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Channel: ー開成・麻布・駒東・筑駒・慶應への国語-中学受験
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開成・麻布への国語 二昼夜の汽車の旅 三木卓  ━裸足と貝殻━ 1

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 敗戦、死と背中合わせの中国からの引揚げを経て、五年生の豊三少年一家は親戚を頼りに、静岡に落ち着く。崩壊した秩序と価値観の中で、内地の生活は少年にとって何もかもが珍しく、新鮮に感じられ、青空のような未来が豊三の前に広がっていく。終戦直後の青春をみずみずしく描く。

 四二〇〇トンの巨船から大きく突出している船首を、加藤豊三は腹這いになって先へ進んだ。揺れ騒ぐ海面はビルの屋上から見る遠さである。

 ・・・・・・この引き揚げ船の船首で宙に浮いている者。それが自分だ。

                      《 これまでのあらすじ 》

 【加納豊三は小学五年生で、小さいときに小児麻痺にかかってしまったために、普通の子よりも左足が細く小さかった。父の仕事の都合で満州で生活していたが、終戦をむかえ、豊三の一家(祖父と母と兄との四人)は満州から日本へと引き揚げてきた。父は終戦の半年前にすでに病気でこの世を去っていた。引き揚げ船は博多に上陸し、そこから一家は叔母(母の姉にあたる)をたよりに静岡までやってきた。豊三は叔母のところで居候になりながら静岡市内の小学校に通いはじめることになった。】

 授業は、作文の時間だった。受け持ちは井藤だが、この時間は専科の大石という教師の担当だった。入ってきたのは、師範学校を出てまだいくらもたっていないと思われる色白で細面の女性教師だった。自由題で何を書いてもいいという。

 豊三は作文が苦手だった。何を書いたらいいのか、いつも困ってしまう。遠足にいった、とか、博覧会を見たとか、そういうふうにはっきり記憶していることを報告文で書くのなら、できないことはないが、それ以上のことになるとどうしていいかわからない。

 その日はすぐ素材が決まった。博多に上陸してから深夜の静岡駅に到着するまでの旅を、報告文を書けばいい。

 豊三は配られてきた粗悪な仙貸紙に、コーリンという鉛筆でゆっくり書きつけていった。関門海峡の海底トンネルを潜ったところの感動はとくに細かく書いた。深夜の山陽本線で、女たちが窓から小便をした情景は書かなかった。そんな下品なことを書くと叱られる、と思ったからである。

 いつしか書いていることに引き入れられて、夢中になっていた。終わりにベルが鳴った時には、まだ列車は大垣駅近くを走っていた。

 豊三は大石のところへ行った。

 「先生。おれ、書き切れないんですけれど」

 「そう。じゃあ、今晩家で書いてきて、明日、職員室までもっていらっしゃい」

 「はい」

 その晩、十一時までかかって書き上げ、翌日とどけた。

 作文を提出して一週間が過ぎ、次の作文の時間がきた。色白で細面の大石が、微笑しながら作文の束をもって教室へ入ってきた。

 その瞬間、豊三は顔を伏せた。作文は読まれてしまった。きっと、その下手さかげんに顔をしかめて読んだだろう。

 「こんにちは、みなさん」

 大石は、明るい声でいった。

 「先週はごくろうさま。みんなの作文、先生はなかなか面白かったよ。で、今日も、そのなかからいくつか読みますからね。上手な人のをよく聞いて参考にしてちょうだい。文章がしっかり書けると、大人になってから生きていく上でとてもいいのよ」

 たしかに文章のうまいやつは得だ、豊三は思った。親父は中学生のころ、女学生だったお袋をに手紙をたくさん出して、それがお袋を妻にすることができた。あの、無責任にも四十二歳で死んでしまった、ひょろひょろの男だって、文章がうまかったから、お袋をたぶらかすことができたんだ。

 「じゃ何から読もうかな。そうそう」

 大石は相変わらず明るい声でいった。

 「これは読むと、だれが書いたかすぐにわかっちゃうわね。でも、先生、とてもおもしろかったよ」

 豊三は、顔をすこし上げて大石が手に握っている粗悪な仙貨紙を見た。それは裏までがぎっしりと文字が書かれているものだった。

 はっとして、また俯いた。ちがう。裏までぎっしり書いた者が他にもいたのだ。

 「二昼夜の汽車の旅」

 大石は題を読んだ。豊三は背中がぴくりと動いたのを感じた。不意に動いたので、防ぎようがなかった。

 大石はけっして大きくはないが、口跡のしっかりした声で、たんたんと豊三の文章を読み続けた。貨車のドアのところに陣取って、不意の転落から引き揚げた者たちを守った高等学校の学生のところも過ぎ、下関で窓から乗客たちがなだれこんだところも過ぎた。豊三は机に顔をつけてだれからも顔を見られないようにした。机は多くのこどもたちによって傷つけられ、穴は開けられ、悪戯書きがしてあった。そして昼の掃除のときに濡れた雑巾で拭いた、あの埃くさい匂いがした。中国東北でも日本でも、少しもかわらない匂いである。夏の日に、灼けたアスファルトの舗装道路を雨の雫が叩きはじめるとき立ちのぼる、あの匂いにも似ていると思った。

 そんなことを思いながら、耳は大石の声を一文字でも聞き逃すまいとしていた。作文を、教師によって読まれたのは初めてである。そういうことをする教師もほとんどいなかった。戦地の兵士たちに送る慰問文などは、たいていが級長の男か副級長の女が書くように命じられた。豊三はいつも転校生で席の暖まる間のない子だったから、いつも何かの晴れがましい大会の代表になって行く同級生たちを見送る役割だった。

 耳に快い大石のきれのいい言葉が、次から次へと飛び込んでくる。それがみな自分が書いた言葉であり、自分が体験した事柄の表現である。

 やがて汽車は掛川まできた。そこで仙貨紙の裏も尽きたので、文章も終わっているのである。結びの言葉はたしかこうだった。

 <汽車は静岡へ静岡へと驀進している。>

 「汽車は静岡へ静岡へと驀進している」

 大石は、そこまで読んで作文を教卓の上に置いた。

 「先生は静岡の農家の出身です。だからこういうことは自分で味わったことはないけれど、大変だったでしょうね。とくに家族の中心になっているお母さん、どんなにごくろうだったでしょうね。それから、お兄ちゃんも。みんながんばっているさまが、書けています。博多からのはなしだけれど、その前があるわけよね。それも書いてみるといいと先生は思う」

 大石の声は、頭の上を、通り過ぎていった。豊三は顔を上げることができなくて、紅潮したほおをいっそう机の穴にこすりつけ、雑巾の埃臭い匂いをかいだ。

問  「その瞬間、豊三は顔を伏せた」「はっとして、また俯いた」「豊三は顔を上げることができなくて、紅潮したほおをいっそう机の穴にこすりつけ」について、それぞれの時の「豊三」の気持ちを答えなさい。

e:三木卓と言えば

F:『星のカンタータ』麻布で昭和54年に出ました。

e:確か、初期の作品でしたね。母の手で

F:貧困と不自由な左足をかかえながら

e:育ったという

F:『砲撃のあとで』が知られてますね。

e:「詩人」から「作家」になったんですよね。確か。

F:にもかかわらず、生々しい人物描写

e:自然描写は解りますが。狂おしいまでの焼け付くような?

F:生死に裏付けされてるからでしょうか?ある対談で三木卓の゛生い立ち゛がよく分かります。

e:それが詩にも小説にも色濃く反映されているんでしょうね。

F:゛作家゛の゛生い立ち゛は重要ですので

e:しっかり、その辺はお子さんに話をするんですね。

F:有名な作品の゛紹介゛もですね。

e:もちろん、入試によくでるという意味で゛有名゛

F:自伝的要素の強い゛作品゛も多いですからね。

e:「作家」と「作品」は切っても切り放せない関係にありますよ。

F:対談の中で三木卓が言ってます。「実際に僕たちがどのような時代に関わり、互いに影響しあいな
がら自己を確立していったかを書き込みたかった」と。

e: 「その瞬間、豊三は顔を伏せた」のは豊三は下手な自分の作文を先生に読まれるのは恥ずかしい?

F: 「豊三は作文が苦手だった。何を書いたらいいのか、いつも困ってしまう」とありますからね。

e: 豊三が作文を完全に苦手にしていることがわかります。

F: 大石先生が手に持っている作文がぎっしりと書かれているのを見たとき

e: もしかして「自分の作文かもしれない」と期待する?

F: なにしろ作文には苦手意識が先行して

e: まさかそんなはずはあるまいと……

F: 「豊三は顔を上げることができなくて、紅潮したほおをいっそう机の穴にこすりつけ」

e: 「雑巾の埃臭い匂いをかいだ」はいいですね。

F: 先生に作文を読まれるときの気持ちですね。

e: 嬉しいが照れ臭い?

F: 豊三の場合、それが生まれて初めての経験だったわけですからね。

e: 苦手意識のある作文で褒められたということで

F: その照れくささは人一倍であったと

e: 想像はつきますね。

F: 「大石の声は、頭の上を通り過ぎていった。

《著者略歴》

1935年5月13日東京都生まれ。本名、冨田三樹。早稲田大学文学部露文科卒業。詩人、作家として詩誌「氾」「現代詩」を中心に詩作活動を行い、67年に詩集『東京午前三時』でH氏賞、71年『わがキディ・ランド』で高見順賞を受賞。また73年に小説『鶸』で芥川賞を受賞。主な著書に『ぽたぽた』(野間児童文芸賞)、『馭者の秋』(平林たい子文学賞)『路地』(谷崎潤一郎)『裸足と貝殻』(読売文学賞)などがある。99年紫綬褒章受章

三木卓━裸足と貝殻━

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メモ

2016年 国語記述 ラストスパート生 限定募集

秋は中学入試の合否を決する”天王山”ー秋を制する者は入試を征するーと言われる所以です。

 秋は中学入試の『合否』を決する゛天王山゛-秋を制する者は入試を征するといわれる所以です。秋といえば、言わずと知れた徹底した志望校対策に尽きます。と、言っても第2、第3志望校対策も平行して同時進行しなければなりません。その上、最終的な志望校決定の目安になる大手進学塾の合判や学校別合判テスト対策も必要です。しかし、自ら進んでそれらを完璧にやりこなすことはなかなか至難です。だからと言って、塾もそんなにあてにはできません。それらの対策を個人別にはやってくれないからです。秋-最後の追い上げ-ここで、プロチュータの出番です。その効果のほどは絶大です。なぜなら、マン・ツー・マンによる個人対応で上記の対策に対してフォローできるからです。座右の師=プロチュータ-それも、20%の合格可能性を80%にしてしまう゛ミラクルチュータ゛を持つ-これが合格への近道だと断言できます。志望校合格のカギ、それは、徹底した①本命校対策②押さえ校対策③学校別合判対策ができるプロチュータの存在です。キー・ワードは゛一石(師)三鳥(対策)゛!!そして、この秋、ライバルに決定的な差をつけ、゛合格゛の2文字を勝ち取りましょう。

 「国語記述」を苦手とする生徒が目立って多くなってきています(朝日新聞平成8年11月10日付)。その理由は今までの進学塾では決定的な学習対策がなされていないからです。
 ご存知のように、ほとんどの進学塾の場合、来る日も来る日も「切り張りプリント」と「テキスト授業」です。これでは本番に通用する受験生が育つわけがないでしょう。
 そのため、最近の入試では特に御三家・筑駒・駒東中では「国語記述」で合否が決まるとさえ言われています。他の教科では差がつかないからです。また、入試問題では「記述式」が多くなって決定的に差がでてしまうからです。
 「国語記述」を伸ばすにはどうすれば良いのでしょうか?
 それは読書・作文だと言われ、それに反対するつもりはありませんが、入試まであと5ヶ月。もっとすべきことがたくさんあるはずです。
 それは、たとえば、開成中なら「論理性と物語の本質」を、麻布・武蔵中なら「物語の本質」を、筑駒・灘中なら「論理性と詩の本質」を徹底的に理解することです。そこから明快な解答が導かれるのです。それを理解した地点で問題を眺めてみると、こんな易しい問題もないことに気づくはずです。
 すると、従来、たとえば御三家の国語は6割とれれば合格点といわれてきましたが、私たちの指導からすれば8~9割以上とれても不思議ではないことになります。
 御三家レベルの入試はどんな生徒も解いてみなければわからない不確定のものですが、国語における、この2~3割アップが『合格』をより確実なものにするでしょう。難関校では、誰しもよくできる算数や他の教科では差がつきません。指導法が、確立しておらず、知識のつめこみが役に立たない国語記述で合否が決まるのです。
 ここでは徹底した発想力・思考力の養成と学校別対策集中指導で他の受験生と国語記述力で決定的な差をつけます。
 国語記述は短期では差がつかないとあきらめている人も多いでしょう。なるほど知識、特に漢字の学習ではそれが言えるかもしれません。しかし、これだけ毎年傾向が同じ入試問題では対策の方法というものが確実にあります。
 それは感受性とか直観力という曖昧な問題ではなく、あくまで科学的に分析できるものであり、考え方と発想の方法を教えることで短期に習得できるものです。それぞれの進学塾が各学校の入試問題に対する模範解答を出していて、それを見ると各進学塾のレベルが手にとるように分かってきます。
 とりわけ、御三家の国語問題に対する「記述解答」には驚かされます。これでは合格できないであろうと思われるようなもの、あるいは、逆に子供が到底書けないような高度なものが堂々と出されています。ここでは、子供が考えられ、書ける。しかも、合格し得るレベルで指導します。

『開成・麻布・武蔵・駒東・筑駒・慶應・栄光・聖光・灘中への国語』・・・・・・・小6

個人別「オリジナルカリキュラム」に基づき、「カルテノート」「カリキュラムレコード」を作成。万全のフォロー体制。

・開成中への国語記述・・・・・・・・・・・・論説文・物語文の徹底解読と論理と発想力の特訓

・麻布・駒東・武蔵・栄光中への記述・・・物語文の本質の徹底解読と心理分析の特訓

・慶應普・中・藤沢・聖光中への国語・・・論説文・物語文と随筆文の徹底解読と語彙力・文法の特訓

・筑駒・灘中への国語記述・・・・・・・・論説文・随筆文・物語文・詩の徹底解読と論理的思考力の特訓

・櫻蔭中への国語記述・・・・・・・・論説文・随筆文の徹底解読と論理的思考力の特訓

[募 集]・・・若干名 [入会金]・・・10000円 
[期 間]・・・2017年1月末日
[1時間]・・・10000円(教材費・交通費込)  
[教 材]・・・『実物大過去問題(平成元年~28年)・2017年予想問題』  

