菜箸をもったままふり返った。

 「うん」

 私は、お母さんの驚きには反応せずに、なんでもないことのようにうなずいた。

 「なんで?」

 お母さんは、もとから大きな目を、さらに大きくして言った。

 「んっ、いきたい学校が東京だから」

 「なんの学校さ?」

 「えっと、童話の専門学校」

 私は、学校のことを言うとき、なぜかスッと口から出てこない。一瞬喉がつまったようになるのだ。

 「どこの学校に行くのですか?」

 と、他人に聞かれ、

 「童話を書くための、専門学校です」

 と、答えると、みんな、”ヘッ”って顔して、

 「夢があっていいわねぇー」

 と、曖昧な笑顔を浮かべる。そんなとき、

 (私は、適当にあしらわれているんだな)

 って、ヒシヒシと感じる。

 自分でも、自分のやろうとしていることが、どれだけ実現するかわからないし、不安もいっぱいあるけど、ちゃんと考えて決めたんだし、やりたいことをやっていればいいと思っているのに、あの笑い顔に出会うと思うと、(できれば、言いたくない)

 と、思ってしまう。

 笑うやつもいやだけど、それに負けそうな自分にも腹がたって、進路の話はあまりしたくない今日このごろだ。

 そんな私の気持ちにはおかまいなしといった口調で、お母さんは、

 「へーっ。芙雪、童話の学校にいきたかったんだぁー」

 何度も何度もうなずいた。

 「知らなかったわ。芙雪が、そんな希望をもってたなんて・・・・・・」

 お母さんは、新しい発見をしたように、目をピカピカに、イライラがスーッと消えていくのを感じた。

 (芙雪は、芙雪なんだから)

 小さいころに、お母さんに言われた言葉を思い出す。

問 「私は、学校のことを言うとき、なぜかスッと口から出てこない」ありますが、なぜですか。、

問 「お母さんは、新しい発見をしたように、目をピカピカに、イライラがスーッと消えていくのを感じた」とありますが、このときの「芙雪」の気持ちを答えなさい。

その日にやるべき仕事を終え、久しぶりに同人誌に眼を通していた。なんとなく読み始めた「グローリー・デイズ」という作品に、のめり込んだ。主人公の女の子の気持ちがじんじんと痛いぐらい伝わってくる。短い作品だったが、これは何者? と興奮した。著者は佐藤ゆみ。まだ本を出したことはない人だろう。よし、とにかく、長編にしてもらおう。もっと読みたい。
というわけで、これは佐藤ゆみさんのデビュー作。
この世界は、もしかしたらありふれた高校生の日常なのかもしれない。でも、彼女の筆にかかると、片思いの相手とのCDの貸し借りも、庭先の砂をかむ自転車の音も、キスをする部屋の蛍光灯の白い光も、すべてがいとおしくかけがえのないドラマにみえてくる。そうだ。小説世界が未来に向かって歩き出そうとする命の鼓動に満ちている。そう、すべてが輝いている。まぶしいくらいに。
彼女は作品のなかで「すべてが誇りだ」と語りかける。
家族の葛藤も、行き違いの多い恋も、友情も、すべてが。
とにかく一読をお勧めいたします。たまらない、いい小説です。-グローリー・デイズ :佐藤 ゆみ,神山 ますみ | ポプラ社 -より引用

佐藤ゆみ━グローリー・デイズ━

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慶應への国語  佐藤ゆみ ━グローリー・デイズ━ 4

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 あなたに出会えたこと、私の誇りなんだ・・・。旅立ちの時を前にして、自分の進むべき道を探しつつ生きる高校3年生の日々。清冽な恋、家族の葛藤、あたたかな友情━。すべてが輝きにかわる春、芙雪は旅立つ。【MARCデータベース】より引用p>

問 「私は、学校のことを言うとき、なぜかスッと口から出てこない」ありますが、なぜですか。、

問 「お母さんは、新しい発見をしたように、目をピカピカに、イライラがスーッと消えていくのを感じた」とありますが、このときの「芙雪」の気持ちを答えなさい。

e:まず、〔状況〕からいきましょうか。

F:芙雪が「童話を書くための、専門学校」へ行きたいという「希望」を話すと

e:「曖昧な笑顔」で「適当にあしらわれる」

F:実現の難しい夢を追う人間として

e:どこか蔑まされている?

F:ように感じられのですね。

e:次に、〔気持ち〕はというと

F:「恥ずかしいことも引け目を感じることもない」と思いながらも、

e:そのことで「不安」になり

F:引け目を感じてしまう自分に

e:腹が立つ

F:このいやな思いをくりかえしながら、

e:「進路の話」はしたくない?

F:そういう思いが強くなっているのですね。

e:ここは、単純に〔状況〕そして〔気持ち〕の順で説明できますな。

F:次ですね。「イライラ」・・・芙雪は「童話作家」になりたいという夢を人に話すたびに、

e:馬鹿にしたような「笑顔」に接し、

F:だれにも理解してもらえないという思いを抱いていたので

e:お母さんに話しても同じ反応が

F:返ってくるのではないかと思って

e:イラだった?

F:「お母さんの目のピカピカ」・・・お母さんは「童話作家になりた」という芙雪の夢を知って

e:「新しい発見」をしたように喜び、

F:「何度も何度もうなずいた」

e:それを芙雪のいい選択として

F:支持してくれた

e:「イライラがスーッと消えた」は?

F:胸のつかえが取れて

e:すっかり明るい気持ちになった?

F:ここもやはり、表現との対応に注意してまとめるのが

e:コツですか?

 私は小学校に入ってすぐ、ピアノを習いはじめた。そのころはまだ、お父さんは会社勤めをしていて、私たちは社宅に住んでいた。社宅には、私とおなじ年の男の子が、私を含めて六人いて、そのなかの三人がピアノを習いはじめた。私と由紀子ちゃんという子が、近くのピアノ教室に通い、和実ちゃんという子は、お母さんが昔、ピアノの先生をやっていたとかで、自分のお母さんに習っていた。

 「和実ちゃんはもう、”エリーゼのために”が弾けるんだってよ」

 和実ちゃんの家で、マージャンをして帰ってきたお父さんが言った。

 「ふーん」

 私は、テーブルにお茶碗を並べながら、お父さんを見あげた。悔しがってると思われないように、興味なさそうな声を出した。

 「芙雪は、何が弾けるのよ?”エリーゼのために”弾けるか?」

 お父さんは、少しあごをあげて、私を見た。

 「そんなの、まだ、習っていないもん」

 私は、できるかぎり、怒りを抑えて言った。

 奥の台所でお母さんが野菜を洗う水しぶきが、光に透けて見えるのから、目が離せずにいた。

 「じゃあ、何が弾けるのよ」

 今まで立っていたお父さんが、向かい側に、座りこんだ。

 「今は、バイエルの練習曲やってるの」

 「そんなの、知らん。なんか、有名なの弾けないのか?和実ちゃんは”乙女の祈り”も弾けるんだぞっ!芙雪はなんにも弾けないんだなぁー」

 私はだまって、テーブルの木目を見つめた。抑えていた悔しさが、むくむくと大きくなっていく。

 (仕方ないしょ。和実ちゃんはお母さんに習ってるから、好きなのから教われるけど、私は、教室で、本のとおり順番に習っていくんだから!)

 そう言ってやりたかったけど、声を出すと泣きだしそうで、声が出せなかった。

 「そんなんじゃ、ピアノなんて、やめた方はいいんんじゃないのか?」

 お父さんの声が、頭にふりかかってくる。

 「ん?月謝代だってバカにならないし、ピアノなんて売っちゃうか」

 「やだ」

 私は、涙が出ないように急いで言った。

 テーブルの木目が、うねうねと動き出した。私は急いで立ち上がると、下をむいたまんまお父さんの横をすりぬけて、子ども部屋に入った。ドアを閉めるか閉めないかくらいで、目から涙があふれ出した。

佐藤ゆみ━グローリー・デイズ━

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慶應への国語  芙雪は芙雪なんだから  佐藤ゆみ ━グローリー・デイズ━  完 

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 二段ベッドの下の段に腰かけて絵本を持った菜月が、ぽかんとした顔でこっちを見ている。私は、菜月を無視して、ベッドの梯子をあがると、布団に顔を埋めて本格的に泣き出した。

 (お父さんなんて、大っきらい!)

 心のなかに深くふかく刻みこむように思った。

 そりゃぁ、私はあんまり練習もしないし、いい生徒じゃないけど、”エリーゼのために”や”乙女の祈り”なんてずっとずっと、上の人、六年生や中学生の人たちが習うやつだ。それが弾ける和実ちゃんは、すごいかもしれないけど、先生は、

 「芙雪ちゃんは、基礎からちゃんと、しっかりやっていきましょうね」

 って、言ってたのだ。

 (お父さんなんか、何も知らないくせに・・・・・・)

 私は、考えれば考えるほど悔しくて、涙が出てきた。涙は目から直接布団にしみこんでいく。

 一粒、二粒、三粒、四粒、五粒・・・・・・しみこんでいく涙を無意識に数えていた。頭の芯がsスーッと、白くなっていく感じがした。遠くで、ドアの音が聞こえた。

 「おかーさん」

 菜月のホッとした声。畳をふみしめる気配が、一歩一歩近づいて、梯子がきしむ音がした。

 「芙雪・・・・・・」

 やわらかい、お母さんの声がした。私の頭に、ぽっちゃりとした手の感触がのった。

 「お父さんの言ったことなんて、気にするんじゃない。お父さん、ピアノのレッスンのこと何も知らないから、ついつい和実ちゃんとくらべちゃったんだよ。何も知らない人の言ったことなんて、気にしないでいいの。芙雪は芙雪なんだから」

 お母さんの手が、ゆっくりゆっくり、私の頭をなでると、私のからだじゅうに充満していた悔しさも、頭から足の先へと、ゆっくりゆっくり引いていった。

 (芙雪は芙雪なんだから)

 菜箸を持ったお母さんを見つめながら、私はもう一度心のなかでつぶやいた。

 そう、私は私なんだ。自分のやりたいと思ったこと、自分のペースであせらずやっていけばいいんだよねっ。

 「東京かぁー。まあ、ちょっとさびしくなるけど、芙雪のやりたいことのためなら、仕方ないもんね。がんばったね」

 お母さんは、ちょっと目を伏せて笑うと、ガス台にむかった。

 私は、お母さんの丸みのある肩をながめながら、小さいころやったみたいに、あの肩にしがみついて、背中に耳を当てて、お母さんの心臓の音をききたいなっと思った。

 (でも、やっぱ、できないよなぁー)

 私は、大きくなった自分の手のひらをまじまじと見つめた。

問 「(お父さんなんて、大っきらい!) 心のなかに深くふかく刻みこむように思った」とありますが、このときの「芙雪」の「お父さん」に対する気持ちを答えなさい。 

e:まず、〔状況〕の確認からですな。

F:お父さんはピアノのレッスンについて

e:何も知らない

F:それなのに、

e:「和実ちゃん」と比べて、

F:進度がおくれているからだめだと決めつけて

e:「月謝」の無駄だからやめろなどと言う

F:これはピアノを楽しみにし、基礎からじっくり習っていこうとしている「芙雪」の気持ちを

e:無視したことばですな。

F:自分の子が他の子よりおくれていると感じて

e:自分の見栄にこだわる気持ちがふくまれていますな。

F:〔芙雪〕の気持ちは、というと・・・

e:「心のなかに深くふかく刻みこむ」ような「大っきらい」な気持ち

F:その場だけで、後は忘れられるような気持ちではなく、

e:「芙雪」の気持ちを踏みにじり

F:否定する父親の見栄だけが感じられるような発言に

e:「悔しい」だけでなく

F:「許せない」という

e:「不信感」?