・早中・早実・早高・海城・巣鴨・桐朋・渋幕・学習院・暁星・成蹊・西大和中への国語・・・・・・・小6

[募 集]・・・若干名  [入会金]・・・10000円 
[期 間] ・・・2017年1月末日
[1時間]・・・7500円(教材費・交通費込)  
[教 材]・・・『実物大過去問題(平成元年~28年ー早高・西大和中は別)・2017年予想問題』)

・開成・麻布・武蔵・駒東・筑駒・慶應・栄光・聖光・灘・櫻蔭中への国語(基礎)・・・・・・・・小5

[募 集]・・・10名 [入会金] ・・・10000円 
[期 間]・・・2018年1月末日
[1時間]・・・7500円(教材費・交通費込)  
[教 材]・・・『学校別記述秋期オリジナルテキスト(基礎)』

 ここでは、読解問題を一律にする指導から脱却し、国語学習の理想環境を設定して、あらゆる教科の基礎である語彙力や考える力そのものの向上を目指すとともに開成・麻布・武蔵・駒東・慶應・筑駒・灘中「合格」に必要な「国語基礎力」を養成します。
 総合的な「受験国語力」をじっくり熟成する上記校受験のための個人指導です。
 「読解、記述指導」と「文章をまとめる力」の徹底指導を行い、本物の「受験国語」とあらゆることの基礎である「言葉で考える力」と「語彙力」を根本的に養成します。

※ご指導までのプロセス
  
①お電話でお問い合わせ下さい。ご面談の日時を決定します。
②ご面談(御父母とお子様)
③ご入会のご検討
④ご入会時に指導曜日・時間を決定します。
⑤「指導契約書」の作成
⑥指導開始

28周年記念特典 入会金無料【お問い合わせ・お申し込み先】感性の知性化を追求する創造的言語グループ
実績 SINCE 1987  信頼
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℡ 090-1732-9873(代表直通)

代表: Pro-Tutor 福田浩

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・〒150-0021 東京都渋谷区恵比寿西2-2-6
・受付:平日午前9時~午後10時
・時間外は留守電またはメールにてメッセージを承ります。

※どうぞお気軽にお電話またはメールを下さい。スタッフ一同お待ちしております。

すべては『三教科合格』のためにー過去問国語『満点』を目指す

 <過去並びに現在指導中の私立・国立小学校>

       ー指導人数が多い順にー

精華、国立学園、聖徳学園、淑徳、宝仙、日出〔市川〕、聖徳大附属、成蹊、玉川学園、桐朋、立教、学習院、慶應幼稚舎、光塩、成城学園、暁星、早実、星美、田園調布雙葉、白百合、小野学園、文教大附属、作新学院、聖学院 川村、国立音大附属、洗足学園、東横学園、千葉日本大附属、御茶ノ水附属、筑波大附属、学芸大竹早、学芸大小金井、学芸大世田谷、横浜国立大附属、埼玉大附属、山形大附属

5年 「組分け・昇降テスト 対策」

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ー実物大過去問データベースー算数・国語・理科・社会ー

開成中学昭和49年~平成18年
麻布中学昭和49年~平成18年
武蔵中学昭和49年~平成18年
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筑波大附属駒場中学昭和51年~平成18年
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ラ・サール中学昭和51年~昭和63年
桜蔭中学昭和51年~平成18年
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慶應義塾普通部昭和51年~平成18年
慶應義塾中等部昭和51年~平成18年
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早実中学昭和51年~平成17年
早稲田中学昭和51年~平成18年
海城中学昭和51年~平成18年
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メモ


開成・麻布への国語 三木卓  ━裸足と貝殻━ 2

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 敗戦で中国から日本に家族となる引き揚げてきた少年・豊三。戦後の混乱と新しい秩序が作られつつある中での、少年の成長の日々をみずみずしく描く。

 戦後復興期、満州引揚少年の日々は・・・・・・。

 翌日、自分の机にすわっていると、

 「おい、きみ」

 といきなり、声を掛けられた。ふりむくと黒の学生服をきちんと着た、目の鋭い少年が立っていた。同じクラスの子である。彼はいきなり手を差し出していった。

 「ぼくは松木勇次郎という。君は加納豊三くんだな。はじめまして。これから友達になろう」

 そしてだらりとさがっている豊三の手を強くつかんで握手した。豊三はいささか強引なやり方に、ひるむものを覚えたが、しかし悪意は感じられなかった。危害を与えられないとわかったらその相手とは仲良くするのが、転校専門家のとるべき態度である。

 「それはありがとう」

 手を握られたまま豊三は、慎重な声でいった。松木はどういう人間だろう。どこか不自然に上品で儀式張っている。使うことばも標準語である。東京育ちなのだろうか。

 「ところで、君は作文がなかなかうまいじゃないか。昨日の<二昼夜の汽車の旅>には感心した。とくに関門トンネルのところなんか、なかなかよかった。作文が好きなんだろう」

 「いや」

 豊三は硬い声でいった。

 「作文は苦手だ。いつも苦労ばかりして、うまく書けない」

 「そうかい。それはふしぎだな。だっておもしろかったぜ。そうとう書いていると見当をつけたが」

 「そんなことはない」

 豊三は、やっと手を取りかえしながらいった。

 「本を読むのは好きだが、書くのはまるでだめだ。昨日、大石先生が面白いといってくれたのには、実のところびっくりした。ただあったことを書いただけだ」

 「それがいいんだ」

 松木はいった。

 「うまく書こうとするから文章に邪心が入る。ありのまま書けばそれでいいんだ。きみはそれをやったじゃないか。おめでとう」

 「いや、どうも」

 なんだか少し大袈裟に誉められたような気がした。

 「ところで」

 語調をすこしあらためて、松木はいった。

 「ぼくも、作文が好きなんだ。文学を読むのももちろん好きだ。きみは宮沢賢治の『どんぐりと山猫』を読んだことがあるか。中央公論社の<ともだち文庫>に入っているんだが」

 「それはまだ読んでいない」

 豊三は興奮を覚えながらいった。

 「しかし、『風の又三郎』『やまなし』『銀河鉄道の夜』『貝の火』は読んだか」

 「『貝の火』はこわくて、おしまいのほうはもう見たくない」

 松木はいった。そして二人の五年生は、お互いの顔をじっと見た。たしかに何かが起こっていた。そして、しばらく黙っていた。

 やがて松木は、黒い学生服のポケットから新聞紙を切った鼻紙を取り出して鼻をかんだ。それからいった。

問 「手を握られたまま豊三は、慎重な声でいった」ときの豊三の気持ちを答えなさい。

e: いきなり、「おい、きみ」ですか!?

F: 「おい、おまえ」じゃなくて・・・

e: 一応、敬意は払っている?ところで、豊三は「転校専門家」とありますね。

F: そのことから豊三が多くの転校を経験していることがわかります。

e: 左足にハンディをを負っています。

F: 転校経験の中で豊三は自分の身を守るために初対面の人間は特に警戒し

e: 相手が一体どんな人間なのか瞬時に判断しようとしているんでしょう。

F: これが、この時の豊三の心理です。

e:要するに、目の前の相手がどんな人間か

F:何が目的なのかを探らなければならないという気持ちですね。

 敗戦。引揚。豊三は小学五年生。引揚船が日本へ向かう一瞬一瞬が、死から遠ざかる前進に思えた。少年の心が、静岡の穏やかな風土と人間模様の中で再び成長する自伝的長編。

三木卓━裸足と貝殻━

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開成・麻布への国語 三木卓  ━裸足と貝殻━ 3

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問 「たしかに何かが起こっていた」とありますが、何がどうなったのでしょうか。

e: 松木と豊三の共通点は?

F: 二人とも「文学」に興味を持っていますね。

e: しかし、それについて語り合えるような人物はいなかったのも共通してます。

F: それで、二人の出会いはお互いにとって

e: すごく新鮮なものだったということでしょう。

F: 初対面の二人が「文学」についての話題が出た途端に

e: もう”他人”とは到底思えないような

F: 親近感を持ったということは理解できるでしょう。

e:要するに、こういうことですか?文学という共通の話題を通して

F:お互いを高めあえる存在を持てたことで、

e:他人だった二人の距離がぐっと縮まり、

F:新鮮な感動を覚えている、ということでしょうね。

 「おれはな、加納に提案があるんだ。それはな、おれたちの作文能力を高める計画だ」

 「どんな計画だ」

 「交換ノートをつくろう」

 松木はいった。

 「一冊のノートをつくる。そしてまずおれが一本作文を書いて翌日学校へもってきて、きみに渡す。きみはそれを読んで感想を書き、次のページにきみの作文を書く。何、どんなものだってかまわない。そしてそれを翌日もってこい。そうしたらおれがきみの文章を読んで、感想を書き、新しい作文を書いてもってくる。そしてそれをきみに渡すんだ」

 「なんだって!」

 豊三は驚いて叫んだ。

 「そんなの無理だよ。おれにできるわけがない」

 「できるさ」

 松木は、きっぱりした声でいった。

 「きみならできる」

 「どうして。できるわけがないじゃないか」

 「大石先生が、前の時間に提出した作文を読むとき、今までは必ずぼくの作文からだった。それを破ったのはきみがはじめてだ」

 「…………」

 「だから、きみはぼくの提案を受け入れなければならない。そうじゃないか」

 豊三は黙っていた。やっと少し事情がわかってきたぞと思った。この松木という少年は、このクラスの作文ナンバーワンとして自他ともに認められていたのだ。それが突然転入してきた少年に乱された。かれは、それで雌雄を決しようと思ってきたのだ。

 どうしようか。

 「わかった」

 豊三はいった。

 「じゃあ、やろう。ぼくも作文はうまくなりたい。きみにかなうとは思わないが、少しはうまくなるかもしれない」

 「よし」

 松木は、満足そうに言った。

 「それじゃあ、明日ノートをもってくる。それから『どんぐりと山猫』は、読みたいか」

 「読みたい」

 「じゃ、貸してやる。それももってくる」

問 「大石先生が……きみがはじめてだ」とありますが

 (1) この言葉を松木はどんなつもりで言っているのですか。

 (2) この言葉を豊三はどのような意味で受けとめているのですか。

e: 「大石先生が……」という松木の言葉は

F: それを言った本人とそれを聞いた豊三とでは

e: 受け止め方が違う?

F: 解釈が違うんですね。松木にすれば「交換ノート」をしようという自分の提案にためらっている

e: 豊三の実力を認めることで自信を持つことができるだろうと考えてのことですか?

F: ところが、豊三には「お前のせいで今まで一度も譲らなかった作文の実力一番の地位を譲ることになっていまい、悔しく許せない」というように思えてしまったのですね。

 

問 「だから、きみはぼくの提案を受け入れなければならない」とありますが、このことばには松木のどのような気持ちが込められていますか。

e: ここできかれているのは?

F: 松木の気持ちですね。

e: 確かに口調は偉そうといいますか

F: 横柄です。松木の気持ちの中には豊三に対する悔しさなどは

e: ないでしょう。

F: むしろ豊三の力を認め

e: 「きみだったらやってくれるよな」

F: という思いがあると考えるべきでしょう。

e:まとめると、こうなりますか?「松木」は、今まで一度も奪われたことのない作文の実力一番の座を初めて奪った豊三を

F:良きライバルとしてその実力を認め、

e:一方「豊三」は、クラスの作文の実力一番の座を自分に奪われてしまったために、

F:松木のプライドを傷つけてしまったのだろうと考えている、ということですね。。

三木卓━裸足と貝殻━

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開成・麻布への国語 三木卓  ━裸足と貝殻━ 4

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 青空のような未来はあるのか?敗戦、そして中国からの引き揚げ。あの夏を過ぎ、崩壊した価値と秩序の中で始まる、少年の新しい生。終戦直後の青春を描く自伝的長編。



苦しい生活の中でも、志を高く持ち生きる豊三。力強い生命感の溢れた一つの時代が甦ってくる。

 約束は果たされた。翌日、かれは青いノートと『どんぐりと山猫』持ってきてくれた。のだの第一ページは、鉛筆の細かな文字で埋められていた。豊三は中を見ないようにして鞄に入れた。圧倒されたのである。松木は強い、と思った。

 その日も帰宅すると豊三は、薪を割って風呂を焚いた。焦げ臭い煙で目を真っ赤にしながら、まず伯母に入ってもらう湯の準備が終わると、夕食の時間だった。助手部屋へいって、三匹のこぶりな鰯の煮たのと、ナスの味噌汁、一個ずつのミカン、それに蒸した甘藷が主食だった。それから二階へ戻って、鞄を開けて青いノートを取り出した。ノートには、<自然 そのⅠ>と書いてあり、その下に大文字の英語の文字が、いくつか並んでいた。

 豊三は、英語が読めなかったので、それが何を意味するかわからなかった。ただ、松木はこのノートを<自然>と名づけたのだと思い、それはそれで悪くはないような気がした。

 開けると、「復興祭に寄す 松木勇次郎」というタイトルと名前があり、細かな字でぎっしりと書かれていた。

 <わが郷土は不死鳥のように甦る。思いおこせば昭和二十年六月十九日。静岡市は米空軍B29群の猛爆をうけて一面焼土と化した。あの夜、誰しもがこの歴史ある都市が死んだと思った。二度と復活しないと思った。ああしかし、見よ。あれからわずか一年有半。我等は復興祭を迎えんとしている。これぞ、我等静岡人の不屈の努力、祖国再興、郷土再興のための不屈の努力の結果と言わずして何と言おう。我はまずそのことを主張し、心底より惜しみなく賞賛するものである>

 豊三はそこまで読んで、ノートを持ったまま思わず後ろにひっくり返った。これが五年生の書く文章か。中学五年のまちがいではないのか。

 交換ノートを引き受けてしまったことが後悔された。相手は大人の書くような難しい論文を書くことができる強豪である。こんな「復興祭に寄す」などというタイプの文章を、豊三は一度も書かされたことはなかった。また、考えたこともない中身だった。それを松木はやすやすとやってのけている。どうしたものだろう。

 その夜、豊三は何かを書かなければならないと思いながら、何も書くことができなかった。それで松木の文章の終わりのところに、

 <きみはほんとうに文章が上手ですね。僕は感心してしまいました。こういう文章は大人が書くものだと思っていましたが、こどもが書いてもいいのですね。僕もいつか書けるようになれるだとうかと思った。またなりたいと思ったのです>

 と書いておくだけになった。

 翌日学校へ行くと、松木がやってきていった。

 「どうだった。何を書いた」

 「いや」

 豊三はいった。

 「書けなかった。もうちょっと待ってほしい」

 「書けなかった?どうして」

 不審そうに松木がいった。

 「きみが、あんまりすごいんで」

 豊三はいった。

 「馬鹿な」

 松木はいった。

 「じゃ、おれのは読んだんだな」

 「読んだ」

 「どう思った」

 豊三は、だまってノートを渡した。ひったくるようにして受け取った松木は、豊三の感想を一気に読んだ。みるみる態度からけわしさが消えていくのがわかった。

問 「ひったくるようにして……消えていくのがわかった」とありますが、この時の松木の気持ちの変化を答えなさい。

e: どうして松木にはノートをひったくるようにして受け取る”けわしさ”があったのででしょうか?

F: それは松木にとって最も起こってほしくないことが

e: 起こってしまったのではないかと考えたから?

F: では、松木が最も起こってほしくないことは何か?

e: 自分で提案した「交換ノート」の約束が不成立になってしまうこと?

F: 豊三の「書けなかった」という言葉を聞いて不安になってしまったのですね。

e: ところが、ノートを見てみたら

F: 豊三にも「交換ノート」を続けようという気持ちがあることを知って安心したのですね。

『裸足と貝殻』を読んで驚かされるのは、戦後の生活の困難さの中で、少年豊三の新しい世界との出会いが実にヴィヴィッドに描き出されているところであった。それは少年期に特有な明るさ、開放感であるが、終戦から何年間かの戦後の不思議な「青空の世界」が背景としてあるように思われる。
慢性的な飢えの中で食べ物を求めたように、いやそれ以上に知的なもの、教養的なものをいかに新鮮な気持ちで飢渇していたかがよくわかる。

三木卓━裸足と貝殻━

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開成・麻布への国語 一つの時代の青春グラフティー 三木卓  ━裸足と貝殻━ 完

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 「わかった。じゃあ、ノートは持って帰ってくれ。書けたらもってこいよ」

 「すぐには、無理かもしれない」

 「いや、書けたらでいい。それまで待つよ。文章というものは、書けといわれたからって、すぐに書けるというものじゃない」

 「きいはすぐに書けたじゃないか」

 豊三は相手のいい方に屈辱を感じながらいった。

 「いや。おれはいろいろやってきたから、辻褄を合わせるぐらいのものなら書ける、というだけさ」

 松木はさらっといった。

 「わかった」

 豊三はいった。

 「必ず書いてくる。すぐには無理かもしれないけれど」

 「その意気だ」

 豊三は、青いノート<自然>をもって帰り、薪を割って風呂を沸かした。今日は薪が乾いていたので、よく燃えた。その輝く火を見ながら、「復興祭に寄す」の文章を、また思い出していた。

問 「わかった」、「わかった」と二回出てきますが、それぞれの「わかった」にはどのような違いがありますか。

e: どちらも”了解”の意味を表す言葉でしょう?

F: しかし、豊三の気持ちはそれぞれ違っています。

e: 最初の「わかった」にはなかなか積極的にはなれない?

F: 松木の「交換ノート」の提案に、ですね。

e: 松木が期待するような文章を書く自信が持てないから?

F: ですから、松木が強引に誘うので

e: 「仕方ない。じゃ、やってみようか」くらいの消極的な了解でしょう。

F: 後の「わかった」は松木の文章に圧倒され何も書けなかったため

e: 「いや、書けたらでいい。それまで待つよ」

F: といったような”情け”をかけられ

e: ”屈辱”を味わい

F: 「今度こそは書いてやるぞ」というような積極的な了解ですね。

問 豊三の松木に対する感情の移り変わりを時間の経過にそって答えなさい。

問 「今日は薪が乾いていたのでよく燃えた」とありますが、この表現から君が考えたことを答えなさい。

e:これまでの問いの流れをふまえて考えなければいけない問題ですな。

F:流れがきちんとつかめていればさほど難しい問いではありませんね。

e:ただ、記述する際に、ある程度の字数内でうまくまとめるのが大変かな?

F:こうした問いでは、ポイントをいくつかしぼって答えることが必要となります。

e:その際の”キー・ワード”は?

F:「抵抗」「共通」「競争心」でしょうか。

e:まず、「抵抗」

F:「戸惑い」と言い換えてもいいでしょう。

e:初対面の「豊三」に「これから友達になろう」といって、

F:一方的に握手をしたり

e:「交換ノートをつくろう」や

F:「だから、きみはぼくの提案を受け入れなければならない。・・・・・・」

e:「豊三」の意思など考えずに

F:自分の提案を押し通そうとする「松木」に対して

e:「抵抗」

F:「戸惑い」を感じていますね。

e:次に、「文学」について

F:深く語り合えるという”共通点”を見出したことで

e:それまでの「松木」に対する警戒が薄れてきている?

F:この点については前に述べました。

e:最後に、「復興際に寄す」という

F:これまで「豊三」が考えたこともないような文章を

e:やすやすと書いてくる「松木」の実力に

F:脱帽し、素直にその力を認めています。

e:それと同時に、競ってみたい

F:自分の力を試してみたい

e:といったような”競争心”も

F:芽生えてきているのですね。

e:これを一文で書くとなると・・・

F:無理に一文にまとめようとせずにポイントごとに一文を区切って書くとよいでしょうね。

問 「今日は薪が乾いていたのでよく燃えた」とありますが、この表現から君が考えたことを答えなさい。

e:最後の問いは、実に様々な答えが出てくるんじゃないのかな?

F:注目してほしい点と注意してほしい点があります。

e:注目してほしいのは?

F:「よく燃えた」という部分と

e:すぐ後の「輝く火」ですか?

F:これらの語から、これからの未来に向けての

e:燃えるような

F:力強い意思と

e:充実した明るい展望?

F:それらを読み取って

e:あるいは、感じとって?

F:ほしいですね。

e:次に、注意してほしいのは?

F:”作品全体をふまえる”ということですね。

e:とすると、どうなりますか?

F:苦手と思っていた作文が他人から高く評価されたことで、

e:人と対等に渡り合えるものを発見したように思い?

F:足の障害も乗り越えて

e:克服して

F:強く生きていこうという「豊三」の意思が

e:輝く火として表現されている、ってことですか?

e: ところで、どうして”青い”ノート」で、”赤い”ノートじゃいけないんですか?

F: ”白い”ノートでもダメでしょう!

e: 青いノート<自然>とありますから”緑”?

F: ブルーノートじゃなくグリーンノート?

e: やっぱりブルーノートがピッタリ?

F: 「青空の世界」

e: 薪がでてきますが…これ、なんです?

F: なんでしょう?いろいろ考えられますね。

e: 「乾いていた」?

F: 精神的な

e: ”飢え”?”渇き”ですか?

F: 「よく燃えた」!

e: 「その輝く火」を見ながら

F: 「『復興祭に寄す』の文章を、また思い出していた」

《三木卓》
一つの時代の青春グラフティーを知ってほしい、世代間の橋渡しをしたいという意識はありました。
主人公の視点だけはブレないように書きました。
象徴的ではなく、実際に僕たちがどのように時代と関わり、互いに影響しあいながら自己を確立していったかを、書き込みたかった。
僕の文学はある意味で戦争ばかりかもしれない。
「青空の世界」が終わった後の戦後社会と、そこで実人生を歩み出した主人公の成長と挫折の、戦いの物語を次に書きたい。

三木卓━裸足と貝殻━

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メモ

2016年 国語記述 ラストスパート生 限定募集

秋は中学入試の合否を決する”天王山”ー秋を制する者は入試を征するーと言われる所以です。

 秋は中学入試の『合否』を決する゛天王山゛-秋を制する者は入試を征するといわれる所以です。秋といえば、言わずと知れた徹底した志望校対策に尽きます。と、言っても第2、第3志望校対策も平行して同時進行しなければなりません。その上、最終的な志望校決定の目安になる大手進学塾の合判や学校別合判テスト対策も必要です。しかし、自ら進んでそれらを完璧にやりこなすことはなかなか至難です。だからと言って、塾もそんなにあてにはできません。それらの対策を個人別にはやってくれないからです。秋-最後の追い上げ-ここで、プロチュータの出番です。その効果のほどは絶大です。なぜなら、マン・ツー・マンによる個人対応で上記の対策に対してフォローできるからです。座右の師=プロチュータ-それも、20%の合格可能性を80%にしてしまう゛ミラクルチュータ゛を持つ-これが合格への近道だと断言できます。志望校合格のカギ、それは、徹底した①本命校対策②押さえ校対策③学校別合判対策ができるプロチュータの存在です。キー・ワードは゛一石(師)三鳥(対策)゛!!そして、この秋、ライバルに決定的な差をつけ、゛合格゛の2文字を勝ち取りましょう。

 「国語記述」を苦手とする生徒が目立って多くなってきています(朝日新聞平成8年11月10日付)。その理由は今までの進学塾では決定的な学習対策がなされていないからです。
 ご存知のように、ほとんどの進学塾の場合、来る日も来る日も「切り張りプリント」と「テキスト授業」です。これでは本番に通用する受験生が育つわけがないでしょう。
 そのため、最近の入試では特に御三家・筑駒・駒東中では「国語記述」で合否が決まるとさえ言われています。他の教科では差がつかないからです。また、入試問題では「記述式」が多くなって決定的に差がでてしまうからです。
 「国語記述」を伸ばすにはどうすれば良いのでしょうか?
 それは読書・作文だと言われ、それに反対するつもりはありませんが、入試まであと5ヶ月。もっとすべきことがたくさんあるはずです。
 それは、たとえば、開成中なら「論理性と物語の本質」を、麻布・武蔵中なら「物語の本質」を、筑駒・灘中なら「論理性と詩の本質」を徹底的に理解することです。そこから明快な解答が導かれるのです。それを理解した地点で問題を眺めてみると、こんな易しい問題もないことに気づくはずです。
 すると、従来、たとえば御三家の国語は6割とれれば合格点といわれてきましたが、私たちの指導からすれば8~9割以上とれても不思議ではないことになります。
 御三家レベルの入試はどんな生徒も解いてみなければわからない不確定のものですが、国語における、この2~3割アップが『合格』をより確実なものにするでしょう。難関校では、誰しもよくできる算数や他の教科では差がつきません。指導法が、確立しておらず、知識のつめこみが役に立たない国語記述で合否が決まるのです。
 ここでは徹底した発想力・思考力の養成と学校別対策集中指導で他の受験生と国語記述力で決定的な差をつけます。
 国語記述は短期では差がつかないとあきらめている人も多いでしょう。なるほど知識、特に漢字の学習ではそれが言えるかもしれません。しかし、これだけ毎年傾向が同じ入試問題では対策の方法というものが確実にあります。
 それは感受性とか直観力という曖昧な問題ではなく、あくまで科学的に分析できるものであり、考え方と発想の方法を教えることで短期に習得できるものです。それぞれの進学塾が各学校の入試問題に対する模範解答を出していて、それを見ると各進学塾のレベルが手にとるように分かってきます。
 とりわけ、御三家の国語問題に対する「記述解答」には驚かされます。これでは合格できないであろうと思われるようなもの、あるいは、逆に子供が到底書けないような高度なものが堂々と出されています。ここでは、子供が考えられ、書ける。しかも、合格し得るレベルで指導します。

『開成・麻布・武蔵・駒東・筑駒・慶應・栄光・聖光・灘中への国語』・・・・・・・小6

個人別「オリジナルカリキュラム」に基づき、「カルテノート」「カリキュラムレコード」を作成。万全のフォロー体制。

・開成中への国語記述・・・・・・・・・・・・論説文・物語文の徹底解読と論理と発想力の特訓

・麻布・駒東・武蔵・栄光中への記述・・・物語文の本質の徹底解読と心理分析の特訓

・慶應普・中・藤沢・聖光中への国語・・・論説文・物語文と随筆文の徹底解読と語彙力・文法の特訓

・筑駒・灘中への国語記述・・・・・・・・論説文・随筆文・物語文・詩の徹底解読と論理的思考力の特訓

・櫻蔭中への国語記述・・・・・・・・論説文・随筆文の徹底解読と論理的思考力の特訓

[募 集]・・・若干名 [入会金]・・・10000円 
[期 間]・・・2017年1月末日
[1時間]・・・10000円(教材費・交通費込)  
[教 材]・・・『実物大過去問題(平成元年~28年)・2017年予想問題』  

・早中・早実・早高・海城・巣鴨・桐朋・渋幕・学習院・暁星・成蹊・西大和中への国語・・・・・・・小6

[募 集]・・・若干名  [入会金]・・・10000円 
[期 間] ・・・2017年1月末日
[1時間]・・・7500円(教材費・交通費込)  
[教 材]・・・『実物大過去問題(平成元年~28年ー早高・西大和中は別)・2017年予想問題』)

・開成・麻布・武蔵・駒東・筑駒・慶應・栄光・聖光・灘・櫻蔭中への国語(基礎)・・・・・・・・小5

[募 集]・・・10名 [入会金] ・・・10000円 
[期 間]・・・2018年1月末日
[1時間]・・・7500円(教材費・交通費込)  
[教 材]・・・『学校別記述秋期オリジナルテキスト(基礎)』

 ここでは、読解問題を一律にする指導から脱却し、国語学習の理想環境を設定して、あらゆる教科の基礎である語彙力や考える力そのものの向上を目指すとともに開成・麻布・武蔵・駒東・慶應・筑駒・灘中「合格」に必要な「国語基礎力」を養成します。
 総合的な「受験国語力」をじっくり熟成する上記校受験のための個人指導です。
 「読解、記述指導」と「文章をまとめる力」の徹底指導を行い、本物の「受験国語」とあらゆることの基礎である「言葉で考える力」と「語彙力」を根本的に養成します。

※ご指導までのプロセス
  
①お電話でお問い合わせ下さい。ご面談の日時を決定します。
②ご面談(御父母とお子様)
③ご入会のご検討
④ご入会時に指導曜日・時間を決定します。
⑤「指導契約書」の作成
⑥指導開始

28周年記念特典 入会金無料【お問い合わせ・お申し込み先】感性の知性化を追求する創造的言語グループ
実績 SINCE 1987  信頼
expert FORUM (エキパート フォーラム)
eF 恵比寿本部

℡ 090-1732-9873(代表直通)

代表: Pro-Tutor 福田浩

 E-mail expertforum1987@mail.goo.ne.jp

・〒150-0021 東京都渋谷区恵比寿西2-2-6
・受付:平日午前9時~午後10時
・時間外は留守電またはメールにてメッセージを承ります。

※どうぞお気軽にお電話またはメールを下さい。スタッフ一同お待ちしております。

すべては『三教科合格』のためにー過去問国語『満点』を目指す

 <過去並びに現在指導中の私立・国立小学校>

       ー指導人数が多い順にー

精華、国立学園、聖徳学園、淑徳、宝仙、日出〔市川〕、聖徳大附属、成蹊、玉川学園、桐朋、立教、学習院、慶應幼稚舎、光塩、成城学園、暁星、早実、星美、田園調布雙葉、白百合、小野学園、文教大附属、作新学院、聖学院 川村、国立音大附属、洗足学園、東横学園、千葉日本大附属、御茶ノ水附属、筑波大附属、学芸大竹早、学芸大小金井、学芸大世田谷、横浜国立大附属、埼玉大附属、山形大附属

5年 「組分け・昇降テスト 対策」

     「入室選抜テスト 対策」

     「マンスリー実力確認テスト 対策」

     「志望校診断サピックスオープン 対策」

[募集人数] 10名  1時間 5000円(教材費・交通費込)

ー実物大過去問データベースー算数・国語・理科・社会ー

開成中学昭和49年~平成18年
麻布中学昭和49年~平成18年
武蔵中学昭和49年~平成18年
駒場東邦中学昭和51年~平成18年
筑波大附属駒場中学昭和51年~平成18年
灘中学昭和51年~平成18年
神戸女学院中学昭和51年~昭和63年
ラ・サール中学昭和51年~昭和63年
桜蔭中学昭和51年~平成18年
女子学院中学昭和51年~平成18年
雙葉中学昭和51年~平成15年
慶應義塾普通部昭和51年~平成18年
慶應義塾中等部昭和51年~平成18年
慶應義塾湘南藤沢平成6年~平成18年
早実中学昭和51年~平成17年
早稲田中学昭和51年~平成18年
海城中学昭和51年~平成18年
巣鴨中学昭和51年~平成18年
桐朋中学昭和51年~平成18年
学習院中等部昭和51年~平成17年

27周年記念キャンペーン 過去問販売

販売価格 1教科 1年分  500円~1000円〔解答解説付き〕

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メモ

あと3ヶ月ちょっと  ラスト・スパート expert FORUM (エキスパート フォーラム)

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あと3ヶ月ちょっと━expert FORUM━

F:大手塾の『合判』の結果もぼちぼちでてきました。

e:偏差値65以上は必要かな?