F:「怒り」のこもった根の深い気持ちであることに

e:ふれたいところですか?

問 「私は、大きくなった自分の手のひらをまじまじと見つめた」とありますが、ここから「芙雪」のどんな気持ちがうかがえますか。

F:前に、「こういうときのお母さんって、かわいいと思う」

e:「お母さん」に対してこうような気持ちをいだくのはなぜ?

F:この問いと通じるところがあるんですね。

e:ということは、対照的な「芙雪」と

F:「お母さん」の”今”をとらえることが中心の設問です。

e:「お母さん」はというと・・・離婚

F:一人暮らしと大きく生活は揺らぎながらも

e:同じ素直な気持ちをもち続け

F:「芙雪」の子どもの頃と少しも変わらない接し方

e:「芙雪」の個性を認めて大切にし

F:優しく包みこむことができる

e:一方、「芙雪」はというと・・・

F:両親の離婚や様々な生活の変化の中で、

e:もう子どもの時のようには

F:素直に自分の気持ちをぶつけることができない

e:しかし、本心は・・・

F:お母さんの胸に飛びこんでいきたい

e:しかし、それを押しとどめる気持ちが強く働く?

F:「大きくなった自分の手のひらをまじまじと見つめた」のは

e:時の経過のなかで、

F:変わり、否応なく成長して

e:もはや子どもの時のようには

F:母の胸に飛びこめないという

e:”実感”?

F:がこめられているということですね。

e:つまり、こういうことですか?幼いときと同じように自分を理解してくれて、

F:優しく「芙雪」を包んでくれるお母さんに、

e:子どもの時と同じように飛びつきたいと思う

F:が、しかし、両親の離婚やいろいろな出来事の中で

e:すっかり成長した今

F:どうしても素直な感情そのままの行動がとれない自分に

e:しみじみと”時の流れ”を

F:思わずにはいられない、ということでしょう。

「私は、大きくなった自分の手のひらをまじまじと見つめた」

e:手のひらをじっと見つめて、”時の経過”を実感したわけですな。

F:「はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざりぢっと手を見る」

e:「働けど働けどなお我が暮らし楽にならざり じっと手を見る」

佐藤ゆみ ━━グローリー・デイズ━━

グローリー・デイズ―輝ける日々 (青春と文学)
  • 004『12歳たちの伝説』後藤竜二〜生きる力がみなぎってくる
  • 005『ジョナさん』片川優子
  • 006『グローリー・デイズ』佐藤ゆみ
  • 007『バッテリー』あさのあつこ
  • 008『14歳からの哲学』池田晶子
  • 009『テレビの自画像』桜井均
  • 010『海ーひとつの朝』八束澄子
  • 011『ステゴザウルス』岩瀬成子
  • 012『かめくん』北野勇作
  • 013『こころのほつれ、なおし屋さん。』村中李衣
  • 014『ナシスの塔の物語』みおちづる
  • 015『なまくら』吉橋通夫
  • 016『ドーム郡ものがたり』柴田勝茂
  • 017『乱世山城国伝』後藤竜二
  • 018『きみにしか聞こえない』乙一
  • 019『イリヤの空、UFOの夏』秋山瑞人
  • 020『世界は密室でできている。』舞城王太郎
  • 021『リアルワールド』桐野夏生
  • 022『学校の青空』角田光代
  • 023『黄色い目の魚』佐藤多佳子
  • 024『毎日晴天!』菅野彰
  • 025『下妻物語』嶽本野ばら
  • 026『吉永さん家のガーゴイル』田口仙年堂
  • 027『しゃべれども しゃべれども』砂糖多佳子
  • 028『永遠の出口』森絵都
  • 029『銀のうさぎ』最上一平
  • 030『月夜のバス』高橋秀雄
  • 031『蹴りたい背中』綿矢りさ
  • 032『つきのふね』森絵都
  • 033『蛇にピアス』金原ひとみ
  • 034『秘密の花園』三浦しおん
  • 035『だれかのいとしいひと』角田光代
  • 036『遊覧日記』武田百合子
  • 037『カンバセイション・ピース』保坂和志
  • 038『こうちゃん』須賀敦子
  • 039『おめでとう』川上弘美ー●12歳からの読書案内(日本版) | check*pad.jp ーより引用
  • 佐藤ゆみ━グローリー・デイズ━

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    慶應への国語  わかったね?  岩瀬成子  ━そのぬくもりはきえない━ 1  

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    岩瀬成子━そのぬくもりはきえない━

    本

    犬の散歩をひきうけて出入りするようになった家で出会った不思議な男の子。なんだかちぐはぐなのに、どうしようもなく響きあう心と心。子どもたちの現在を描き続けてきた児童文学作家による待望の長編。ー内容(「BOOKデータベースより」)

     お母さんは「えー」と言ったあと、小さい息をはきだしながら、「どう考えても、飼えないわね、犬は。むりよ」と言った。「よおく考えてごらん。うちは、昼間はだれもいないの。犬はずっとひとりぼっちよ。そんなこと、させていいの?それに、そんな年をとった犬は、もうよその家にはなじめないのよ。犬だって、かわいそうよ。わかるでしょ、そういうことは」

     お母さんはお茶碗をあらっていた。手ぎわよく。くるくると泡だったスポンジがお皿の上でまわる。お母さん、指輪をはずすのをわすれてる、と波は気がついた。小さな乳白色の石がはめこまれた指輪をしたまま、お母さんはお茶碗をあらっていた。お母さん、スポンジみたいだと思う。

     なにもかもすいとってしまう。言いたいことも考えてることなんかも。あのね、お母さん。波はお母さんを見る。明るい色に染めた髪、白い首、こめかみ。いろんな気持ちがごちゃごちゃする。何をどう言えば、お母さんは「へえ、そうだったの」とうなずくんだろう。それがわからない。どんどんふくらむスポンジのお母さんのそばにいると、自分が氷のように溶けて消えてしまうような気がする。ときどき、そんな気持ちになる。ああ言っても、こう言っても、まちがってるって言われそうな気がする。波はそう言うけど、それはほんとの気持ちじゃないよと、お母さんは言う。よおく考えてごらん。波がしたいのは、ほんとはこうでしょ。お母さんはいつも波のほんとの気持ちを説明しようとする。波にかわって、わかってるよ、波の気持ち。よおく、わかってる。そのうえで、言ってるのよ。お母さんはいつだって、波の心のなかをぜんぶ知っているみたいに言う。

     いい?だから、まちがっちゃだめ。お母さんの言うとおりにしておけば、心配ない。ちゃんとうまくいくから。ね、お母さんだってお仕事したり、おうちのことをしたり、がんばってるよ。だから波もがんばろう。お母さんはいつだって、波にいちばんいいことを考えているんだから。そこをまちがえないで。まちがえないで、波。

     この手もまちがい、足首もまちがい、背中の骨もまちがい、おなかも、胸もまちがい。波は、自分のなにもかもが、いけない気がする。

    「わかったね?」

     お母さんは波を見た。

    「ハルはね、行くところがないんだよ」

     波は目を下にむけて言った。

    問 「小さな息をはきだしながら」とありますが、この時の「母親」の気持ちを答えなさい。

    問 「お母さん、スポンジみたいだと思う」とありますが、波は母親のどのようなところを「スポンジみたいだ」と感じていますか。

    問 「お母さんはいつだって、波の心のなかをぜんぶ知っているみたいに言う」とありますが、母親がいかにも「波の心のなかをぜんぶ知っている」かのように話しているところを答えなさい。

    問 「お母さんはお茶碗をあらっていた。」から『わかったね?』」までの「波」の気持ちや様子を答えなさい。

    問 「ハルはね、行くところがないんだよ」とありますが、この時の「波」の気持ちを答えなさい。

    e:岩瀬成子(いわせ じょうこ)と言えば

    周囲の人々との関係に揺れて自分を探る子どもの姿を描くのを得意としている。ー岩瀬成子 - Wikipediaーより引用

    F:すでに2編取り上げました。

    アメリカから来た日系人のミスター・カラキがりんの家に滞在している  岩瀬成子 「迷い鳥とぶ」

    捨てられた猫がいろんな人に出会っていく  岩瀬成子 「鹿」

    e:1950年生まれ

    F:団塊の世代の最後の方の

    e:児童作家

    F:今江祥智を知ったのが

    e:児童作家になるきっかけ

    F:だったんですね。

    e:『そのぬくもりはきえない』は

    F:日本児童文学者協会賞を受賞してます。

    e:「不思議なぬくもりを放って印象的な小説

    F:『たまご』を書いた作家ですね。

    e:特色は?

    F:少しの無駄も、型どおりの台詞も、ない

    e:もっともらしい説教もない

    F:わかりやすい励ましもない

    e:

    2009年1月17日(土)の「朝日新聞」夕刊に

    F:雑誌『日本児童文学』1-2月号の創作特集号に関する記事が掲載されました。

    e:リード文に「わからなさ」に寄り添う、秋葉原事件を受け

    F:児童誌が創作特集、少女の心の変化を丁寧に、とあります。<ー児文協のブログ: ニュースーより引用>

    e:因みに「たまご」はどんな内容かな?