F:算数はでしょ?『国語』は2~4回平均して60くらいあれば十分!

e:後は記述力?

F:理・社はこれからいくらでも追い上げがききますからね。

e:短期決戦?!3カ月経てば、忘れる?

F:というと、11月からのラストスパートでOKということですか?

e:ラスト゛スパーク゛!?

F:『御三家』レベルでは

e:算数・国語の2教科偏差値が65以上あれば

F:今のところ、十分?

e:2教科偏差値は面白い?

F:算数・国語の各偏差値を足して

e:2で割ったのが2教科偏差値だと普通、思う?

F:ところが、そうじゃないんです。

e:算数・国語の各偏差値が似通ってる方が2教科偏差値はあがる?

F:そういう傾向は確かにありますね。2教科のバランスが大事だと言うことでしょう。

e:『合格可能性』は算数を基準にしているなんて

F:昔はね。今はどうでしょうか?

e:クラス分けも算数が基準でした。今じゃ時代錯誤かな?

F:今も変わりないのかしら?

e:今の入試では国語が鬼門になるような気がする。

F:どう考えても算数で落ちたとは思えない?

e:とにかく、算数はごく例外を除いて、みんなできるようになります。

F:間違いなく?

e:間違いなくですね。算数ができないと受験にはなりません!

F:ところが、『国語』はそうはいかない。

e:『開成』が『記述』になってから、その感が強いでしょう?

F:『記述』は時間をかければできるようになる

e:というものではない?大人をみてもそう感じる?

F:『記述』ほど゛指導力゛がはっきりでる

e:ものはないと?

F:『記述』といっても゛実戦的゛な記述力ですね。

e:いわゆる゛本番に通用する記述力゛ですね。

F:本番に通用する゛構成゛と゛内容゛ですね。

e:『麻布』H13の最後の問の声教の解答なんか、

F:どうなんでしょうかね。

e:『国語』は難しい?!

F:実質的にはあと2か月でしょうね。

e:まあ、まともに勉強できるのは、ですね。

F:1月は゛調整゛月です。

e:12月が終わる頃には

F:受かる実力はつけておかなけば

e:ということですか?

F:『国語』でどのくらい書けば受かるのかの

e:見極めが重要になってくるわけですね。

F:それは相当難しいですね。

e:ベテランのプロでも?

F:『記述』は、ですね。

e:本当に指導できる塾講師、家庭教師は極めて少ない

F:私が知ってる限りでは数えるほどです。

e:ほとんど゛職人技゛?

F:『記述』はそうですね。

e:作文を指導するのとはわけが違う?

F:家庭教師でも

e:そのあたりの見極めが大事になってくるわけですか?

F:力の見極めは簡単ですよ。

e:さっきの『麻布』の過去問の

F:最後の問いの解答を書かせればいいのです。

e:よしもとばななの

F:『みどりのゆび』ですね。

e:塾講師でも、同じでしょうね。

F:生徒でも記述力があるかどうかを

e:みるのも、また、同じ?生徒と同じレベルの解答を書いているようじゃ

F:お話しになりません!

e:そういう゛先生゛(?)がちまたでは

F:結構、います。

あと3ヶ月ちょっと━expert FORUM━

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開成・麻布への国語  幼稚園からは真っすぐに帰るのよ  加賀乙彦  ━永遠の都 夏の海辺━ 1 

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内容(「BOOK」データベースより)

 元海軍軍医の時田利平は、大正2年、三田鋼町に開業。外科医の名声と妻菊江の実務で、時田病院は驚異的に拡張している。昭和10年、利平の長女で3人の男児の母親の初江は一高生の甥と密通し、次女夏江は陸軍中尉・脇敬助との結婚を諦めた…。著者のライフワークである『岐路』『小暗い森』『炎都』の三部作を『永遠の都』という総タイトルで刊行する文庫版(全七巻)。

                   <第一場面> 初江と夫の悠次

 悠太が帰ってこないので、心配のつのる「初江」をよそに、帰ってきた「悠次」は、自分が麻雀にでかけることばかり気にし、「どうしましょう」と相談する初江に対し、怒りを噴出させさえする。「どうしてひとりで行かせたんだ」と怒鳴るが、それは悠次の姉、初江の義姉の脇美津が言い、悠次が初江にひとりで行かせろ命令したことであった。
 そのことを初江に指摘され、旗色の悪くなった悠次は、姉=脇美津を頼んで、自分は相変わらず出かけようとするが、腹を立てた初江は、悠次の苦手な初江の父=岳父(三田)の応援を頼むということで、悠次を引き止める。しかし、いざ自分で悠太のあてをさがすとなると悠次はからきし頼りにならない。

 「旦那さまがお帰りになりました」となみやが告げに来た。初江はあわてて電話を切って玄関に出た。黒鞄を脇に靴をぬいでいる悠次に「お帰りなさいませ」と手をつくと、初江は一気に言った。

 「大変なんです。悠太がまだ帰ってこないの」

 「え」悠次は、立ちあがりながら、度の強い眼鏡の、ふっくらと白い顔で見下ろした。

 「どういうわけなんだい」

 「幼稚園はとっくに、十一時半には終わっているのに、まだ帰らないんです」

 「おかしいね。探してみたのか」

 「はい、幼稚園へ行って、そのあたりずっと探してみました。あなた、どうしましょう。人攫いにでも連れていかれたんだったら・・・・・・警察に電話したほうがいいかしら」と早口に、初江は廊下を行く悠次を追った。

 彼は洋服箪笥にむかって上着をぬぎネクタイをはずすと、「ほら、この前ゴルフのときのセーター」と言った。

 「ゴルフにいらっしゃるの」

 「いや、鵠沼だ」

 鵠沼といえば、麻雀だ。先代の小暮悠之進の書生をしていた佐々竜一という人が住んでいて、そこへ悠次は土日泊り込みで麻雀をしに行くのだった。

 セーターを着込むと悠次はズボンのポケットから懐中時計を引き出して見た。そして、せかせかと座敷を巡り始めた。

 「ねえ、あなた、どうしましょう。悠太の……」と初江が言いさしたとき、「今、考えてる」と悠次が怒鳴った。額に青筋が立って色白の顔が紅潮している。自分のしようとしたことを邪魔されたとき、彼はよくこういう突発的な怒りを噴出させる。が、その怒りがすぐ消えるのを知っている初江は平気でなおも言った。

 「心配なの。こうしているあいだにも悠太がどうかされやしないかと・・・・・・」

 「どうしてひとりで行かせたんだ。送り迎えしてやればいいのに。危ないじゃないか」

 「だって……」初江はあっけにとられて、夫を渋面を見た。むろん幼稚園の送り迎えを彼女はしていたのである。が、ある日、脇美津が悠次に

 「幼稚園ぐらいひとりで行かせたらどうだね。悠太ちゃんはもう七つなんだからね。甘やかしすぎだよ」

 と言い、悠次が初江にひとりで行かせろと命令したのだった。

 「だって、お義姉さまが、そうしろとおっしゃったんじゃありませんか」

 「はあそうだったな」と悠次は苦笑した。表情から角がとれて、度の強いメガネの底で目が細くなった。彼は腕組みをして考えこみ、やっと言った。

問 「『今、考えてる』と悠次が怒鳴った」とありますが、どのような気持ちから「怒鳴った」のですか。

問 「『はあそうだったな』と悠次は苦笑した」のはなぜですか。

e: 加賀乙彦?!センター試験で数年前、出た?

F: 「雨の庭」でしょう。

e: まさか、中学入試では……

F: 主人公の「悠太」が著者自身

e: 自伝的小説

F: 続編が『雲の都』

e: それこそ物語は”永遠”に続く?!

F: お子さんにオススメできる本じゃありませんが…

e: 麻布を受ける子供達にはいいんじゃないですか?

F: 入学してからじっくり読んで下さい、って感じかな。

e: 部分的にはいまからでもどうぞ、ですか?

F: 芸術選奨文部大臣賞を受賞してますから。
e: 「セーターを着込ん」で

F: 「鵠沼」に麻雀をしに行こうとしていて、

e: 「初江」の言葉にほとんど耳を傾けようとしていませんね。

F: おそらく、子供の帰りが遅いことについて
e: まだ差し迫った事態とは思っていないんでしょう。

F: といいますか、子供を探すことより

e: 「初江」から面倒なことを持ち掛けられて迷惑、って感じ?

F: 自分が遊びにでかける邪魔をされたと。 e: 「そうだった」の「そう」って?

F: まず、そうですね。「そう」が指している事実をまとめます。

e: 「どうしてひとりで行かせたんだ」と悠次は初江を責めています。

F: 実際のところ、悠次の姉が

e: 脇美津ですか。

F: 言い出し、悠次が悠太をひとりで行かせるように”命令”したんですね。

e: この事を思い出した悠次は”苦笑”し

F: 表情が穏やかになりますね。

e: そこにはどのような気持ちがありますか?
F: 2、3考えられます。

e: それを書けばいい?

F: 初めに「事実」をしっかり書いてから、ですね。

 1929年、東京都三田に生まれた。1953年東京大学医学部卒。1955年から東京拘置所医務部技官。1957年フランス留学。パリ大学サンタンス病院、北仏サンヴナン病院に勤務、1960年帰国。1960年医学博士号取得。東京大学附属病院精神科助手、東京医科歯科大学助教授、1969年から上智大学教授、1979年から文筆に専念。1987年のクリスマス(58歳)にカトリックで受洗。1986年文芸家協会理事。1997年から日本ペンクラブ副会長、2003年から同理事。2000年から日本芸術協会員。日本近代文学館理事。

 以前、芹沢光次郎さんの「人間の運命」を読みましたが、同じ長編ながら、こちらの方が、読みやすい。主人公(前半だと思われるが)時田利平の生活態度(かなり、男尊女卑的)を通して、この時期の人々の生活、親戚づきあい(昔は親戚づきあいが実に密だった)、東京の環境が実にあざやかにイメージできます。ー加賀乙彦とともに-本の旅人ーより引用

加賀乙彦━永遠の都━

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2016年 国語記述 ラストスパート生 限定募集

秋は中学入試の合否を決する”天王山”ー秋を制する者は入試を征するーと言われる所以です。

 秋は中学入試の『合否』を決する゛天王山゛-秋を制する者は入試を征するといわれる所以です。秋といえば、言わずと知れた徹底した志望校対策に尽きます。と、言っても第2、第3志望校対策も平行して同時進行しなければなりません。その上、最終的な志望校決定の目安になる大手進学塾の合判や学校別合判テスト対策も必要です。しかし、自ら進んでそれらを完璧にやりこなすことはなかなか至難です。だからと言って、塾もそんなにあてにはできません。それらの対策を個人別にはやってくれないからです。秋-最後の追い上げ-ここで、プロチュータの出番です。その効果のほどは絶大です。なぜなら、マン・ツー・マンによる個人対応で上記の対策に対してフォローできるからです。座右の師=プロチュータ-それも、20%の合格可能性を80%にしてしまう゛ミラクルチュータ゛を持つ-これが合格への近道だと断言できます。志望校合格のカギ、それは、徹底した①本命校対策②押さえ校対策③学校別合判対策ができるプロチュータの存在です。キー・ワードは゛一石(師)三鳥(対策)゛!!そして、この秋、ライバルに決定的な差をつけ、゛合格゛の2文字を勝ち取りましょう。

 「国語記述」を苦手とする生徒が目立って多くなってきています(朝日新聞平成8年11月10日付)。その理由は今までの進学塾では決定的な学習対策がなされていないからです。
 ご存知のように、ほとんどの進学塾の場合、来る日も来る日も「切り張りプリント」と「テキスト授業」です。これでは本番に通用する受験生が育つわけがないでしょう。
 そのため、最近の入試では特に御三家・筑駒・駒東中では「国語記述」で合否が決まるとさえ言われています。他の教科では差がつかないからです。また、入試問題では「記述式」が多くなって決定的に差がでてしまうからです。
 「国語記述」を伸ばすにはどうすれば良いのでしょうか?
 それは読書・作文だと言われ、それに反対するつもりはありませんが、入試まであと5ヶ月。もっとすべきことがたくさんあるはずです。
 それは、たとえば、開成中なら「論理性と物語の本質」を、麻布・武蔵中なら「物語の本質」を、筑駒・灘中なら「論理性と詩の本質」を徹底的に理解することです。そこから明快な解答が導かれるのです。それを理解した地点で問題を眺めてみると、こんな易しい問題もないことに気づくはずです。
 すると、従来、たとえば御三家の国語は6割とれれば合格点といわれてきましたが、私たちの指導からすれば8~9割以上とれても不思議ではないことになります。
 御三家レベルの入試はどんな生徒も解いてみなければわからない不確定のものですが、国語における、この2~3割アップが『合格』をより確実なものにするでしょう。難関校では、誰しもよくできる算数や他の教科では差がつきません。指導法が、確立しておらず、知識のつめこみが役に立たない国語記述で合否が決まるのです。
 ここでは徹底した発想力・思考力の養成と学校別対策集中指導で他の受験生と国語記述力で決定的な差をつけます。
 国語記述は短期では差がつかないとあきらめている人も多いでしょう。なるほど知識、特に漢字の学習ではそれが言えるかもしれません。しかし、これだけ毎年傾向が同じ入試問題では対策の方法というものが確実にあります。
 それは感受性とか直観力という曖昧な問題ではなく、あくまで科学的に分析できるものであり、考え方と発想の方法を教えることで短期に習得できるものです。それぞれの進学塾が各学校の入試問題に対する模範解答を出していて、それを見ると各進学塾のレベルが手にとるように分かってきます。
 とりわけ、御三家の国語問題に対する「記述解答」には驚かされます。これでは合格できないであろうと思われるようなもの、あるいは、逆に子供が到底書けないような高度なものが堂々と出されています。ここでは、子供が考えられ、書ける。しかも、合格し得るレベルで指導します。