    「たまご」の主人公は、クラスになじめずに無口になった高校生の女の子。傾聴ボランティアとしてつきあう76歳の老女との静かな日々の中で、あるとき、老女の思いがけないふるまいに心が反応する。殻に閉じこもったそれまでの気分と、誰かと話をしたくなった新しい気分。閉じた世界にひびを入れたのは、女の子へのもっともらしい説教やわかりやすい励ましではなく、よく知らない他人の何げない行動だ。ー- 児童文学と音楽の散歩道 - Yahoo!ブログーより引用

    F:女の子の視点で、日常に起きた化学反応が丁寧に描かれています。記事の中で

    「普段の生活の中で、意識していなくても、だれかがだれかに作用を及ぼすことってある気がするんです。何かを見て、おなかの底がこそばゆくなって“心がくすくすする”時に、だれかに話しかけたくなる気持ち…。そういう変化を書きたかった」

    「私には、子どものころに社会や世間に抱いた“はっきりかみくだけたという感じのなさ”や“ちぐはぐ感”がしつこく残っている。子どもや若者を取り巻く社会の環境はかわったけれど、子どもは変わっていない。彼らを外からのイメージで類型化せず、当時の自分の“わからなさ”を描けば、それは今の子どもにも伝わるのではないかと、そう信じて書いています」

    e:“はっきりかみくだけたという感じのなさ”

    F:“ちぐはぐ感”

    e:分かりそうでよく分からない?

    F:分からなそうでよく分かる?

    e:そういう感じ?

    F:”わからなさ”に寄り添う

    e:って言うのはグッドです!?

    岩瀬 成子(いわせ じょうこ、1950年昭和25年)8月25日 - )は、日本の児童文学作家。山口県玖珂郡玖珂町出身。山口県岩国市在住。ー岩瀬成子 - Wikipediaーより引用

    岩瀬成子━そのぬくもりはきえない━

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    慶應への国語  岩瀬成子  ━そのぬくもりはきえない━ 2

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    岩瀬成子━そのぬくもりはきえない━

    本

    問 「小さな息をはきだしながら」とありますが、この時の「母親」の気持ちを答えなさい。

    問 「お母さん、スポンジみたいだと思う」とありますが、波は母親のどのようなところを「スポンジみたいだ」と感じていますか。

    問 「お母さんはいつだって、波の心のなかをぜんぶ知っているみたいに言う」とありますが、母親がいかにも「波の心のなかをぜんぶ知っている」かのように話しているところを答えなさい。

    問 「お母さんはお茶碗をあらっていた。」から『わかったね?』」までの「波」の気持ちや様子を答えなさい。

    e:「小さな息」?

    F:「犬を飼いたい」という「波」の申し出に

    e:「えー」

    F:という否定的な反応を見せた「母親」は

    e:「困ったことを言い出したものだわ」

    F:とため息

    e:「小さな息」

    F:をはきながら

    e:「波」の説得を始めますね。で、「母親」の気持ちは?

    F:厄介な話が舞い込んできて

    e:困惑?

    F:困っている。

    e:で、次の「スポンジ」?

    F:「母親」は「波」が何を言っても

    e:「それはほんとの気持ちじゃないよ」

    F:「波がしたいのは、ほんとうはこうでしょ」

    e:と否定し、

    F:自分の考えを植えつけようとします。

    e:そんな「母親」のことを

    F:「波」は「なにもかもすいとってしまう」

    e:「スポンジ」?

    F:のように感じています。

    e:つまり、「波」の考えを誘導し

    F:みんな消してしまうところです。

    e:いざ、書かせると、いろいろな答えが出てきそう・・・

    F:案の定、

    ・ 「波」を傷つけずにそれとなく間違いをただすところ。

    ・ 「波」の悩みや苦しみを全て解決してくれるところ。

    ・ 「波」の心の汚れをすべて洗い流してくれるところ。

    e:直後の文をしっかり読めば

    F:”しっかり”読まなくても・・・

    e:有り得ない答え?因みに、直後の文は

    F:「なにもかもすいとってしまう。言いたいことも、考えていることなんかも」

    e:「スポンジ」のイメージを勝手に膨らませている?

    F:後の文を最後まで読ますに”思い込み”で書いている?

    e:これまた、『選択肢』問題だとすんなりと

    F:正解を出しちゃうかも、です。

    e:後の設問を先に解いてから、

    F:解くというのも一つのやり方です。

    e:”逆も真なり”

    F:?

    e:さて、「母親がいかにも「波の心のなかをぜんぶ知っている」かのように話しているところ」は?

    F:「わかってるよ、波の気持ち。よおく、わかってる」と「波」の気持ちを認めた後に

    e:「波」のほんとの気持ち」を説明することで

    F:「波」の考えと自分の考えを

    e:すりかえてしまう?

    F:「母親」の”話術”

    e:言葉の”魔術”?

    F:犬を飼うことについて「母親」は

    e:「いまは波は犬のことをとってもかわいそうに思って、そんなふうに考えているってことはわかるの。

    F:動物をかわいそうに思う気持ちはだいじよ。

    e:とっても。」

    F:と、まるで「波」の心を/p>

    e:知っているかのように

    F:言います。そうして”譲歩”

    e:相手の意見に従う

    F:した上で、「だいじだからこそ、犬にとっていちばんい選択をしてあげなくちゃ」

    e:と話を進め、結局は「よその人にもらわれたほうが、きっとその犬にとってはしあわせだと思う」

    F:と犬を飼うことをあきらめさせよう

    e:としている?「お母さんはお茶碗をあらっていた。」から

    F:『わかったね?』」まで

    e:の「波」の気持ちや様子は?

    F:「波」は「母親」と話していると次第に、何を言っても

    e:「まちがってるって言われそうな」

    F:”不思議な”感覚にとらわれていきます。

    e:「お母さんはいつだって、波にいちばんいいことを考えているんだから。

    F:そこをまちがえないで。

    e:まちがえないで、波」

    F:という「母親」の言葉は「波」の頭の中で/p>

    e:”呪文”?

    F:のように繰り返されます。

    e:サブリミナル(効果)?

    F:そして「この手もまちがい、足首もまちがい、背中の骨もまちがい、おなかも、胸もまちがい。

    e:波は、自分のなにもかもが、いけない気がする」

    F:ようになった「波」は本当の自分がわからなくなり

    e:何かあやふやなもの

    F:になってしまったかのような錯覚に陥ります。

    e:つまり、「母親」が理想の「波」のイメージを押し付けてくることで、

    F:自分という”存在”があやふやになってしまった

    e:かのような感じにとらわれている?

    山口県立岩国商業高等学校卒業後、公務員として働く。1972年に岩国市にできた喫茶店「ほびっと」で今江祥智を知り、京都の聖母女学院短期大学の聴講生として児童文学を学ぶ。1975年、岩国に帰郷後、在住。ー岩瀬成子 - Wikipediaーより引用

    主人公の波(なみ)は小学4年生の女の子。ひょんなことからご近所のお年寄りの犬を散歩させることになるが、その家の二階には幽霊が出るという噂。好奇心から二階に上がった波はそこで不思議な少年、朝夫くんに出会う。すっかり仲良くなったふたりだが、朝夫くんの存在は波以外誰も知らない。果たして朝夫くんは幽霊なのか?

    おとなは「あなたのためだから」といって子供のまえに見えないレールを敷いてしまう。波のお母さんもそのひとりだ。好きでもないソフトボールも進学塾も、「将来のあなたのため」と言われると、そうなのかなと思う。思っていることをスポンジのように吸い込んでしまうお母さんに対して、波は言いたいことを言えない辛さを抱えている。のどに重たい石がひっかかっているような感じだろうか。「がんばりなさい」「がんばろうね」その言葉は子供にだって重すぎることがある。

    朝夫くんと知り合って、楽しく過ごすうちに少しずつ変わっていき、自信が芽吹いていく波。小学生の少女の心の葛藤を描いたすがすがしい作品。朝夫くんの意外な正体も読んでいて楽しい。

    岩瀬成子━そのぬくもりはきえない━

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    慶應への国語  岩瀬成子  ━そのぬくもりはきえない━ 3

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    岩瀬成子━そのぬくもりはきえない━

    本

     「だれか、ほかの、犬好きの人のところへ行くのが、その犬にとってもしあわせだと思うよ。いまは波は犬のことをとってもかわいそうに思って、そんなふうに考えているってことはわかるの。動物をかわいそうに思う気持ちはだいじよ。とっても。だいじだからこそ、犬にとっていちばんい選択をしてあげなくちゃ。ね、ほかにも方法があるし、よその人にもらわれたほうが、きっとその犬にとってはしあわせだと思う。それに、そんないい犬なら、きっともらい手はたくさんあるわよ」

     「だめ」

     波は自分の前髪をつんつんひぱった。もうハルがこの家のなかを歩きまわっているような気がする。しゃかしゃかと爪の音ををたてながら、しっぽでわらいをふりまきながら、玄関から、いまこちらに歩いてくる。

     お母さんはお茶碗をあらい終え、もうこの話はおしまい、というように、タオルで手をふき、流しの前をはなれた。

     「飼えば。その犬」

     居間のソファからお兄さんが、いきなり言った。

     「おとなしくて、かしこくて、なんでもわかる犬なんてさあ、めったにいないよ」

     お兄さんはソファごしにお母さんを見て言った。

     お母さんはエプロンをはずしながら頭をふり、

     「うちはだめよ。わたしが仕事をやめて家にいるのならべつだけど、そんなことをしたら、だれがわたしたちをやしなってくれるの?できない相談よ。うちでは犬は飼えない。いくら考えてもむり」

     と、もういちど、はっきり言った。

     「わからないですね、ぼくは」

     お兄さんはお母さんを見ている。ちらちらと見て、それからテレビのほうを見て、それからまたちらちら見る。

     「ミミのこと、話してなかったっけ」

     お母さんは冷蔵庫にもたれて言った。

     ミミという名の猫を子どものときに飼っていた、とお母さんは言った。全身黒で、目は金色。かつおぶしとおかきがすきで、窓から日なが一日外をながめていた。学校から帰ると、足音をききつけて、どこにいても玄関までむかえに出てくる猫だった。冬は庭にくる冬鳥をねらい、夏は木かげをさがして涼んでいた。ミミと呼ぶと、一拍おいて声のほうにゆっくり顔をむけた。

     お母さんはぽつりぽつりとミミの話をした。お母さんが猫を?波はおどろいた。

    問 「自分の前髪をつんつんひぱった」時の、「波」の気持ちを答えなさい。

    e:「だめ」と言うのが精一杯で

    F:それ以上の言葉が出てこないことに

    e:苛立ち?