『開成・麻布・武蔵・駒東・筑駒・慶應・栄光・聖光・灘中への国語』・・・・・・・小6

個人別「オリジナルカリキュラム」に基づき、「カルテノート」「カリキュラムレコード」を作成。万全のフォロー体制。

・開成中への国語記述・・・・・・・・・・・・論説文・物語文の徹底解読と論理と発想力の特訓

・麻布・駒東・武蔵・栄光中への記述・・・物語文の本質の徹底解読と心理分析の特訓

・慶應普・中・藤沢・聖光中への国語・・・論説文・物語文と随筆文の徹底解読と語彙力・文法の特訓

・筑駒・灘中への国語記述・・・・・・・・論説文・随筆文・物語文・詩の徹底解読と論理的思考力の特訓

・櫻蔭中への国語記述・・・・・・・・論説文・随筆文の徹底解読と論理的思考力の特訓

[募 集]・・・若干名 [入会金]・・・10000円 
[期 間]・・・2017年1月末日
[1時間]・・・10000円(教材費・交通費込)  
[教 材]・・・『実物大過去問題(平成元年~28年)・2017年予想問題』  

・早中・早実・早高・海城・巣鴨・桐朋・渋幕・学習院・暁星・成蹊・西大和中への国語・・・・・・・小6

[募 集]・・・若干名  [入会金]・・・10000円 
[期 間] ・・・2017年1月末日
[1時間]・・・7500円(教材費・交通費込)  
[教 材]・・・『実物大過去問題(平成元年~28年ー早高・西大和中は別)・2017年予想問題』)

・開成・麻布・武蔵・駒東・筑駒・慶應・栄光・聖光・灘・櫻蔭中への国語(基礎)・・・・・・・・小5

[募 集]・・・10名 [入会金] ・・・10000円 
[期 間]・・・2018年1月末日
[1時間]・・・7500円(教材費・交通費込)  
[教 材]・・・『学校別記述秋期オリジナルテキスト(基礎)』

 ここでは、読解問題を一律にする指導から脱却し、国語学習の理想環境を設定して、あらゆる教科の基礎である語彙力や考える力そのものの向上を目指すとともに開成・麻布・武蔵・駒東・慶應・筑駒・灘中「合格」に必要な「国語基礎力」を養成します。
 総合的な「受験国語力」をじっくり熟成する上記校受験のための個人指導です。
 「読解、記述指導」と「文章をまとめる力」の徹底指導を行い、本物の「受験国語」とあらゆることの基礎である「言葉で考える力」と「語彙力」を根本的に養成します。

※ご指導までのプロセス
  
①お電話でお問い合わせ下さい。ご面談の日時を決定します。
②ご面談(御父母とお子様)
③ご入会のご検討
④ご入会時に指導曜日・時間を決定します。
⑤「指導契約書」の作成
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すべては『三教科合格』のためにー過去問国語『満点』を目指す

 <過去並びに現在指導中の私立・国立小学校>

       ー指導人数が多い順にー

精華、国立学園、聖徳学園、淑徳、宝仙、日出〔市川〕、聖徳大附属、成蹊、玉川学園、桐朋、立教、学習院、慶應幼稚舎、光塩、成城学園、暁星、早実、星美、田園調布雙葉、白百合、小野学園、文教大附属、作新学院、聖学院 川村、国立音大附属、洗足学園、東横学園、千葉日本大附属、御茶ノ水附属、筑波大附属、学芸大竹早、学芸大小金井、学芸大世田谷、横浜国立大附属、埼玉大附属、山形大附属

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ー実物大過去問データベースー算数・国語・理科・社会ー

開成中学昭和49年~平成18年
麻布中学昭和49年~平成18年
武蔵中学昭和49年~平成18年
駒場東邦中学昭和51年~平成18年
筑波大附属駒場中学昭和51年~平成18年
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桜蔭中学昭和51年~平成18年
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慶應義塾普通部昭和51年~平成18年
慶應義塾中等部昭和51年~平成18年
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メモ

開成・麻布への国語 加賀乙彦  ━永遠の都 夏の海辺━ 2 

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 「もう一度手分けして探そう。脇にも応援を頼んで」

 「絶対にいやですよ。おねえさまに知られたら、全部わたしの責任にされるんですもの」

 「ひとりで通園させろと言ったのはねえさんだ。責任はむこうにある」

 「そんな理屈が通るお方ですか。こうおっしゃるに決まってます━━わたしが寄り道をしないように言いきかせなかったとか、知らない人に口をきかないよう仕付けなかったとか」

 「人数が足りないよ。ねえさんとこのはるやの手を借りないとな。うちはおまえひとりしかいないし・・・・・・

 「おや、あなたはどうなさるおつもり」

 「おれは約束があるんだ。鵠沼に五時に集合する約束なんだ。みんなを待たせては悪い」

 「そんなの・・・・・・困ります。あなたがいらっしゃらないと、わたしはどうしていいか。もしもの場合・・・・・・」

 「悠太は帰ってくるさ。どっかで友達と遊んでるんだろう。きょうは会社の課長も来るんだ。佐々が招待したんでわざわざ来るんだ。おれが欠けるわけにはいかないよ」

 悠次はまた懐中時計を見た。今にも出掛けそうな素振りだ。

 「わかりました。三田に応援をたのみます。あそこは手が多いから大勢来てくれるでしょう」

 「なにも三田にたのまなくたって」と悠次はひるんだ。初江の父、時田利平を彼は煙たがっていた。二年前研三が時田病院で生まれたとき、たまたま日曜日で菅平にスキーに行っていた悠次は出産にまにあわず、翌々日になってやっと姿をあらわして、利平から

 「自分の妻が出産で苦しんでいるとき、夫が西洋かぶれの雪遊びなどしていたとは何事だ」とこっぴどく叱責された。近頃流行のスキーがどんなものかむろん利平は知らなかったのだし、大学生時代東京帝大の山岳部にいてスキーに親しみ、その時もOBとして特別に懇請されて学生の指導に行っていた悠次ではあったが、岳父の剣幕には弁解もできず頭を下げるだけだった。本当のところは、悠太、駿次と二人の男の子ができたので、こんどは女の子がほしいというのが悠次の強い希望で、生まれた子が男だという電報をスキー場で受け取った彼にはすぐ山をおりる気もおこらなかったのだ。ともかく、この一件以後、彼は妻の里を敬遠し、正月に儀礼的な訪問をするのみとなったし、何か家庭内の不祥事を岳父に知られるのを怖れるようになった。

 「よし、わかった。おれも探す」と悠次は折れた。するとこんどは心細げな顔付となり、「しかし、どうやって探したらいいかな」とつぶやいた。

 「やっぱり警察に届けましょうか

 「そんなに大袈裟にしなくてもいいいだろう」

 「でも迷子として交番で保護されてるかも知れないし」

 「それならこっちへ連絡してくるさ。悠太にはうちの住所も教えてあるしさ」

 「じゃ、もう一度わたしたちで探してみましょう。わたし、とにかく幼稚園の近くを探します。あなたは、家の近所を見て下さらない。なみやには子供たちを……そうそう、研三が熱を出してるんです。九度四分もあるんです」

問 「わかりました。三田に応援をたのみます」と「初江」が言ったのはどうしてですか。

e: ずばり、どうして”三田”を持ち出してきたか、でしょ!

F: これはこの後をしっかり読めばわかります。
e: 悠次の姉「脇美津」を煩わしく思う「初江」に対し

F: 自分が探しに行こうともせず

e: そのうえ、脇美津の手の者を応援に呼ぼうとさえする「悠次」に

F: 業をにやした「初江」は悠次が煙たがり、怖れている「初江の父」に応援を頼む

e: と脅しをかけるわけですね。

F: おどして、夫にも「悠太」の捜索を手伝うように仕向けるんですね。

e: 「初江」のほうが一枚上手?

F: してやったりでしょう。

e: 「初江」の頭脳作戦の勝ち?

問 「なみやには子供たちを」とありますが、この「……」にはどんなことばが省略されていますか。

 

e: これは書けるでしょう?

F: ただ”文末処理”の問題がありますね。

e: といいますと……

F: その直前の「初江」の言い方を参考にするといいでしょう。

e: 子供のひとり「研三」が熱を出しているという事情から初江と悠次が「悠太」を探すとなると、子供の”何”をする人が必要?

F: そこでお手伝いさんの「なみや」に子供の”何”任せることを悠次に伝えているところですね。

e: 「どうやって探したら…」などと、いざ一緒に探すとなると、頼りにならない夫に対して

F: 自分の決めたことをきっぱりと伝えるのにふさわしい言い方が要求されます。



 悠太、どこへ行ってしまったの。ほんとに、どこにいるのだろう。

昭和10年代前半の東京山の手の生活を活写。――明治人の進取の気象と魅力ある俗物性をあわせもった外科医利平先生はなんともおもしろい。(北杜夫氏評)

本書は、著者のライフワークである『岐路』『小暗い森』『炎都』の三部作を『永遠の都』という総タイトルで刊行する文庫版(全七巻)です。元海軍軍医の時田利平は、大正2年、三田綱町に開業。外科医の名声と妻菊江の実務で、時田病院は驚異的に拡張している。昭和10年、利平の長女で3人の男児の母親の初江は一高生の甥と密通し、次女夏江は陸軍中尉・脇敬助との結婚を諦めた……。

1929(昭和4)年、東京生れ。東京大学医学部卒業。1957~1960年フランスに留学、パリ大学サンタンヌ病院と北仏サンヴナン病院に勤務した。犯罪心理学・精神医学の権威でもある。著書に『フランドルの冬』、『帰らざる夏』(谷崎賞)、『錨のない船』など多数。新潮文庫版の『永遠の都』(芸術選奨文部大臣賞。三部作『岐路』『小暗い森』『炎都』の総タイトル)全七巻を完結。 ー加賀乙彦『永遠の都 1―夏の海辺―』|新潮社 ーより引用

加賀乙彦━永遠の都━

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開成・麻布への国語 加賀乙彦  ━永遠の都 夏の海辺━ 3 

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 日本海海戦にも参加した元海軍軍医時田利平は退役後大正2年に三田鋼町に外科医として開業し、持ち前の独創性を発揮して胃潰瘍の新治療法からレントゲン装置の発明まで手がけ念願の博士号も授与されて大病院として繁盛する。しかし軍艦をかたどった病院も太平洋戦争末期の大空襲により焼失、利平は全身に火傷を負い、敗戦下失意の中で死に至る。利平の強烈なまでの個性を貫いた生涯を縦軸として、彼に関わり合う人々の人生をさまざまな視点から描く、半自伝的大河小説である。登場人物は利平の娘・息子たちその姻戚を中心として多彩にわたっている。

<第二場面> 悠太をさがす初江

 悠太を見つけて問いつめる。坂を下り、急坂を登ったところにある「西向神社」で「泣いている」わが子を見つける。この時、悠太はびっくりして逃げ出そうとする…やましさから「しかられる」という気持ちが働いたことがわかる。が、すぐに「おかあさん」とむしゃぶりついてくる。悠太が見つかってホッとした気持ちから、初めはどこでどうしたかを優しくたずねる。悠太の返事から、「寺」か「墓地」に入り込んで、「寺男」に脅かされたのか、と思うが、曖昧に頷いた様子などから何かを隠している素振りだと感じ、問いつめていくと、幼稚園からすぐの原っぱに行ったことを白状する。なかなか本当のことを言わなかったこと、自分のいいつけを守っていなかったことがわかったこと、なにかをまだ隠しているように思われることなどから、しだいに感情が激し、心配して探し回っていた時のつらい思いがよみがえって怒りがこみあげ、何をしていたかをどうしても聞き出さずにはおかないという気持ちで、激しく問いつめる。これに対し、悠太は答えたくないので泣きつづけることで母の同情をひき
、その怒りをおさめようとする。

 初江は幼い子の枕元にかがみこんだ。まだ眠っている。今にも詰まりそうな鼻孔がひくひく動き、鞠のような額は湿って熱い。布団を掛け直してやり、ふと見回すと駿次の姿がなかった。いや、いた、柿の木の下で三輪車をこいでいた。鶏小屋に近付かぬよう、いつかみたいに手を突かれるからねと注意して走り出た。悠太、どこへ行ってしまったの。ほんとに、どこにいるのだろう。

 坂を登りかけ、考え直して下ることにした。坂を下りきったところに市電の線路が大通りを横切っている。線路に沿って行くと、線路が分岐して数を増やし、”大久保車庫”のがらんとした建物に入っていく。このあたり人家がまばらで原っぱが多くて、物淋しい。市電が急坂をぐーんと気張って登って行く脇に細い道があるのを負けじと登るうち、すぽっと抜け出た広い場所は神社の境内だった。西向天神である。風にあおられた梢が唸りながら無数の真珠のような光を地面に撒き散らしている。錆びた鎖をきしませているブランコのそばに子供が泣いている。水色の水兵服にエプロンはまぎれもなくわが子だった。「悠太」と呼びながら走り寄ると、子供はびっくりして逃げ出そうとし、つぎの瞬間「おかあさん」とむしゃぶりついてきた。

 「おまえ、どこへ行ってたんだい。おかあさん、心配したよ」

 小さな肩を震わせて泣きじゃくる子供は鼻血を出して泥まみれだった。エプロンにつけたハンカチには泥の塊がこびりつき、膝小僧が白っぽい粉を吹いている。

 「おや、おまえ、どこかでころんだね。さあ、泣かないで」御手洗の水で顔や手や脚を洗い、鼻紙で鼻の孔に栓をし水兵服の泥を払ってやる。

 「バスケットはどうしたの」

 「おっことしちゃったの」

 「どこで」

 「わからない。赤鬼みたいな人がいたんで、こわくて逃げたら、おっことしちゃったの」

 「赤鬼・・・・・・男の人だね。悠太をつかまえうようとしたの」

 「そう」

 子供は曖昧に頷いた。浅黒い肌と二重のばっちりとした目は母親の自分にそっくりだ。硬い髪の毛も似ている。泣いた赤い目が不安に動き、茂みの一角に向けられた。その方角には寺と墓地が多い。そのどこかに迷いこみ、寺男に脅されたのかもしれない。

 「ねえ、悠太、いままで何してたの」

 「遊んでたの」

 子供は母から目をそむけて言った。何かを隠している素振りだ。

 「どこで遊んでいたの」

 「幼稚園で」

 「嘘おいい。さっきおかあさんは幼稚園に行ってみたんだから。おまえいなかったよ」

 「だって本当なんだもの」

 「じゃ、どうして泥んこになったのよ。幼稚園にはこんな赤い泥はないわよ

 「幼稚園からすぐそばの原っぱに行ったの

 「それごらん、嘘だったんじゃないの

 「・・・・・・」

 「原っぱで何をしたの」

 「探検したの・・・・・・宝探しの探検」

 「どうして。幼稚園からは真っすぐ帰りなさいと言ったでしょう」

 と強い口調で睨みつけた。とたんに子供はびっくと肩をすぼめ、おびえた表情になった。

 「どうして、原っぱなんかへ行ったのよ。原っぱには人攫いがいるんだからね。どうして真っすぐおうちへ帰らないの」

 悠太は後じさりした。初江の胸底から熱いものが噴出してきて破裂した。

 「ふらふらしないでちゃんと立って。原っぱからどこへ行ったの」

 「……」

 子供はしゃくりあげた。きつく問えば問うほど泣くばかりだ。初江はついに癇癪を起こし、子供の頬を打った。血まみれの鼻紙が抜けて、鼻血が垂れたのを拭ってやり、新しい栓をした。

問 「初江の胸底から熱いものが噴出してきて破裂した」時の、「初江」の気持ちを答えなさい。

問 「子供はしゃくりあげた。きつく問えば問うほど泣くばかりだ」とありますが、この時の「悠太」の気持ちを答えなさい。

e: ”胸底から噴出する熱いもの”とは?

F: 悠太が見つかってホッとしているのが正直な気持ちでしょう。

e: で、初めは優しく問い質していますね。悠太が見つかるまでの「初江」の気持ちと言えば

F: それは心配でいたたまれない!

e: そんな母親の気持ちなんか知ったこっちゃない!「悠太」は全然分からないでしょうね。

F: 母親の心配をよそに、ちゃんと答えようとしていない

e: 本当のことを言おうしない「悠太」

F: そんな強情な「悠太」に接することで

e: さっきの心配で胸が張り裂けそうな母親の心痛ですか?!

F: ”母親の心の痛み”を知らない子供に対し
e: 抑え切れないような”怒り”が沸き起こったというわけですね。

F: それまで心配で探していた時の思いがよみがえってきて、なにがなんでも本当のことを聞き出してやろうという意固地で

e: 頑な気持ちになったのですか?

F: ということで、「初江の胸底に噴出した熱いもの」が何であるかをしっかり書けばいいでしょう。

e: きつく問うと泣くばかり……

F: というところに、「悠太」の「泣くこと」でこの場を

e: 逃げ切ろうとういう魂胆?

F: そういう気持ちが「悠太」には当然あるでしょうね。

e: 子供ですから……

F: 泣き続けることで

e: 母親が同情して怒りが鎮まると…昔は女の子の常套手段だった?

F: 要するに、言いたくないことを言わなくてすむという

e: ”許しを乞う”ているわけですね。子供の浅はかな知恵かな?

 第二世界大戦という、日本の歴史上最大の難局であった時代の、ひとつの血族の人々の生と死を追った長編で、最終は空に飛ぶ鳥たちが、魂の化身として赤く輝く夕日の中に、無数の霊の点となって軽やかに舞い、余韻を残して終わる。まるで鳥達が空へ飛び昇ってゆくことが、魂の天への飛翔であるかのように……。永遠に平安をもたらす都とは。人間救済の希望。小説で描かれる歴史の大罪と不条理な人間社会、そういう中で肉体をもって生きなければならない人間の生と、肉体の死と、魂の救済への希求を、「闇」の中でネガティブに描く。(by 秦 澄美枝二つの『高山右近』--加賀乙彦・表現の可能性による)

 時代は大正二年から第二次世界大戦が終わるまで。外科医時田利平と、その一族の物語で北杜夫『楡家の人々』とイメージが被るようなシチュエーションで話が展開されていく。
 世代が変わっていくタイプの長編小説の楽しみというのは月並みな感想だが、親から子へ、子から孫へと続いてゆく系譜を読み解くことと、時代の移り変わりを感じることにあると思う。特に大正から昭和にかけては、激動の時代で日本人の価値観が180度転換した時期でもあるので今まで正しいとされてきたことが、あっけなく否定されたりする中で、それでも、自分のいるべき場所を守りながら生きていく人の姿は、それだけでも充分、感動に値するものだと思う。
 時代が移りゆく中で、人が生まれたり死んだり喜びも哀しみも、流れてゆき、受け継がれてゆき人の世が続いてゆくのだなぁ……という感慨が、この作品にはあるように思った。(by 読書録のご案内)

1929年、東京都三田に生まれた。1953年東京大学医学部卒。1955年から東京拘置所医務部技官。1957年フランス留学。パリ大学サンタンス病院、北仏サンヴナン病院に勤務、1960年帰国。1960年医学博士号取得。東京大学附属病院精神科助手、東京医科歯科大学助教授、1969年から上智大学教授、1979年から文筆に専念。1987年のクリスマス(58歳)にカトリックで受洗。1986年文芸家協会理事。1997年から日本ペンクラブ副会長、2003年から同理事。2000年から日本芸術協会員。日本近代文学館理事。

加賀乙彦の風貌
「しかしその丸顔と大きな眼には常に笑みをたたえている。人生のすべてを見はるかす視野の広さにおいて、普通の文学者より、ひとまわり大きいのである。海外留学経験があるから、国際色がある。」(大岡昇平「加賀さんの短編」より)
加賀乙彦とモーツァルト(ヴァイオリンソナタ・変ロ長調K454)ー加賀乙彦とともに-本の旅人ーより引用

加賀乙彦━永遠の都━

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開成・麻布への国語 加賀乙彦  ━永遠の都 夏の海辺━ 4 

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 三田にある外科病院と、娘夫婦たちが住む西大久保を中心に、戦前から戦後への波乱の時期を越えて行く家族たちを描く大作。東京と言う場所だけでなく、昭和と言う時代を読み取ることが出来る。

 <第3場面> 息子「悠太」に、子ども時代の自分の面影を見る「初江」

 いよいよ感情が激し「癇癪」を起こす「初江」にいくら泣いても許してはもらえないと悟った悠太は、泣くのをやめ、母親を睨み反し、もう何も答えないという意思表示をし、今度は母親と、真正面から対決する様子を見せる。初江は、そこに、あくまで何かを隠し立てしようとする強い意志を感じ、したたかに叱り付けるが及ばなかった。ついに白状させることができなかった。一方、初江はその悠太の様子に、自分の子供時代の同級の女の子の家に遊びに寄り、つい遊びほうけて、帰宅が遅くなった時の遊びに行った先の女の子を必死でかばって名前を明かさなかった場面を思い出し、つくづく悠太は自分に似ていると思う。悠太も一緒に遊んだ友達をかばって強情を張っているのだと思うと、怒りもおさまり、優しい気持ちになって、親子のつながりの濃さを感じながら、家路をたどっていく。

 「泣くんじゃない。ちゃんと答えなさい」

 悠太は泣きやめ、こんどはしっかり立って、母親を睨み返した。初江はわが子に逆襲された思いで、子供の真一文字に結んだ口、もう何も答えないという意思表示に目をしばたたいた。それは最近になって始まった強情な表情で、母親に何かを隠し立てをして、それを押し通そうとするときにするのだった。ついふた月ほど前にも、買ってやった覚えのないビー玉を玩具箱に見付けたので追及したが、誰にもらったのかついに言わなかった。母親に隠れて何かをするのは、素直な子供のすることではないと、したたかに叱りつけたがが及ばなかった。ところで初江は悠太のこういうところが幼い時の自分にそっくりだと思う。黙りこくった子供の手をひいて、坂をわが家の方角へ下っていくうち、自分の子供時代のある情景が彼女の脳裡に鮮やかに浮かびあがった。

問 「悠太は泣きやめ、こんどはしっかり立って、母親を睨み返した」とありますが、この時の「悠太」の気持ちを答えなさい。

e: もうこなったら”徹底抗戦”?!

F: お互い、その覚悟をしたんでしょう。

e: 「泣くんじゃない。ちゃんと答えなさい」

F: 男の子のくせに、ですか?

e: この当時は男の子は女々しく泣くな、って感じでしょうね。

F: と、あくまで問いつめる「初江」の様子に

e: 「悠太」は泣き続けても許してくれないことを悟った?

F: 今度は覚悟を決めて母親と対決

e: ”泣き”では落とせないと分かり、開き直ったというわけですか?

F: 自分が言ってはならないと心に決めたことを

e: 「初江」の子供時代の場合、行ってはいけない”女の子”の家に行ったことでしょう。

F: 「髪で吊りさげられ頬を打たれたが、初江は頑張って、ついに女の子の家に行ったことを告白しなかった。」

e: 「女の子のために黙っていた」

F: 「悠太」もあくまで言うまいという

e: ”対決姿勢”をくずさないぞぉ、って態度ですかね。

問 「母親に隠れて何かをするのは、素直な子供のすることではないと、したたかに叱りつけたがが及ばなかった」とありますが、この時の「初江」の気持ちを答えなさい。

e: 「したたかに叱りつけたがが及ばなかった」?!残念無念というところですか?

F: 「母親」としての「初江」の

e: 「どうしてでも言わさずにはおかない」という

F: 子供に対する「意地」を感じます。

e: 「焦り」もあるでしょう?また、母親としての”立場”もなくなる?

F: 夫でありまた父親である「悠次」の手前、

e: 本当の事を聞き出さないと自分の”面子”が立たないという

F: 「母親」としての”面子”をかけた行動なのですね。

 「永遠の都 1 夏の海辺」1997,4新潮社

 加賀乙彦『永遠の都』(『岐路』『小暗い森』『炎都』三部作の総タイトル)全七巻昭和10年代前半の東京山の手の生活を活写。明治人の進取の気象と魅力ある俗物性をあわせもった外科医利平先生はなんともおもしろい。(北杜夫氏評)新潮文庫の新刊

 作者の自伝要素の色濃い小説といわれる「永遠の都」では、昭和初期から戦争を経る時代、作者自身と思われる「小暮悠太」の一家一族の波乱に満ち、また絢爛たる人間模様が描かれる。医者、政治家、実業家、画家、音楽家、弁護士、宣教師等の多士済々な人物たちの個性溢れる生き様、暗い時代の流れに抵抗する大学生、クリスチャン、セツルメント活動家たち。多くの者が戦争による悲しい運命に出会う。

 「雲の都」では、戦争が終わり、成長した「小暮悠太」が医学部の大学生になり、亀有のセツルメント活動の創生期に参加し、底辺に生きる人たちと交流し、メーデー事件で傷つきながらも、勉学に励み、恋愛し、青春を謳歌する。犯罪精神医学を専攻した「悠太」は、拘置所医官となって「宣告」の登場人物と出会うことになる。個性的で逞しく生きる人間模様と「悠太」の成長を描いたこの骨太な一連の作品は、まさに大河小説と呼ぶに相応しく、わが文学史上でも最高傑作の一つであろう。登場する人物たちと織りなす、さまざまな逆境に生きる弱者への作者の眼は限りなくやさしく、私たちに感動と励ましを与えてくれる。(平成18年4月)大河小説「雲の都」本の中から(5)棚田の案山子-日本裁判官ネットワーク

加賀乙彦━永遠の都━

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開成・麻布への国語  わかったね、幼稚園からは真っすぐに帰るのよ  加賀乙彦  ━永遠の都 夏の海辺━  完 

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 小学校に入ったばかりの頃、いつも真っすぐに帰るように言われていたのに、同級の女の子の家に遊びに寄り、つい遊びほうけて、帰宅が遅くなったことがあった。寄り道しただけでなく、その女の子の家は足を踏み入れてはならぬ、父の言い方では、”不潔でバイキンがうようよいる”一角、三之橋の川岸の貧民窟にあったのだ。教室では隣に坐っている女の子は鼻をたらし、垢じみた洗い晒しを着ていた。その日に限ってなぜ女の子の誘いにのったのかわからない。未知のものへの好奇心、探求の気持ちがあったかも知れない。それは、軒が破れ柱が傾いた棟割長屋で、前のドアからひどい腐敗臭がたちのぼっていた。入ってすぐ台所で、その隣の狭い部屋に五、六人の兄や妹たちがいた。ぎょっとした初江に対し子供たちは親切で、すぐ仲好くなり露地におりて、”あずきたった”をして遊んだ。  「あーずきたった、煮たった、煮えたかどうだか食べてみよ、ムシャムシャ」 と鬼の頭をいじくり、、「まだ煮えない」とからかい、「もう煮えた」で鬼を押入れにいれて襖をたたき、鬼が「おばけの音」というとみんながワッと家の外に逃げた。  学校でする鬼ごっこや隠れんぼうより面白く、夢中になっているうちに初江は馴れないので、ドブに転んで、すっかり汚れてしまい、女の子は一生懸命に井戸端で洗ってくれた。もう夕方で、大急ぎで帰ったところ、びしょ濡れの姿を見て、父がひどく怒り、どこで何をしたか詰問された。髪で吊りさげられ頬を打たれたが、初江は頑張って、ついに女の子の家に行ったことを告白しなかった。父のことだから、女の子の家に怒鳴りこみ、頭ごなしに親や女の子を叱りつけるのは目に見えているだけ、女の子のために黙っていた。そう、今の悠太はあのときのわたしに、そっくりだった。

 「悠太」と初江は優しく言った。

 「わかったね、幼稚園からは真っすぐに帰るのよ」

 子供はこっくりした。家が近付くと子供の足が遅くなってにぎっている初江の指をひいた。

 「どうしたの」

 「ぼく、おなかがすいた」

 「お昼にしようね。悠太の好きなコロッケよ」

 子供はまた元気を出して歩みだした。

問 「『悠太』と初江は優しく言った」とありますが、この時の「初江」の気持ちを答えなさい。

e: 結局、母親は折れた?

F: 自分の”過去”のこともあります。

e: それに、”大人”ですしね……

F: 何か隠そうと必死にがんばっているわが子「悠太」の様子を目の当たりにして

e: 「初江」は小学校に入ったばかりの頃

F: 同級の女の子の家に寄って

e: 遊びほうけて、帰宅が遅くなった時

F: どんなに叱られても、どこで何をしていたかを決して言わずに

e: 女の子をかばった時の事を思い出し

F: その時、わが子「悠太」はつくづく自分と似ていると思い

e: もしかして「悠太」も誰かをかばっているのではないかと…

F: そういう風に考えてくるにおよんで

e: 今まで抱いていた”怒り”が溶解してきた?