    F:前髪をひっぱる「波」

    e:このあたりから怒りのエネルギーがたまり始め

    F:この後に、出てきますが

    e:「ハルは行くところがないんだよ」

    F:大声で怒りを

    e:爆発させた。

    F:自分の気持ちをうまくつたえることができずに

    e:いら立っている?

    1978年『朝はだんだん見えてくる』で日本児童文学者協会新人賞を受賞。『「うそじゃないよ」と谷川くんはいった』で産経児童出版文化賞小学館文学賞IBBYオナーリスト賞を受賞、『ステゴザウルス』『迷い鳥とぶ』で路傍の石文学賞を受賞。2008年、『そのぬくもりはきえない』で日本児童文学者協会賞を受賞。

    周囲の人々との関係に揺れて自分を探る子どもの姿を描くのを得意としている。ー岩瀬成子 - Wikipediaーより引用

    実は岩瀬成子の作品はほとんど初めてなので、
    他作品と比べられないのが残念なのですが、
    すごい好みだったので、他のもこれから読みます。

    主人公の波ちゃんは4年生だが、
    中学生位の子が読むのに良いのではなかろうか。

    おかあさんが恐い・・・
    おかあさんが「正しくて、エライ人」な所がより一層恐い。
    でもまあ仕事を持っている「おかあさん」は
    こうは出来ないと思うけど。(したくても忙しくて)

    「何かを聞かれて黙ってしまう子」が
    なんで黙っているのか、を
    こんなにわかりやすく
    教えてくれる作家は他にいないと思うのだ。

    岩瀬成子━そのぬくもりはきえない━

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    慶應への国語  岩瀬成子  ━そのぬくもりはきえない━ 4

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    岩瀬成子━そのぬくもりはきえない━

    本

     「だけど、ミミは死んでしまったの。小学五年のとき。学校から帰ってみると、部屋のすみで死んでいた。ひとりぼっちで死んだの。そのミミをタオルでくるんで、たんすの上においた。青いタオル。いまでもおぼえている。ミミのことで頭がいっぱいで、ずっと泣いていた。ミミは苦しかったのに、だれもそばにいなかったのよ。一日じゅう泣いて、それでもミミをうめなきゃならないときがきて、自分で庭にうめたの。深い深い穴を掘って。もうぜったい、こんなことしちゃいけないって思った」

     お母さんは、壁のほおずきの絵を見ながらそう言った。まるでほおずきがミミのことを思いださせているみたいに。

    「だから飼わないの。もういやなのよ。あんなこと。かわいそうなことはしたくない」

     「それって、まるで、交通事故に一度あったから、二度と車に乗りたくないって言ってるみたいにきこえる」

     お兄さんは、ほおずきを見ているお母さんを見ていた。

     「ハルは行くところがないんだよ」

    「波」はそう言った自分の声の大きさにびっくりした。

     だめだめ。お母さんは首をふった。

     「横暴って感じ。専制はよくないって。国がほろびる」

     お兄さんはテレビのほうに目をむけながら言った。

     「民が苦しんでるのは、だれのせい?」

     「ちょっと、耕平、民ってだれよ」

     お母さんはそう言いながら居間に行き、お兄さんの前に立った。

     「波にむりに受験させようとしたりさあ、ソフトやらせたりさあ」

     お母さんに前に立たれてテレビが見えなくなったので、お兄さんは体をずらしてテレビを見ようとした。

     「どういうこと?」

     「そういうこと」

     「お母さん、むりじいをしたっていうの?じゃあ、あなた、いやだったの?ソフトとか、受験とか。ってことは、いまの学校、いやなの?後悔してるの?」

     うわぁ。お兄さんがそうつぶやくのがきこえた。

     「うわぁって、なに?」

     「犬。飼うのに、ぼくは賛成だーい」と、お兄さんは茶化すように言った。

    問 「専制はよくないって。国がほろびる」という言葉に込められた「耕平」の気持ちを答えなさい。

    問 「ハルはね、行くところがないんだよ」、「「ハルは行くところがないんだよ」とありますが、これらの言葉に表れている「波」の気持ちを答えなさい。

    問 「お母さん、むりじいをしたっていうの?」とありますが、この「母親」は自らの考えを「耕平」や「波」に「むりじいをした」と思われぬよう、子どもたちにまるで自分の願いだったかのように思わせる「言葉」を時折使います。その「言葉」を答えなさい。

    問 「茶化すように言った」のはなぜですか。

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 岩瀬/成子
    1950年、山口県に生まれる。78年にデビュー作『朝はだんだん見えてくる』で日本児童文学者協会新人賞を受賞。92年に『「うそじゃないよ」と谷川くんはいった』で小学館文学賞、産経児童出版文化賞を受賞。95年に『ステゴザウルス』『迷い鳥とぶ』の二作により路傍の石文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

    岩瀬成子━そのぬくもりはきえない━

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    岩瀬成子━そのぬくもりはきえない━

    本

    問 「専制はよくないって。国がほろびる」という言葉に込められた「耕平」の気持ちを答えなさい。

    問 「ハルはね、行くところがないんだよ」、「「ハルは行くところがないんだよ」とありますが、これらの言葉に表れている「波」の気持ちを答えなさい。

    問 「お母さん、むりじいをしたっていうの?」とありますが、この「母親」は自らの考えを「耕平」や「波」に「むりじいをした」と思われぬよう、子どもたちにまるで自分の願いだったかのように思わせる「言葉」を時折使います。その「言葉」を答えなさい。

    問 「茶化すように言った」のはなぜですか。

    e:「ハルはね、~」と「ハルは~」の違いは?

    F:『麻布』によく出題されるパターンです。

    e:内容は同じでも・・・

    F:「目を下にむけて言った」言葉

    e:「自分の声の大きさにびっくり」

    F:するほど強い口調で発せられた言葉

    e:目を下に向けるのは?

    F:”弱気”の表れだと考えると

    e:「ハルはね、~」の方はいつものように丸めこまれそうになって

    F:の遠慮がちな反論ですが、

    e:「ハルは~」の方は「波」や「耕平」の言葉に耳を貸さない「母親」

    F:に我慢できずに思わず出てきた

    e:”怒り”の言葉?

    F:だと解るでしょう。

    e:「専制はよくないって。国がほろびる」?

    F:「お母さんはいつだって、波にいちばんいいことを考えているんだから」

    e:という言葉に”偽り”は

    F:ありませんが、「母親」が子どものために良かれと思ってやったことでも

    e:子どもからすれば

    F:「「波にむりに受験させようとしたりさあ、ソフトやらせたりさあ」

    e:と思える?

    F:「横暴」とはあまりに厳しい言葉ですが

    e:子どもたちはからすれば一方的に考えを押し付けられているという

    F:”被害者意識”もあるようです。

    e:「耕平」は「僕たちは何でもお母さんの思いどおりになるわけじゃない」

    F:という気持ちを「専制」という言葉に込めて

    e:「母親」の”抗議”

    F:しているのでしょう。

    e:つまり、「母親」が何でも自分の思い通りに

    F:子供たちをコントロールしようとすることへの

    e:”批判”?例によって、「誤答」「迷答」「珍答」

    F:必ずしも、そうとは言えない解答もありますが・・・

    ・ 母親が抱く理想が高ければ高いほど、子どもは間違った方向に育ってしまうという皮肉。

    ・ 少しは自分たちの言うことにも耳を傾けてくれないとおかしくなってしまうという警告。

    ・ 偉そうなことばかり並べ立てているが、実は自分のことしか考えていない母親への不満。

    e:3番目の答えが多そう?

    F:そうですね。

    e:「子どもたちにまるで自分の願いだったかのように思わせる」

    F:その「言葉」とは?

    e:これはちょっと難しかった・・・?

    F:「波」がスポンジみたいだと感じた「母親」の話し方

    e:がヒント?

    F:「波」の考えと「母親」の考えを巧みにすりかえる

    e:政治屋の”常套手段”?

    F:”魔法”の言葉

    e:「何々しなさい」と命令されれば

    F:子どもは「むりじい」

    e:「無理強い」されたと?

    F:感じます。ところが、この「母親」はまず子どもたちの言い分

    e:表面上は

    F:認め、その上で改めて

    e:「本当にそれでいいのか」

    F:と問いかけます。

    e:「母親」はまず、こう言いますね。

     「よおく考えてごらん。うちは、昼間はだれもいないの。犬はずっとひとりぼっちよ。そんなこと、させていいの?それに、そんな年をとった犬は、もうよその家にはなじめないのよ。犬だって、かわいそうよ。わかるでしょ、そういうことは」

    F:そして、「よおく考えてごらん。波がしたいのは、ほんとはこうでしょ」という具合に

    e:「自分でよく考えてみなさい」

    F:と言った後に「母親」自身の考えを述べることで

    e:子どもたちの頭の中には

    F:「母親」の考えが

    e:植えつけられる?「茶化す」?

    F:いつもなら「母親」の説得ですぐに話は終わるところですが

    e:「飼えば。その犬」という

    F:「耕平」の一言で交渉は続きます。

    e:「耕平」から「「横暴って感じ。専制はよくないって。国がほろびる」

    F:と厳しく批判された「母親」は

    e:「お母さん、むりじいをしたっていうの」

    F:と畳みかけるように、

    e:次々とまくし立てる?

    F:「耕平」が思わずもらした

    e:「うわぁ」

    F:というつぶやきは

    e:「勘弁してくれ」

    F:といったところ。

    e:頭に血が上った「母親」に詰め寄られた

    F:「耕平」は話を茶化すことで

    e:言い争いから逃れよう?

    F:としています。

    e:つまり、むきになって自分に怒りをぶつけてきた

    F:「母親」から逃げたかったから

    e:「茶化」した?

    F:ということですね。

    岩瀬成子━そのぬくもりはきえない━

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    慶應への国語   わからないですね、ぼくは  岩瀬成子  ━そのぬくもりはきえない━ 完

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    岩瀬成子━そのぬくもりはきえない━

    本

     ハルはきっとソファがすきだ。夜はソファでねむる。階段はきっとにがてだ。下にいて、二階の物音に聞き耳をたてているだろう。ハルと呼べば、ハルは首をもたげて波を見る。テレビを見るときも、ごはんのときもハルはそばにいる。ハル。波は心のなかで呼びかけた。ハルのにおいがよみがえった。

     「大きい犬なんでしょ。家のなかで飼われてるんでしょ。そんなこと考えられないよ。猫じゃなくて犬よ。この家のなかを大きな犬がうろうろ歩きまわるなんて、考えられる?考えられないわ。おばあちゃんがいたら、なんて言ったか。きっと目を三角にして、とんでもないって言ったと思う。ぜったい、だめよ」

     お母さんは頭をふった。そして、そんな話はもうしたくないというように、カーディガンの前をぎゅっと重ねあわせると、自分の部屋に入っていった。

    問 「カーディガンの前をぎゅっと重ねあわせると、自分の部屋に入っていった」時の「お母さん」の気持ちを答えなさい。

    e:厳しい言葉で攻撃してくる「耕平」

    F:頑なな態度の「波」

    e:ついに「母親」は

     「大きい犬なんでしょ。家のなかで飼われてるんでしょ。そんなこと考えられないよ。猫じゃなくて犬よ。この家のなかを大きな犬がうろうろ歩きまわるなんて、考えられる?考えられないわ。」

    F:と本音を口にします。

    e:いろいろ理屈を言っても

    F:「母親」自身が犬を飼いたくないわけです。

    e:ふだんは子どもに自分の意思で決めさせる形をとる

    F:「母親」が業を煮やして

    e:「ぜったい、だめよ」

    F:と押し切ることから

    e:「母親」の考えを理解しない子どもたち

    F:に苛立ちを相当つのらせている

    e:のが分かります。

    F:カーディガンの前をぎゅっと重ねあわせて去る様子から

    e:「そんな話

    F:犬を飼う話

    e:はもうしたくない」

    F:という強い”拒絶”

    e:反応がうかがえますね。

    F:つまり、犬を飼うことを強く拒み

    e:子どもたちが自分の考えを一向に理解しない

    F:ことに苛立っているということですね。

    e:ところで、この設問の出来具合はどうでした?

    F:意外と、苦戦。

    e:「母親」の”動作を読み取るのは

    F:苦手?

    e:なんでそんなことするの?

    F:「カーディガンの前をぎゅっと重ねあわせる」という動作そのものが?

    e:そして「自分の部屋に入っていった」という

    F:動作に隠された「母親」の気持ちを読み取るのは

    e:基本ですか?

    F:「物語文」読解の。

    e:それにしても、「母親」の気持ちを読み取るのは

    F:子どもにとって、厳しい?

    e:と思うなあ・・・

    F:過去の幼少時の時の”経験”から・・・?

    e:”大人”は何を考えているのか、よくわからん、というのが正直なところでしたね。

    F:それが、今じゃ、”子ども”は何を考えているのか、よくわからん!ですか・・・・?

    e:まさしく岩瀬成子の”テーマ”?

    F:”わからなさ”に寄り添う?

    e:「わかったね」

    F:「「わからないですね、ぼくは」

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 岩瀬/成子
    1950年、山口県に生まれる。78年にデビュー作『朝はだんだん見えてくる』で日本児童文学者協会新人賞を受賞。92年に『「うそじゃないよ」と谷川くんはいった』で小学館文学賞、産経児童出版文化賞を受賞。95年に『ステゴザウルス』『迷い鳥とぶ』の二作により路傍の石文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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    岩瀬成子━━そのぬくもりはきえない━━

    問 「うちは、昼間はだれもいないの。犬はずっとひとりぼっちよ。そんなこと、させていいの?」 、「わたしが仕事をやめて家にいるのならべつだけど、そんなことをしたら、だれがわたしたちをやしなってくれるの?」、「だから飼わないの。もういやなのよ。あんなこと。かわいそうなことはしたくない」とありますが、これらの言葉からわかる「母親」の気持ちや様子を答えなさい。

    問 「波」の「母親」に対する姿勢はどのように変わってきましたか。

    e:まず、「「うちは、昼間はだれもいないの。犬はずっとひとりぼっちよ。そんなこと、させていいの?」 からわかる「母親」の気持ちや様子は?

    F:「母親」が子どもたちを説得しようとした過程を振り返ります。

    e:まず「よおく考えてごらん」

    F:に続いて、いつものとおり自分の意思で犬を飼う

    e:のをあきらめさせようとしますね

    F:つまり、現実に目を向けさせ

    e:子ども自身の意思で

    F:犬を飼うのをあきらめさせよう

    e:と試みている。

    F:が、今日の「波」はなかなか納得しません。

    e:「耕平」という思わぬ援軍も現れたりして・・・

    F:「母親」は家庭の事情を突きつけ

    e:子どもたちの反論を封じ込めようとしますね。

    「わたしが仕事をやめて家にいるのならべつだけど、そんなことをしたら、だれがわたしたちをやしなってくれるの 」

    F:反論する余地のない現実を示すことで、

    e:子どもが納得せざるを得ないように

    F:しむけようとしている。

    e:それでも、効果なしとみるや・・・

    F:さらに食い下がる子どもたちに

    e:今度は一転「ミミ」の話

    F:をして「かわいそうなことはしたくない」

    e:と”情”に訴える

    F:作戦に出ます。

    e:つまり、情に訴えて

    F:頑なな態度を一向に崩そうとしない子どもたち

    e:に心変わりを誘っている?

    F:が、「

     「それって、まるで、交通事故に一度あったから、二度と車に乗りたくないって言ってるみたいにきこえる」

    e:「耕平」に理屈で切り返されてしまいますね。

    F:さらに、「横暴」

    e:「専制」

    F:という言葉で厳しく非難され

    e:ついに感情を爆発

    F:させた「母親」は

    「この家のなかを大きな犬がうろうろ歩きまわるなんて、考えられる?考えられないわ」

    e:という本音をついこぼしますね。

    F:つまり、理屈で対抗してきた子どもに

    e:振り回されて感情的になり

    F:思わす本音をぶつけているという始末ですね。/p>

    e:「波」の「母親」に対する姿勢の変化は?

    F:徐々にではありますが、変わっていきます。

    e:何事も自分の意思で決めていたつもりでも

    F:実は「母親」の言いなりだった

    e:と気づき始めた「波」

    F:は、今回は

    e:「ハルはね、行くところがないんだよ」

    F:と弱々しいながらも抵抗し

    e:「だめ」と「前髪をつんつんひっぱった」

    F:りしながら頑張っています。

    e:うまく言葉には出てこないが

    F:「母親」の言うことを聞くばかりでなく

    F:自分の意思を示すようになってきています。

    e:つまり、「母親」の言うことを聞くばかりでなく

    F:自分の意思を伝えようとする姿勢

    e:が徐々に見え始めている

    F:ということでしょうね。

    岩瀬成子 ━━そのぬくもりはきえない━━

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    2017年 国語記述スタートダッシュ生 新年度限定募集

     中学入試の合否を決する”決め手”は第1志望校攻略のための1年間のプログラム作成にあると考えて、その年間のプログラムを「3の段階」に分けて作るとよいでしょう。

    第1段階は『夏期講習』が始まるまで

    第2段階は『夏期講習』が終わるまで

    第3段階は『冬期講習』が終わるまで

      しかし、この作業を初めて中学受験を体験されるご父兄には重荷になるでしょう。だからといって塾に相談をもちかけても適切なアドバイスをしてくれるとは限りませんね。 そこで、中学受験を知り尽くしたプロチュータ。その効果のほどは絶大。何故なら、マン・ツー・マンによる個人対応で3段階のプログラム作成は勿論のこと、年間を通してのメンタルなサポートやフォローもしっかりやってくれます。 座右の師=プロチューター20%の合格率を80%にしてしまうミラクルチュータを持つーこれが合格への最短距離だと断言できるでしょう。 志望校合格のカギ、それは徹底した年間プログラム作成とメンタルサポートとフォローができるプロチュータの存在です。 そして、この1年間で、ライバルに決定的な差をつけ、『合格』の2文字を勝ち取りましょう。

     「国語記述」を苦手とする生徒が目立って多くなってきています(朝日新聞平成8年11月10日付)。その理由は今までの進学塾では決定的な学習対策がなされていないからです。
     ご存知のように、ほとんどの進学塾の場合、来る日も来る日も「切り張りプリント」と「テキスト授業」です。これでは本番に通用する受験生が育つわけがないでしょう。
     そのため、最近の入試では特に御三家・筑駒・駒東中では「国語記述」で合否が決まるとさえ言われています。他の教科では差がつかないからです。また、入試問題では「記述式」が多くなって決定的に差がでてしまうからです。
     「国語記述」を伸ばすにはどうすれば良いのでしょうか?
     それは読書・作文だと言われ、それに反対するつもりはありませんが、入試まであと5ヶ月。もっとすべきことがたくさんあるはずです。
     それは、たとえば、開成中なら「論理性と物語の本質」を、麻布・武蔵中なら「物語の本質」を、筑駒・灘中なら「論理性と詩の本質」を徹底的に理解することです。そこから明快な解答が導かれるのです。それを理解した地点で問題を眺めてみると、こんな易しい問題もないことに気づくはずです。
     すると、従来、たとえば御三家の国語は6割とれれば合格点といわれてきましたが、私たちの指導からすれば8~9割以上とれても不思議ではないことになります。
     御三家レベルの入試はどんな生徒も解いてみなければわからない不確定のものですが、国語における、この2~3割アップが『合格』をより確実なものにするでしょう。難関校では、誰しもよくできる算数や他の教科では差がつきません。指導法が、確立しておらず、知識のつめこみが役に立たない国語記述で合否が決まるのです。
     ここでは徹底した発想力・思考力の養成と学校別対策集中指導で他の受験生と国語記述力で決定的な差をつけます。
     国語記述は短期では差がつかないとあきらめている人も多いでしょう。なるほど知識、特に漢字の学習ではそれが言えるかもしれません。しかし、これだけ毎年傾向が同じ入試問題では対策の方法というものが確実にあります。
     それは感受性とか直観力という曖昧な問題ではなく、あくまで科学的に分析できるものであり、考え方と発想の方法を教えることで短期に習得できるものです。それぞれの進学塾が各学校の入試問題に対する模範解答を出していて、それを見ると各進学塾のレベルが手にとるように分かってきます。
     とりわけ、御三家の国語問題に対する「記述解答」には驚かされます。これでは合格できないであろうと思われるようなもの、あるいは、逆に子供が到底書けないような高度なものが堂々と出されています。ここでは、子供が考えられ、書ける。しかも、合格し得るレベルで指導します。