F: ”怒り”も鎮静化してきて

e: そうすると、今度は”母性愛をくすぐらされて

F: ”いじらしく”なり

e: ”可愛い”という気持ちで一杯になった?

F: かわいさがだんだんとつのってきたということでしょうね。

e: ”コロッケ”で和解成立?

F: 円満解決?e: 親子のDNAには勝てず?かな・・・

 加賀乙彦のライフワークである自伝的長編小説。永遠の都というシリーズタイトルで刊行された三部作の第1部に当たる。時代は昭和10年から11年にかけて、主人公の悠太はまだ幼年でこの巻の動きの中心は祖父利平。元海軍軍医である彼は三田に設けた時田病院をどんどん大きくしていく。長女(主人公の母)は3人のこの母親でありながら義理の甥と不義密通を交わしてしまう。次女は陸軍中尉脇敬助との結婚をあきらめ時田病院副院長との結婚と亡くなった母親の跡を継ぎ病院事務長の仕事を行う決心をする。この編での歴史的大事件は2・26事件。脇敬助はこのことが起こりそうなことを事前に知りながら決起軍には参加せず討伐側に加わる。またこの事件のさなか病院の事務いっさいを引き受けていた利平の妻菊江は主人の愛人を自分の死後この家に入れないように言い残して亡くなってしまう。一癖もふた癖もあるような人物が重なり合うように出てきて話が進んでいく。自伝的小説と言うことであるが自伝と小説の境目は僕には分からないがこのリアルな人物描写はやはりモデルがいる
からだろうか。戦前の激動期で確実にその時代に流れに巻き込まれながらあくまでも一族の話に徹していられるところがすごい。また主人公が幼少なこともありその周りの大人たちを冷静な目で描写していく。これから悠太が大きくなるとどうなるのか楽しみ。(by ちょもの読書日記)

 つらい幼年学校の生活の末、敗戦という結末を迎えたことに深く傷つきながら帰路につこうとする悠太は、自然と二重橋のほうに足がむかう。陛下に挨拶をしようとする人で、二重橋は人だかりだ。そのなかで、若い男が切腹をしていた。腹から腸(はらわた)がはみ出し、唸り声をあげながら短刀で掻き回す様子を、まわりは黙って見ていた。そして男がばったりとすると、周りのみんなが「死んだ、死んだ」といい、誰かが拍手した。というシーンがある。とくに印象深いところだ。(こんなことがあったのか!と私は衝撃をうけたが、後に全くのフィクションだったことが発覚。またしても小説家にだまされた!!)(by この本、面白い?!)

加賀乙彦━永遠の都━

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2016年 国語記述 ラストスパート生 限定募集

秋は中学入試の合否を決する”天王山”ー秋を制する者は入試を征するーと言われる所以です。

 秋は中学入試の『合否』を決する゛天王山゛-秋を制する者は入試を征するといわれる所以です。秋といえば、言わずと知れた徹底した志望校対策に尽きます。と、言っても第2、第3志望校対策も平行して同時進行しなければなりません。その上、最終的な志望校決定の目安になる大手進学塾の合判や学校別合判テスト対策も必要です。しかし、自ら進んでそれらを完璧にやりこなすことはなかなか至難です。だからと言って、塾もそんなにあてにはできません。それらの対策を個人別にはやってくれないからです。秋-最後の追い上げ-ここで、プロチュータの出番です。その効果のほどは絶大です。なぜなら、マン・ツー・マンによる個人対応で上記の対策に対してフォローできるからです。座右の師=プロチュータ-それも、20%の合格可能性を80%にしてしまう゛ミラクルチュータ゛を持つ-これが合格への近道だと断言できます。志望校合格のカギ、それは、徹底した①本命校対策②押さえ校対策③学校別合判対策ができるプロチュータの存在です。キー・ワードは゛一石(師)三鳥(対策)゛!!そして、この秋、ライバルに決定的な差をつけ、゛合格゛の2文字を勝ち取りましょう。

 「国語記述」を苦手とする生徒が目立って多くなってきています(朝日新聞平成8年11月10日付)。その理由は今までの進学塾では決定的な学習対策がなされていないからです。
 ご存知のように、ほとんどの進学塾の場合、来る日も来る日も「切り張りプリント」と「テキスト授業」です。これでは本番に通用する受験生が育つわけがないでしょう。
 そのため、最近の入試では特に御三家・筑駒・駒東中では「国語記述」で合否が決まるとさえ言われています。他の教科では差がつかないからです。また、入試問題では「記述式」が多くなって決定的に差がでてしまうからです。
 「国語記述」を伸ばすにはどうすれば良いのでしょうか?
 それは読書・作文だと言われ、それに反対するつもりはありませんが、入試まであと5ヶ月。もっとすべきことがたくさんあるはずです。
 それは、たとえば、開成中なら「論理性と物語の本質」を、麻布・武蔵中なら「物語の本質」を、筑駒・灘中なら「論理性と詩の本質」を徹底的に理解することです。そこから明快な解答が導かれるのです。それを理解した地点で問題を眺めてみると、こんな易しい問題もないことに気づくはずです。
 すると、従来、たとえば御三家の国語は6割とれれば合格点といわれてきましたが、私たちの指導からすれば8~9割以上とれても不思議ではないことになります。
 御三家レベルの入試はどんな生徒も解いてみなければわからない不確定のものですが、国語における、この2~3割アップが『合格』をより確実なものにするでしょう。難関校では、誰しもよくできる算数や他の教科では差がつきません。指導法が、確立しておらず、知識のつめこみが役に立たない国語記述で合否が決まるのです。
 ここでは徹底した発想力・思考力の養成と学校別対策集中指導で他の受験生と国語記述力で決定的な差をつけます。
 国語記述は短期では差がつかないとあきらめている人も多いでしょう。なるほど知識、特に漢字の学習ではそれが言えるかもしれません。しかし、これだけ毎年傾向が同じ入試問題では対策の方法というものが確実にあります。
 それは感受性とか直観力という曖昧な問題ではなく、あくまで科学的に分析できるものであり、考え方と発想の方法を教えることで短期に習得できるものです。それぞれの進学塾が各学校の入試問題に対する模範解答を出していて、それを見ると各進学塾のレベルが手にとるように分かってきます。
 とりわけ、御三家の国語問題に対する「記述解答」には驚かされます。これでは合格できないであろうと思われるようなもの、あるいは、逆に子供が到底書けないような高度なものが堂々と出されています。ここでは、子供が考えられ、書ける。しかも、合格し得るレベルで指導します。

『開成・麻布・武蔵・駒東・筑駒・慶應・栄光・聖光・灘中への国語』・・・・・・・小6

個人別「オリジナルカリキュラム」に基づき、「カルテノート」「カリキュラムレコード」を作成。万全のフォロー体制。

・開成中への国語記述・・・・・・・・・・・・論説文・物語文の徹底解読と論理と発想力の特訓

・麻布・駒東・武蔵・栄光中への記述・・・物語文の本質の徹底解読と心理分析の特訓

・慶應普・中・藤沢・聖光中への国語・・・論説文・物語文と随筆文の徹底解読と語彙力・文法の特訓

・筑駒・灘中への国語記述・・・・・・・・論説文・随筆文・物語文・詩の徹底解読と論理的思考力の特訓

・櫻蔭中への国語記述・・・・・・・・論説文・随筆文の徹底解読と論理的思考力の特訓

[募 集]・・・若干名 [入会金]・・・10000円 
[期 間]・・・2017年1月末日
[1時間]・・・10000円(教材費・交通費込)  
[教 材]・・・『実物大過去問題(平成元年~28年)・2017年予想問題』  

・早中・早実・早高・海城・巣鴨・桐朋・渋幕・学習院・暁星・成蹊・西大和中への国語・・・・・・・小6

[募 集]・・・若干名  [入会金]・・・10000円 
[期 間] ・・・2017年1月末日
[1時間]・・・7500円(教材費・交通費込)  
[教 材]・・・『実物大過去問題(平成元年~28年ー早高・西大和中は別)・2017年予想問題』)

・開成・麻布・武蔵・駒東・筑駒・慶應・栄光・聖光・灘・櫻蔭中への国語(基礎)・・・・・・・・小5

[募 集]・・・10名 [入会金] ・・・10000円 
[期 間]・・・2018年1月末日
[1時間]・・・7500円(教材費・交通費込)  
[教 材]・・・『学校別記述秋期オリジナルテキスト(基礎)』

 ここでは、読解問題を一律にする指導から脱却し、国語学習の理想環境を設定して、あらゆる教科の基礎である語彙力や考える力そのものの向上を目指すとともに開成・麻布・武蔵・駒東・慶應・筑駒・灘中「合格」に必要な「国語基礎力」を養成します。
 総合的な「受験国語力」をじっくり熟成する上記校受験のための個人指導です。
 「読解、記述指導」と「文章をまとめる力」の徹底指導を行い、本物の「受験国語」とあらゆることの基礎である「言葉で考える力」と「語彙力」を根本的に養成します。

※ご指導までのプロセス
  
①お電話でお問い合わせ下さい。ご面談の日時を決定します。
②ご面談(御父母とお子様)
③ご入会のご検討
④ご入会時に指導曜日・時間を決定します。
⑤「指導契約書」の作成
⑥指導開始

28周年記念特典 入会金無料【お問い合わせ・お申し込み先】感性の知性化を追求する創造的言語グループ
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 <過去並びに現在指導中の私立・国立小学校>

       ー指導人数が多い順にー

精華、国立学園、聖徳学園、淑徳、宝仙、日出〔市川〕、聖徳大附属、成蹊、玉川学園、桐朋、立教、学習院、慶應幼稚舎、光塩、成城学園、暁星、早実、星美、田園調布雙葉、白百合、小野学園、文教大附属、作新学院、聖学院 川村、国立音大附属、洗足学園、東横学園、千葉日本大附属、御茶ノ水附属、筑波大附属、学芸大竹早、学芸大小金井、学芸大世田谷、横浜国立大附属、埼玉大附属、山形大附属

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[募集人数] 10名  1時間 5000円(教材費・交通費込)

ー実物大過去問データベースー算数・国語・理科・社会ー

開成中学昭和49年~平成18年
麻布中学昭和49年~平成18年
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筑波大附属駒場中学昭和51年~平成18年
灘中学昭和51年~平成18年
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販売価格 1教科 1年分  500円~1000円〔解答解説付き〕

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メモ

開成への国語  クラスに<転校生>というものがやってきた  松村栄子  ━001にやさしいゆりかご━ 1

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外の世界では。誰もがおとなになる。恋をする、仕事をする。結婚し、親になる。ただ、変わらないものを透明なカプセルに閉じこめておきたかった…。共に過ごした4人の仲間の物語。「BOOK」「MARC」データベース

《小学校時代》

 あれはたしか三年生のときだった。クラスに<転校生>というものがやってきた。そういうものを受け入れるのは初めての体験だったので、<転校生>はわたしたちにとって<宇宙人>にも等しかった。実際、田辺幹男という転校生は宇宙人の名に恥じない体型を持っていた。背は低いくせに異様に太っていた。全体に頭部も胴体も相似形の肥大したソラ豆状で、目や鼻や口を慎ましく中心に埋め込みながら輪郭だけが無理に押し拡げられたその顔は、少なからず見る者を戸惑わせた。紹介のために教壇にさらされている間、そんな顔に陰鬱さと滑稽さを同居させたままむっつり黙り込んでいる少年は、わたしたちにとって不可解きわまりない存在だった。

 誰かが「ブタナベ」と声をかけたのは、だからなかば必然だったのだ。げらげらと笑うことで戸惑いを解消するほどの知恵はわたしたちにもあったから。すると、彼はまるでそのときを待っていたかのように素早く顔を歪めてみせ、汗か涙かわからない水滴を皮膚の谷間に淀ませた。ただでさえ梅雨のさなかの暑苦しい日だったから、じめじめと気の滅入るような光景だった。

 やってきた初日がそんなふうで、以来ずっと似たような日々だった。宇宙人はわれわれ田舎の地球人が恐れるような力を持ってはいなかった。田辺はいつまでもクラスの馴染む様子がなく、からかわれるのに慣れることも開き直ることもなく、ぷくぷくとした指を思いのほか器用に動かしてちまちまとしたものを作る以外には何にも興味を示そうとしなかった。体育になると蒼ざめた顔でさぼる理由ばかり考え、見透かした他の子たちにかつぎ出されると臆面もなくまた泣いた。男のくせに情けない奴だと見ているだけでわたしはいらいらした。

 問 「宇宙人はわれわれ田舎の地球人が恐れるような力」とは、具体的にはどんなことだと考えられますか。

e: 松村栄子はあまり表には出てきませんね。

F: 芥川賞受賞作家です。

e: 「ブタナベ」ね……「ナベブタ」はありますが…

F: その「ブタナベ」がゲーム界で一躍成功を収める!?

e: やっぱり宇宙人だった!?

F: 「恐れるような力を持っていなかった」と…

e: 田舎の地球人は見抜けなかった!?ところで、どんな物語なんですか?

F: ある女性の小学生から30間近になるまでのかなり長い時間を描いた作品です。メインは大学生の話ですが。

e: 小学生の頃はあんなだったのに、どうしてこうなってああなってこうなっているんだろう、という話ですか?

F: それにひきかえ小学生の頃はいじめらていてどうしよもなかった過保護な肥満児が

e: ゲーム世界で大成功し?

F: さらにはアニメキャラみたいな女の子と結婚できてしまうのか?

e: そういう葛藤を描いた作品ですか?

F: 「女ってやっぱり不利かもね」なんて……

e:ところで、麻布中の入試問題では、少年少女が主人公になるものが多い?

F:平成に入ってからは、平成元年

e:例のあの・・・少年の少女への好意が成就しない?

F:平成3年はお互いに好意をもっている

e:平成5年はこれまた少年の友人の、少女への好意が成就しない?

F:平成9年は兄と妹と・・・

e:少年・少女の心情の読み取り問題は今後も出題されますかね・・・

F:女の子の気持ちについて問われたときに、

e:「僕は男だからわからないです」

F:ではすまされませんね。

e:平成4年の問題のように、少年は登場せず

F:少女と大人たちのみで構成されている長文でした。

e:平成7年には幽霊が登場してきますね・・・

F:「僕は幽霊だからよく読み取れた」

e:なんて受験生はいませんよね、さすがに。

F:重要なのは登場人物になりきる

e:ことではない!

F:【登場人物の言動から、心情を推測する力】が

e:重要!

F:こういう力を日ごろから養成しておくことが

e:大切!