    『開成・麻布・武蔵・駒東・筑駒・慶應・栄光・聖光・灘中への国語』・・・・・・・新小6対象

    個人別「オリジナルカリキュラム」に基づき、「カルテノート」「カリキュラムレコード」を作成。万全のフォロー体制。

    ・開成中への記述・・・・・・・・・・・・論説文・物語文の徹底解読と論理と発想力の特訓

    ・麻布・駒東・武蔵・栄光中への記述・・・物語文の本質の徹底解読と心理分析の特訓

    ・慶應普・中・藤沢・聖光中への国語・・・物語文と随筆文の徹底解読と語彙力・文法の特訓

    ・筑駒・灘中への国語記述・・・・・・・・論説文・随筆文・物語文・詩の徹底解読と論理的思考力の特訓

    [募 集]・・・5名 [入会金]・・・10000円 
    [期 間]・・・2018年1月末日
    [1時間]・・・7500円(教材費・交通費込)   
    [教 材]・・・『実物大過去問題』(平成元年~25年)

    ・早中・早実・早高・海城・巣鴨・桐朋・渋幕・学習院・暁星・成蹊・西大和中への国語・・・・・・・新小6対象

    [募 集]・・・5名 [入会金]・・・10000円 
    [期 間] ・・・2018年1月末日
    [1時間]・・・5000円(教材費・交通費込)  
    [教 材]・・・『実物大過去問題』 (平成元年~25年ー早高・西大和中は別)

    ・開成・麻布・武蔵・駒東・筑駒・慶應・栄光・聖光・灘中への国語(基礎)・・・・・・・・新小5対象

    [募 集]・・・5名 [入会金] ・・・10000円 
    [期 間]・・・2019年1月末日
    [1時間]・・・5000円(教材費・交通費込)  
    [教 材]・・・『学校別国語記述オリジナルプリント』

     ここでは、読解問題を一律にする指導から脱却し、国語学習の理想環境を設定して、あらゆる教科の基礎である語彙迫ヘや考える力そのものの向上を目指すとともに開成・麻布・武蔵・駒東・慶應・筑駒・灘中受験に必要な国語基礎力を養成します。
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    ※指導までのプロセス
      
    ①お電話でお問い合わせ下さい。面談に日時を決定します。
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    駒東への国語  彼はいったい、何者なのだろう  薄井ゆうじ ━青の時間━  プロローグ

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                          ≪これまでのあらすじ≫

     ある日、風変わりな少年が「僕」(岩崎満)のクラスに転校してきた。名前は「青木万里夫」という。しかし、クラスに馴染めない「万里夫」は孤立したまま、夏休みを迎えることに。八月のある早朝、”カブト虫”を捕まえるために、「僕」は妹(奈奈)と近くの森に出かけ、そこで偶然「僕ら」は、手品の練習をする「万里夫」と遭遇。クラスでの様子とは異なり、そこでの「万里夫」は「僕ら」と積極的に話しかけるのだった。話の中での”カブト虫”にどういうわけか「万里夫」は異常なほどの興味を示し、捕まえた”カブト虫”をぜひわけてくれるように「僕ら」に頼み、立ち去る。

     夜が明けて、陽が高くなった。

     小屋の近くまで来てみたが、水車は回っていなかった。これが壊れたのは僕が幼稚園のころだろうか。あれからもう、ずいぶん経つ。いや、水車は壊れたのではなく、巨大な水車を回すのに十分な水量が小川から失われて久しいのだった。

     僕は水車小屋の前に立って、しばらく迷っていた。

     妹は先に帰らせた。一緒に連れて来ようかとも思ったのだが、妹は水車小屋に近寄ることを怖れた。それより、早く籠いっぱいのカブト虫を家に持ち帰って遊びたいのだった。カブト虫は驚くほどたくさん木に群がっていた。何日か前に蜂蜜を塗っておいたのがよかったのかもしれないが、一度にあんなにたくさんのカブト虫を見るのは、はじめてだった。あの小さな森の、どこから涌いてきたのだろう。クワガタも何匹か混じっていた。僕はそれらをすべて捕ることはせずに何匹かを選んで籠のなかに入れると、惜しそうに振り返る妹をうながして森を出た。

     水車小屋と家への分岐点まで戻ってきたとき、僕は籠のなかから雄雌一匹ずつカブト虫を取り出し、来るか?と妹に言った。意味がわかったのだろう、僕が持っている二匹を残念そうに睨みつけると、妹は首を横に振った。家のそばまで妹を送って水車小屋の前に引き返して来たところには、もうすっかり夜が明けていた。そして僕は、迷っているのだった。

     ━━彼はいったい、何者なのだろう。

     それがわからなかった。わかっていることなんて何もない。敵なのか味方なのか、どこから来たのか、なぜ木製のピンを放り上げていたのか。

     わかっているのは彼の名前と、友達をつくりたがらないということ、そして水車小屋に住んでいるらしいということだけだ。ここに誰と住んでいるのか、それさえもわからない。

     だがもうひとつ、僕にはわかっていることがあった。彼はカブト虫を欲しがっている。そして僕はいま手のなかに二匹のカブト虫を持っている。そのことだけが頼りだった。勇気を奮い起こして深く息を吸い込むと僕は小屋のドアをノックした。粗末な板切れを乱雑に釘で打ちつけてあって、どこがドアなのかわからないような外壁だった。もういちどノックしたとき、僕が叩いた箇所とはぜんぜん別の外壁の一部がひらいた。そこが出入口らしい。

     薄くひらいた戸の隙間から、色白の肌と細い目が覗いた。その視線が僕をとらえると戸は大きくひらいて、そこに万里夫が立っていた。

                                   *

     その日をきっかけにして、僕はたびたび水車小屋へ行くようになった。夏はうんざりするほど長かったし、彼との距離をゆっくりとせばめるには充分すぎる時間が転がっていた。

     僕は水車小屋のドーナッツ型の椅子にすわって彼の手のなかから、さまざまな品物が出現するのを見た。トランプ、サイコロ、本、帽子やステッキ。そういうものが薄暗い小屋のなかで、彼のてのひらから次々に出現した。彼の指のあいだではコインが自由に踊り、カードが扇になり、波打ち、そして花びらのように散った。

     たった一人の観客のために万里夫はいつまでも飽きずに無数の手品を演じた。明るくてテンポの速い、そしてよく計算されたマジックショーだった。いままでにテレビで観たどのマジシャンの演出よりも、垢抜けていて、新鮮でリズム感のある小さな驚きが僕の目の前で次々に繰り広げられていく。そういうものを見るのは、とても楽しかった。

     「全部、ひとりで考えたんだ」

     「手品師になるのか?」

     「わからない。こうしていると気分がいいだけだよ」

     彼は曲芸やアクロバット的なことも熱心に訓練しているようだった。早くサーカスに出てみたい、とも言った。そのことが彼にとって、父や母と一緒に暮らせる唯一の手段なのだと気がついたのは、ずいぶんあとになってからだった。

     僕は何度か、妹の奈奈も小屋に連れて行って彼の手品を見せた。奈奈ははじめのうちは怖がっていたが、しまいには連れて行ってくれとせがむようになった。彼は奈奈を連れていったときに限って、いつも新しい手品を披露した。だから妹は同じ手品を二度と見ることはない。それは万里夫が意識してそうしているのか、あるいは偶然そうなったのかわからない。いずれにしても奈奈と万里夫は親しげに会話するまでになっていた。

    問 「僕は水車小屋の前に立って、しばらく迷っていた」、「そして僕は、迷っているのだった」とありますが、何について「僕」は迷っていたのですか。

    問 「妹」が「首を横に振った」のはなぜですか。

    問 「敵なのか味方なのか」とありますが、これはどういうことですか。

    e:水車小屋と言えば・・・

    F:黒澤明 『夢』の撮影に使われた

    e:大王わさび園の「水車小屋」ですな。

    ー水車のある村ー

    旅先で、静かな川が流れる水車の村に着く。壊れた水車を直している老人に出会い、この村人たちが近代技術を拒み自然を大切にしていると説かれ、興味を惹かれる。老人の初恋の人であった老婆の葬式が行われた。村人は嘆き悲しむ代わりに、良い人生を最後まで送ったことを喜び祝い行進するのであった。ー夢 (映画) - Wikipediaーより引用

    F:水車小屋と言えば・・・

     『橋野川の川原をどこまでもさかのぼると、三十分ほどで、右側に水車小屋が見えてくる。その水車小屋と並んだ萱ぶきの一軒家が、おれの家なんだ』ー井上ひさし ━━川上の家━━よりー

    e:例の”河童伝説”?で、「万里夫」が河童?

    F:まさか???「水車小屋」という舞台装置は

    e:なにか”神秘的”なイメージが・・・

    F:しますか?

    e:”悲劇性”?

    F:しますか?

    シューベルト作曲・ヴィルヘルム・ミューラー作詞『美しき水車小屋の娘』

    さすらいの旅に出た若き粉引き職人が、旅先で美しい水車屋の娘と出会い恋におちる。しかし男性の想いは娘には伝ず、若者は娘の姿に心を奪われながら悩み続ける。そのうちに娘は狩人に心を奪われる。粉引き職人は心痛のあまり小川に身を投げる。 ー水車小屋 - Wikipedia ーより引用

    e:関係ない、みたいですな・・・

    F:さて、「僕」が迷い悩んでいたのは?

    e:「勇気を奮い起こして深く息を吸い込むと僕は小屋のドアをノックした」とありますから

    F:「小屋のドアをノックするかしないか」

    e:単純に考えて

    F:その点ですね。

    e:じゃあ、なぜノックするかどうかについて悩む?

    F:正体不明の「万里夫」ですから

    e:どんな所に住んでいるのか?不気味?

    F:あるいはこれから「僕」はいったい何をしようとしているのか?

    e:意思がまだはっきりと固まっていない?

    F:「万里夫」に対しては興味津々で

    e:関心はあるが

    F:必ずしも仲がいいとは言えない

    e:どちらかといえば”疎遠”?

    F:どいうふうに判断して行動していいのか

    e:具体的な判断ね

    F:「僕」は判断に迷っている、

    e:具体的な行動とは

    F:例の二匹の”カブト虫”を手渡すかどうかということですね。

    e:次に、妹の奈奈が「を横に振った」のは?

    F:単純に「『僕』の誘いを断ろうとしたから」

    e:正体不明の「万里夫」のいる水車小屋の行くかどうかという、ね

    F:だけでは、

    e:説明不十分ってとこかな?

    F:それでは、”説明”したことにはならない

    e:ですか?では、前に「捕まえたつがいのカブト虫を手渡すため」と書けば・・・

    F:×に近い

    e:△?

    F:「妹は水車小屋に近寄ることを怖れた」

    e:「それより、早く籠いっぱいのカブト虫を家に持ち帰って遊びたい」

    F:とありますから、

    e:しっかりこのあたりの”根拠”?

    F:書くべきでしょうね。

    e:この”怖さ”と”遊びたさ”で

    F:「僕」の誘いを断ろうとしたから

    e:○に近い

    F:△?

    筆名:薄井ゆうじ
    本名:薄井雄二 (ネット名:くじら鳥)
    生年月日:昭和24年(1949年)1月1日
    出身地:茨城県(県立土浦第一高等学校卒高校卒業後、日雇い生活。
    その後、イラストレイター「たの・かえる」として週刊プレイボーイ誌に五年、夕刊フジ紙に十六年間イラストを掲載。イラストルポやグラフ誌写真取材等を手掛け、広告及び編集プロダクション「株式会社イーハトーブ」を経営。現在は専業作家として文芸各誌に小説を多数連載

    薄井ゆうじ━青の時間━

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    メモ

    駒東への国語  友達なんていらない 薄井ゆうじ ━青の時間━ 1

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     気が遠くなるほど長いはずの夏休みは、あっという間に過ぎ去った。新しい学期がはじまると僕は水車小屋へはほとんど行くことがなくなった。またほかの友達と遊ぶようになって、万里夫からすこしずつ遠ざかっていった。万里夫は僕以外の少年とは相変わらず口をきこうともしない。彼とだけ付き合っていれば、僕はほかの友人を失うことのなる。万里夫を仲間の輪に入れようと何度か努力してみたが、それはうまくいかなかった。そんなふうにして彼はまた、もとのように孤立していった。

     「友達なんていらない」と彼は言った。

     「どうして」

     「ミツルは別だ」

     彼はその理由を言わなかった。たぶんカブト虫と何か関係があるのだろうと思ったが、僕はそれ以上、何も訊かなかった。

     そうして、彼との距離は平行を保ったまま秋が来た。僕は久しぶりに水車小屋を訪れた。彼が来ないかと誘ったのだった。また新しい手品を見せたいのだろう。そう思って行ってみると彼は小屋の外の、水車近くにすわっていた。大きな水車はひからびたまま、ちろちろと流れる小川の水を恨めしそうに見下ろしている。彼はその土手にすわって、流れを見つめていた。

     「回そうかと思うんだ」背丈の倍以上もある大きな水車を見上げて彼は言った。

     「手品じゃなくて、本当にこれを回してみようと思ってるんだ」

     「どうやって?」僕は巨大な水車とわずかな水に流れを交互に見ながら言った。

     「クブト虫の摑みかたと同じだ、僕に訊くよりも自分で考えたほうがいい」

     手で回す。それがいちばん手っ取り早いだろう。だが彼は、違う、と言った。

     「方法は二つある。ひとつは川の水量を増やすこと。巨大なポンプでどこかから大量の水を引いて来るんだ。でもそれは、手間もかかるし僕たちにはできない。もっと簡単な方法がある。流れを堰き止めるんだ。」

     「堰き止めたら、よけいに回らなくなるじゃないか」

     こうするんだ、手伝え、と彼は言って立ち上がった。どこかから太い棒を二本持ってくると小川の上流の川幅いっぴに立てた。その支柱を支えにして板を何枚か組み合わせると、大きな壁ができた。川の水はそれに堰き止められて、すこしずつ貯まっていく。彼が何を考えているのか、ようやくわかってきた。

     「ずっと考えていたんだ、水車を回す方法を。流れる水を増やそうなんて考えてはいけない。堰き止めるんだ」小川の水はじりじりと水位を上げていく。「僕らはまだ、流れていくことしか知らない。そのうち流れを止めることも覚えなければ。そんな気がする。」

    問 「友達なんていらない」とありますが、なぜですか。

    問 「彼との距離は平行を保ったまま」とありますが、どういうことですか。

    問 「彼が来ないかと誘ったのだった」とありますが、「万里夫」が「僕」を水車小屋に誘った目的を答えなさい。

    問 「本当にこれを回してみようと思ってるんだ」とありますが、では「万里夫」はどうやって回したのですか。

    問 「そのうち流れを止めることも覚えなければ」とありますが、どういうことですか。

    e:またまた出ました!?『薄井ゆうじ』の世界・・・

    F:薄井ゆうじと言えば、最近、麻布中で出題されましたね。

    麻布2010年「木登り牛」(『十二支の童話』所収、薄井ゆうじ)

    e:確か、「飼育する少年」(『十四歳漂流』所収)開成中で平成14年に出題されました.よね。

    F:ということで・・・駒場東邦中学

    e:出てもおかしくないけど・・・

    F:出ない確率の方が高いかも・・・

    e:と、言ってもどこかの学校で出る可能性は高い?

    F:開成、麻布の問題は

    e:注目校や

    F:躍進校なんかは研究していますからね・・・

    e:出る確率が高い?

    F:過去に”例”が

    e:いくらでもある?

    素顔が隠されたマジシャン“ブルー”。
    僕は彼のなかに幼なじみの姿を見た。
    が、彼の幹部スタッフのなかにも、
    なぜか“ブルー”の影がちらつく。
    そして悲しい真実が明らかになるとき、彼は姿を消した。
    “ブルー”はいったい誰なのか、そしてどこへ行ったのか。 長編
    文藝春秋
    1995年12月15日刊行
    定 価 1600円
    ISBN4-16-640060-6
    判型B6/293ページ

    筆名:薄井ゆうじ
    本名:薄井雄二 (ネット名:くじら鳥)
    生年月日:昭和24年(1949年)1月1日
    出身地:茨城県(県立土浦第一高等学校卒高校卒業後、日雇い生活。
    その後、イラストレイター「たの・かえる」として週刊プレイボーイ誌に五年、夕刊フジ紙に十六年間イラストを掲載。イラストルポやグラフ誌写真取材等を手掛け、広告及び編集プロダクション「株式会社イーハトーブ」を経営。現在は専業作家として文芸各誌に小説を多数連載

    薄井ゆうじ━青の時間━

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    駒東への国語 薄井ゆうじ ━青の時間━ 2

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    F:さて、

    問 「友達なんていらない」とありますが、なぜですか。

    e:上位校はこのような問題をよく出しますね・・・

    F:前後文で解決できない

    e:両目の範囲で解けない

    F:原則

    e:”パス”問題かな?

    F:相当、後の方まで読んでいかないと・・・

    e:帰納法で?

    F:”別れの場面”

    e::”別れの場面”って結構、ポイントになtりますね・・・

    F:物語を”凝縮”するような記述が時々、見受けられますから。

    e:「刑事コロンボ」の帰り際に、「あ~・・・、それから

    F:もうひとつ、訊きたいことが・・・」

    e:意外と、これが事件の真相の

    F:”鍵”になっていたりして・・・

    e:物語文も得てして・・・

    F:ドラマも物語ですから。

    e:で、

     「クラスのみんなに挨拶していかないのか」

     「先生もそう言っていた。でも今日の列車の切符を速達で送ってきたから、もう時間がない。それに・・・・・・」そこで彼は言いよどんだ。

     「いつか、友達なんていらないって言っただろう」

     「冷たいんだな」

     「あんなの嘘だ。今日みたいな日が辛くないように、そうしているだけだ」

     そのことはわかっていた。そう気がついたのはつい最近だが、僕にはなにもかもわかっていたような気がする。

     「・・・・・・残念だな」と僕は言った。

     「一人だけ友達ができた。それで充分だ」真っ白な息と一緒に言葉を吐き出した。

    F:この「いつか、友達なんていらないって言っただろう」

    e:という万里夫の”セリフ”に

    F:気がつけば、その直後に

    e:万里夫自身が本音を吐露してますな。

    F:両親からの手紙によって

    e:万里夫自身の意思とは無関係のまま

    F:突然の”別れ”を伴う不意な、”転校”

    e:不本意な、”転校”を重ねるような?

    F:”思いがけない転校”の生活を過ごしていると推測できますね。

    e:このような境遇が「友達なんていらない」

    F:と言わせた背景にあるんじゃないでしょうか。

    問 「彼との距離は平行を保ったまま」とありますが、どういうことですか。

    e:「距離は平行」とは?

    F:「万里夫」と「僕」との”思い”

    e:の”ギャップ”?

    F:意思疎通の

    e:”ズレ”?

    F:「万里夫」の”境遇”に

    e:思いを馳せれば・・・「僕」の態度にはちょっと”冷たい”

    F:”思いやり”が足りない?

    e:「万里夫」の方は”発言”とは裏腹に

    F:”友達”志向?

    e:「僕」の方こそ「友達なんていらない」的態度

    F:冷淡で、

    e:素っ気無い?

    F:無関心?

    e:「僕」の方は”バランス”志向かな?

    F:「ひとと歩調を合わせる」という記述が最後のほうにあります。

    e:”平行バランス”?”対立バランス”ではなく・・・

    F:「僕」の方は付き合いの”バランス”を考えていることは

    e:確かですな。結果的に「万里夫」が孤立してしまう状況を作っても

    F:それを気にするような素振りもありませんね。

     万里夫は僕以外の少年とは相変わらず口をきこうともしない。彼とだけ付き合っていれば、僕はほかの友人を失うことのなる。万里夫を仲間の輪に入れようと何度か努力してみたが、それはうまくいかなかった。そんなふうにして彼はまた、もとのように孤立していった。

    e:「特別な存在」としての”+”の想いと

    F:「普通の友達」としての”ー”の思いの

    e:悲しいかな?

    F:”すれ違い”って、とこですかね・・・

    e:で、この設問のポイントは?

    F:この後の展開をふまえた場合でも、

    e:「万里夫」は「僕」

    F:「僕」ってのは

    e:「満」

    F:「ミツル」に対して

    e:常に好意的な接触を

    F:働きかけをおこなっていますね。

    e:直前でも、

    F:「万里夫」は「友達なんていらない」

    e:と言いつつ「ミツルは別だ」

    F:と言っており、「僕」への好意的な態度

    e:が印象に残りますな。

    F:一方、「僕」の方はと言えば

    e:これまた、そっけない

    F:冷淡ともいえるような無関心さ

    e:他の友達との手前、仕方ない?

    F:”転校生活”の経験がないので・・・

    e:例の”別の友達との付き合いのバランス”?

    F:を考え、結果的に「万里夫」が

    e:”孤立”してしますようになっても、

    F:それを気に病むような様子がないですね。

    e:アメリカ・シリアの”話し合いは平行線”!?

    F:???

    e:「万里夫」と「僕」の

    F:”付き合いは平行線

    e:「万里夫」は「僕」との間に

    F:”一定の距離”を感じたまま

    e:”おさらば”って感じかな・・・

    F:親密度を高めることも・・・

     「それに、ぼく、もうすぐ転校するし」

     わたしはゆっくりと首を回して彼を見た。

     「どこに?」

     「東京」

     「そうか」

     わたしはなんとなく道の端にしゃがみ込んだ。目の前を川が流れている。水量は少なく、乾いた土手には手を切りそうな薄の葉が揺れている。そんなものを眺めながらしばらく黙っていた。

    あの日のあなたがここにいる  松村栄子  ━001にやさしいゆりかご━

    大がかりな手品のトリックのあたり、面白かったです。
    読み応えアリ。

    人は他人の中に、自分の求めている人格を見つけ出す、という話なのかな。
    だから、誰もがその人であって、その人でないという…。
    誰かの影を追い求めているということか。
    自分の求めているものの本質がわかると、すとんと納得できるのでしょうが、この本を読むと、それは自分の悲しい記憶につながっているのではないかと、不安になります。ー本の日記:「青の時間」薄井ゆうじーより引用

    ■『青の時間』薄井ゆうじ


    ■題名: 青の時間
    ■著者: 薄井ゆうじ
    ■出版: ハルキ文庫


    『青の時間』薄井ゆうじ

    薄井ゆうじ━青の時間━

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    駒東への国語 薄井ゆうじ ━青の時間━ 3

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    問 「彼が来ないかと誘ったのだった」とありますが、「万里夫」が「僕」を水車小屋に誘った目的を答えなさい。

    e:これは”意味深”の誘い?

    F:"水車小屋"

    e:「水車」=「万里夫」?

    F:それはさておき・・・「万里夫」は「水車小屋」で何をしたのか?

    e:”マジック”じゃないですよね・・・そこんとこの

    F:説明を

    e:具体的に!

    F:実行した内容ですね。

    e:そして、その行動によって

    F:どのようなことを伝えよう

    e:「マリオット」いや「万里夫」の”メッセージ”?

    F:を考えます。

    e:確かに、「」

     「手品じゃなくて、本当にこれを回してみようと思ってるんだ」

    F:とあります。さらに「これは手品なんかじゃない」

     「このことを、忘れないでほしい。水車は、こうして回すんだということをね」

    e:「水車」=「万里夫」は、こうして回すんだということをね。

    F:「忘れないでほしい」・・・それはさておき・・・

    e:ここで、”マジック”のようなことが起こっていますね。

    F:「僕」から見れば

    e:”マジ???”って感じですか!?

    F:現実的に考えれば

    e:誰が考えても

    F:実現不可能と思われたことが・・・

    e:目の前で”現実”になっていく・・・

    F:つまり、現実に困難と考えられたことが

    e:「万里夫」の手で

    F:”実現”されていく状況が・・・

    e:これぞまさしく”マジック”!?

    F:そういうふうに「僕」は思ったことでしょう・・・

    e:「水車」が動く、あるいは

    F:”動かせる”ということは

    e:果たして”何”を意味しているのか?

    F:本当のところは・・・

    e:「薄井ゆうじ」に訊いてみなければ

    F:わからない・・・

     水車はまだ回りつづけている。僕は目の前の光景を見ながら、彼が考えていることの何分の一も理解できない自分に腹を立てていた。きっと彼は僕に何かを伝えたいのだ。

     彼は僕に、水車の回るのを見せるためにだけにここへ呼んだのではないだろう。もっと別のことが言いたかったにちがいない。

    e:解釈はあくまでも、推測

    F:憶測の域を出ない

    e:っていうことですな。

    F:どう考えようと「読み手」の自由

    e:とにかく、いろいろと考えさせてくれる

    F:ところが、”ウスイ”

    e:”クジラ・ワールド”の

    F:醍醐味

    e:っていうことですか・・・

    F:”選択肢”問題にすると

    e:”ヤバ”くなる?/p>

    F:正解が複数になる可能性が出てくる?

    e:昔、選択肢に噛み付いた作家がいましたね・・・

    F:それはさておき・・・

    e:ところで、「万里夫」の願い事は?

    F:「水車」を回すということは

    e:その願い事を叶えるための

    F:ひとつのステップかもしれませんね・・・

    e:願い事とは?

    F:将来、サーカスに出られるようになることですね。

    e:そのためには?

    F:早く一人前の”大人”になること

    e:つまり、誰よりも早く”自立”するということですか?

    F:そうならなければと

    e:「万里夫」は考えたのかな?

    F:誰にも頼らずに

    e:”ひとり”で「水車」を回すこと

    F:がその手段と考えたのでしょう。

    e:そして、「万里夫」は「僕」に対して、こんなことを言っていますね・・・

    F:「・・・、僕に訊くよりも自分で考えたほうがいい」

    e:自分で考えろと・・・お前も早く自立しろ、と?

    F:さらに、

     「僕らはまだ、流れていくことしか知らない。そのうち流れを止めることも覚えなければ。そんな気がする。」

    e:「流れを止める」とは?

    F:”自分の意思”を持て

    e:”他力本願”ではなく

    F:”主体性”を身につけろ

    e:”自我”の確立?

    F:”自主性”

    e:行き着くところが”唯我独尊”になってしまっては困るけど・・・

    F:天上天下?

    e:なんだかんだ、勝手な解釈を言ってきましたけど・・・

    F:要するに、こういうことでしょうね。いつか、自分の意思で

    e:”大人”になろうと

    F:する時が必ずやって来るものだ

    e:から、「獏」にも

    F:来るだろうと・・・

    e:また、後に

     僕は無言で、小屋のなかで踊りつづける人形や家具を見ていた。そのときふと、彼が遠くへ行ってしまうのではないかという思いにとらわれた。なぜそう思ったのかはわからない。たぶん、水車はいつまでも回りつづけるわけにはいかないのだ。

    F:とありますね。

    e:「彼が遠くへ行ってしまうのではないかという思いにとらわれた」・・・

    F:ここから、友達だと思っている「僕」に

    e:「万里夫」が近々”別離”?

    F:”別れ”が来ることを

    e:”暗示”?

    F:しているとも考えられますね。「水車はいつまでも回りつづけるわけにはいかないのだ」

    e:「逢うは別離のはじめ」?

    F:愛別離苦?

    e:さよならだけが人生だ!!!

     かれはそう言って、あとは黙ってしまった。長い時間、僕と万里夫は土手にすわって水位が上がっていくのを見ていた。川はもう土手の縁すれすれまで上昇して、かなり上流のほうまであふれそうになっている。

     「もういいんじゃないか」

     「まだだ」と彼は言った。

     「できるだけ多く貯めるんだ。そうすれば水車はもっと早く回る」

     彼は僕に、水車の回るのを見せるためにだけにここへ呼んだのではないだろう。もっと別のことが言いたかったにちがいない。僕は誰も通りかからなければいいがと思いながら、土手の縁ぎりぎりになって、あふてはじめている小川を見ていた。

     「もういいかな」

     彼はゆっくりと立ち上がった。板を一気に取り除くのは容易ではなかった。やがて板がはずれると水は奔流となって水車小屋のほうへ走った。ぎい、と鈍い軋み音を立てたあと、水車は一気に回りはじめた。上流まで水をたたえた小川はさらに水車を回転させようと、膨大な水を走らせている。彼はその様子を無表情で見ていた。やがて僕に、来いよ、と言った。うながされて小屋のなかに入ったとき、僕は息を呑んだ。

     回転する水車で、小屋は重く振動している。水車の軸は小屋のなかで回転しながら、そこにあるさまざまなものを動かしているのだった。軸から動力を得て、マリオネットのようにピエロの人形が踊っていた。大きなサイコロが回転し、ハンモックが揺れ、冷蔵庫や家具が踊っていた。それらはすべて、見えないワイヤーで水車につながっているのだった。

     「これは手品なんかじゃない」彼が言った。

     「でも僕は、こういうことがしたかったんだ」

     水車はまだ回りつづけている。僕は目の前の光景を見ながら、彼が考えていることの何分の一も理解できない自分に腹を立てていた。きっと彼は僕に何かを伝えたいのだ。

     「このことを、忘れないでほしい。水車は、こうして回すんだということをね」

     僕は無言で、小屋のなかで踊りつづける人形や家具を見ていた。そのときふと、彼が遠くへ行ってしまうのではないかという思いにとらわれた。なぜそう思ったのかはわからない。たぶん、水車はいつまでも回りつづけるわけにはいかないのだ。

    問 「もっと別のことが言いたかったにちがいない」とありますが、「別のこと」とは何ですか。

    問 「きっと彼は僕に何かを伝えたいのだ」とありますが、「彼」は「僕」にいったい何を伝えたいのですか。

    十八年前、青木万里夫という色白の少年が中学に転校してきた。夏休み、妹の奈奈と森へカブト虫を捕りに行き、僕はそこで万里夫に遭遇する。その日から僕は万里夫が一人住んでいる水車小屋へ行くようになり、いろいろなマジックを見せられた。冬休みが終わると、万里夫はあげたカブト虫を返して、サーカス団員の両親を追って転校していった。それっきり僕の水車は止まっていた。
     三十二歳になった僕はフリーの「呼び屋」をやっていて、今抱えている仕事は、ブルーという世界的なマジシャンを日本に招聘してテレビCMに起用することだった。半年間接近を試みてあきらめかけていた頃、話を聞くというメールが届いた。妹に途中シカゴに寄るよう言われ空港で待っていると、妹の代わりに三島沙菜江という女性が迎えに来た。その女性がブルーのエージェンシーの担当者で、なぜか妹もその事務所で働いていた。暗い部屋で会ったブルーは、水車小屋や冬のカブト 虫の話を始めた。彼は青木万里夫なのだろうか。仕事のすべてを任せている小倉貴史に相談するように言われ、会ってみると小倉はブルーとは対照的に色黒で 快活な男だったが、サングラスをかけるとなぜかブルーに似ていた。日本に帰った僕は、ブルーのマジックのプロジェクトの中で働きはじめる。奈奈は小倉に、沙菜江はブルーに恋していた。 そして、脳外科医鴻池によって明かされるブルーの悲劇。
     特異な才能を持つ人の孤独、それにかかわって見守る人々、最後に訪れる別れと再生。いつもの薄井ゆうじパターン。
     「青の時間にはすべての生命が眠って活動を停止しているように見えるが、その生命体のなかでは細胞が、あるいは器官が生き生きと活動をつづけている。来たるべき目覚めのために用意された烈しい時間、それがタイム・ブルーだ」
     「僕はすべての場所へ行くことができる。すべての場所に僕の答は用意されている。僕は無数の僕のなかから、たったひとりの僕を選びとるために歩きだす。」

    薄井ゆうじ━青の時間━

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