 問 「宇宙人はわれわれ田舎の地球人が恐れるような力」とは、具体的にはどんなことだと考えられますか。

F:さて、この種の設問(語句、表現の説明)は、平成2、4、5、7年に「どういうこと(意味)ですか」という形で出題されています。

e:ここでは転校生(=宇宙人)がやってきたときに、

F:転校生を受け入れる側(=地球人)の一人一人が

e:「恐れる」

F:のはどのようなことかを考えて説明します。

e:じゃ、「宇宙人」ということばにこだわる必要なありませんな。

F:他の地域からやってきて

e:どんな特技を持っているのか

F:どんな言葉つかい(方言)で話すのか

e:未知の部分を多く秘めた人物?

F:ぐらいの意味にとればいいでしょう。

e:直前に「田舎の」ということばがあることから

F:高岡たちは田舎に住んでいることに多少の引け目を感じており、

e:だから、視野の広さを見せ付けられたり

F:キザな振る舞いをされたりするのを

e:恐れていたのではないか?

F:と想像します。

e:設問には”具体的”とありますから、

F:「知識」(流行、一度も行ったことのない場所、まだ習っていないところを知っている、など)と、

e:「行為」(自慢する、格好の良いふるまいをする、自己を強く主張し和を乱す、など)

F:の両面を含んだ解答にします。

e:田辺への印象、

F:「陰鬱」

e:「滑稽」

F:の逆を書くようにすればいいでしょう。

静岡県生まれ。福島県立磐城女子高等学校筑波大学比較文化学類卒業。同大学院教育学研究科中退。出版社、コンピュータソフト商社勤務を経て、1990年「僕はかぐや姫」で海燕新人文学賞受賞、同作品で三島由紀夫賞候補。「至高聖所(アバトーン)」で1991年度下半期(1992年1月)芥川龍之介賞を受賞。

その後、ファンタジー小説『紫の砂漠』とその続編『詩人の夢』や、自身の趣味である茶道を題材としたユーモア青春小説『雨にもまけず粗茶一服』『風にもまけず粗茶一服』などを書く。夫は古代和歌研究者で京都光華女子大学教授の朝比奈英夫。本姓朝比奈。ー松村栄子 - Wikipediaーより引用

001にやさしいゆりかご

松村栄子━001にやさしいゆりかご━

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秋は中学入試の合否を決する”天王山”ー秋を制する者は入試を征するーと言われる所以です。

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 それは読書・作文だと言われ、それに反対するつもりはありませんが、入試まであと5ヶ月。もっとすべきことがたくさんあるはずです。
 それは、たとえば、開成中なら「論理性と物語の本質」を、麻布・武蔵中なら「物語の本質」を、筑駒・灘中なら「論理性と詩の本質」を徹底的に理解することです。そこから明快な解答が導かれるのです。それを理解した地点で問題を眺めてみると、こんな易しい問題もないことに気づくはずです。
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[期 間]・・・2018年1月末日
[1時間]・・・7500円(教材費・交通費込)  
[教 材]・・・『学校別記述秋期オリジナルテキスト(基礎)』

 ここでは、読解問題を一律にする指導から脱却し、国語学習の理想環境を設定して、あらゆる教科の基礎である語彙力や考える力そのものの向上を目指すとともに開成・麻布・武蔵・駒東・慶應・筑駒・灘中「合格」に必要な「国語基礎力」を養成します。
 総合的な「受験国語力」をじっくり熟成する上記校受験のための個人指導です。
 「読解、記述指導」と「文章をまとめる力」の徹底指導を行い、本物の「受験国語」とあらゆることの基礎である「言葉で考える力」と「語彙力」を根本的に養成します。

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メモ

開成への国語  松村栄子  ━001にやさしいゆりかご━ 2

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ブタがきらいだからブタブタって言われていちいち泣くんだ。ブタが好きになればいいんだ。だからいちばん可愛いブタをあげたんじゃないか!

F:さて、今回の文章は三つに分かれています。

e:が、高岡と田辺の「小学校時代」の出来事と

F:二人の「中校時代」の出来事」と

e:大きく二つに分けてまとめてみますか?

F:【前半】 [小学生時代]

e:三年生のとき、高岡のクラスに田辺が転校生としてやってくる。

F:彼は太っており、クラスになかなか溶け込めないでいる。

e:ある日、高岡が、田辺の机の上に、ピンクのブタのぬいぐるみを置いた。

F:田辺はいつものように泣き出し、

e:その場は過ぎたが、

F:反省会で高岡だけが悪者にされてしまう。

e:男まさりの彼女ではあったが、

F:プライドが傷つき

e:みんなの前で泣き出してしまう。

 [高岡はこの時のことを中学に入ってからも忘れなかった。彼女にとってそれほど重大な事件だったのである。]

F:【後半】 [中学生時代]

e:小学校での事件の日以外は、中学に入ってからも高岡は相変わらず

F:田辺に対して優位を保っていた。

e:不覚にも多くの生徒の前で泣いてしまったときのことを、

F:田辺に喋りだされないようにするためだった。

e:ある時、田辺との口論の中で、

F:田辺に自分のあこがれの人を見抜かれていたことを知る。

e:それまで「強い主張や自尊心や意地のようなものが欠如している」

F:と思って見下していた、今までの田辺への態度を見直し、

e:自分は田辺と

F:「大した違い」はないのだということを悟る。

e:しかし、彼への認識を改めた瞬間、

F:彼がもうすぐ転校してしまうことを知る。

 二学期の半ばだったと思う。ある朝、ひとより早く登校したわたしは、どうやって手に入れたのだったかとびきり大きなブタのぬいぐるみを彼の机の上に置いてみた。ピンク色の派手なブタだ。

 先生がやってくるまでの朝のひとときはいつだって騒がしいものだったけれど、この日はブタのせいでけたたましいくらいの騒々しさだった。

 それが廊下に田辺の姿を認めたとたん、一瞬にしてしんと静まりかえった。古い木造校舎の二階だ。級友がみな口をつむぐと、壁の向こうから隣の教室のざわめきがやけに大きく響いた。何かの拍子に小学校について考えるとき、わたしはいつもこの一瞬を思い出す。そんなふうに教室の壁や床や窓の存在をありのままに感じたことは他にはなかったからだ。まるで時間が止まったようだった。窓から二匹つながったトンボが迷い込んできて、普通だったら男の子がそれを追い回さないはずはないのに、このときは誰にも相手にされずにそのまま出ていった。誰も何も言わなかった。ただ、語り草になるであろう名場面を見逃すまいと固唾を飲んで田辺を見つめていた。わたしも机に頬杖をついて彼を眺めていた。

問 「窓から二匹つながったトンボが迷い込んできて、普通だったら男の子がそれを追い回さないはずはないのに、このときは誰にも相手にされずにそのまま出ていった」とありますが、この一文にはどのような効果がありますか。

e: 「二匹つながったトンボ」って、高岡と田辺!?

F: どうでしょうか?

e: 少女剣士の高岡、ぐずの肥満児の田辺

F: 限りなく下降していく線と限りなく上昇していく線

e: が、どこかでくっついている

F: 不思議で

e: 不可解な関係

F: どこか見えない線で絡み合い、繋がっている。

e: 失恋そして永遠の仲間……

 【001にやさしいゆりかご】 松村栄子 著  ベネッセ
 青春時代に過ごした場所に、心休まりたりして落ち着く空間のところが一つや二つは浮ぶだろうか。高校時代、学校帰り友人の家に毎日寄っていた。そこには、優しいお母さんがいつもニコニコして、飲み物とおやつが待っていた。ある時期、毎日のように行っても優しい眼差しは変わらず、友人との会話にも、弁えて入ってるだけであった。まったりとした時間・空間が好きだった。
 青春時代、心安らぎ、友と語り合う場所がキーになる物語である。
 物語は、主人公の女性の小学校時代から大学を卒業して社会人になる作品である。
 主人公の女性が東京の大学に来て、小学校時代に転校して来て転校していったゲームオタクの男、都会育ちの男、高校時代は同じ学校だが知らなかった女の3人が何時しかゲームオタクのマンションに集うようになる。このマンションは、ゲームオタクの両親が転勤で留守なのである。
 このマンションが青春時代のあるときはエネルギーだったり、心癒す場所だったのだ。恋愛があったり、将来のぼんやりとした不安があったり、でもここに来れば精神が少女の頃に戻る感覚になるのだ。
 読後、こんな場所は自分にとってはどこだっただろうか、と考える読者がいるだろう。ー001にやさしいゆりかご [松村栄子] :: モンガの独り言 ーより引用

松村栄子━001にやさしいゆりかご━

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開成への国語  松村栄子  ━001にやさしいゆりかご━ 3

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問 「窓から二匹つながったトンボが迷い込んできて、普通だったら男の子がそれを追い回さないはずはないのに、このときは誰にも相手にされずにそのまま出ていった」とありますが、この一文にはどのような効果がありますか。

e:【表現の効果】を問う設問ですか? 

F:この種の設問は、平成2、4、9年に、「どんな効果をあげていますか」

e:「どのうような効果がありますか」

F:まず、その表現が含まれている部分を注意深く読み、

e:その場面の「どのような状況を表そうとしているのか」を説明すれば

F:”答え”になります。

e:「二匹つながったトンボ」

F:は、「男の子」にとっては

e:確かに珍しいもの?

F:しかし、それよりもっと興味深いことが

e:今まさに起ころうとしていた?

F:それを見逃すまいと

e:皆が田辺に注目していたのだ

F:ということを表現しようとしています。

e:直後の「名場面を見逃すまい」

F:「固唾を飲んで田辺をみつめていた」

e:さらに「皆がじっと見つめていた」

F:から、好奇の目で見ていることがわかりますね。

 太っているからそう見えるというだけでなく、だいたいすべてにおいて田辺は鈍重なのだが、その日もうつむきがちに歩いてきて自分の席に寄るまでブタの存在に気づかなかった。ランドセルを肩から下ろそうと顔を上げたところでようやくハッと硬直した。ほとんど彼の上半身分あろうかという大きなブタが、くるくるっと巻いた小さな尻尾を彼に向かって突き出していた。なかなか愛嬌のある尻尾だった。田辺は不自然な静寂の原因に思い当たったものの、どうしていいかわからなかったのだろう、じっとブタのお尻を見つめていた。そんな田辺を皆がじっと見つめていた。

 やがてこわばった身体の中で、突き出たお腹の肉がひくひくと波うち始めた。かと思うと次の瞬間には、重量級の体躯をわっと椅子に投げ出し田辺は机に突伏して泣き出した。ぬいぐるみはその拍子に飛ばされて、床で大きく二回バウンドした。

 「あーあ」と誰かが言った。チェッと、わたしは舌打ちした。

問 「チェッと、わたしは舌打ちした」のはなぜですか。

 田辺が泣いているというのはクラスでは日常茶飯のことだったから、その日も何事もなく過ぎようとしていた帰りぎわ、いつもなら先生の注意事項が告げられるだけの反省会で果敢にもひとりの女の子が手を挙げた。

問 「果敢にもひとりの女の子が手を挙げた」とありますが、「果敢にも」ということばを用いたのはなぜですか。

e:これは「表現の理由」を問う設問ですね。

F:前後の状況が読み取れているかを問う問題です。

e:まず、「果敢」とは?

F:「思い切って物事を行うようす」であることを頭におきます。

e:そして直前を読むと、

F:「いつもなら先生の注意事項が告げられるだけの反省会」とあります。

e:ということは、「手を挙げた」というのは

F:クラスの慣例を破る行動であるわけです。

e:言いたい事があっても

F:いつも手を挙げる人がいないからといって、

e:遠慮してしまう人もいるかもしれませんね・・・

F:そこで手を挙げて発表したというのは

e:非常に果敢な行為?

F:であるわけです。もう一つは、直後の発表内容に基づいて考えます。

e:高岡については、「気の強い性格」で、

F:クラスでは「いつだってお山の大将だったのだ」などという表現があり

e:また、クラスのリーダー格であった?

F:その彼女を、真っ向から非難するような発言をしたわけですから、

e:これもたいへん果敢な行為ですな。

F:解答にあたり、これら二つの内容を含むのが望ましく、

e:ことに後者の方は重要な内容になる?

イメージ 1

松村栄子 著
私にとって、松村栄子さん作品は神です。
この「001にやさしいゆりかご」も、実は何度読んだかは数えられないくらい読み返した。
今は写経状態。ノートにこの人の本一冊を写すという崇高な作業をしている。趣味です。既に
同著者の「セラヴィ」という作品でもこれをしましたが、とってもいいです。構成、文章、計算しつくされていることが身に染みます。
001・・・はある女性の小学生から30間近になるまでのかなり長い時間を描いた作品です。(松村さんにしてはこの書き方は珍しい)メインは大学生の間の話ですが。
小学生の頃はあんなんだったのに、どうしてこうなってああなってこうなっているんだろう、私。という話。それにひきかえ小学生の頃はいじめられていてどうしようもなかった過保護な肥満児がビジネスで大成功してしまい、さらにはアニメキャラみたいな女の子と結婚までできてしまうのか?(この成功の仕方が本当にありそうな話。ゲームオタクがゲーム王になってしまうという・・・)という葛藤。
30才代半ばから後半にかけての人(特に女性)ならとても共感できるお話です。
悲しいことになかなか松村さんはフューチャーされませんが、巷では文章のうまさに定評あり、
私はどれを読んでも「出来すぎ!!」と感動します。
残念ながら絶版が多いのね。
本屋にも並んでいない。だけど一応芥川賞受賞者だし、図書館には松村作品、あるよ。
機会あればお試しあれ。ー001にやさしいゆりかご - うたかたのメロディ - Yahoo!ブログ ーより引用

松村栄子━001にやさしいゆりかご━

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開成への国語  松村栄子  ━001にやさしいゆりかご━ 4

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 田辺が泣いているというのはクラスでは日常茶飯事のことだったから、その日も何事もなく過ぎようとしていた帰りぎわ、いつもなら先生の注意事項が告げられるだけの反省会で果敢にもひとりの女の子が手を挙げた。

「ああいう意地悪はいけないと思います。田辺くんがかわいそうです」

 事件を知らなかった先生は何が起こったのか詳しく調べ始め、その過程ですでに田辺少年はまたぐずぐずと涙をにじませていた。犯人は誰ですかと先生は訊いた。高岡さんですと皆がわたしを指さし、先生はわたしをにらみつけた。

 「どうしてそんなことをしたの?」

 突然のことにわたしはびっくりして、何が起こったのかよくわからなかった。

問 「突然のことにわたしはびっくりして、何が起こったのかよくわからなかった」とありますが、このときの「わたし」の気持ちを答えなさい。

 「田辺君にあやまりなさい」

 あやまるいわれなどないと思った。

 「高岡さん!」

 皆の注視を一身に浴びた。まるで朝の田辺と入れ替わったようだ。そんなことは初めてで、起こるはずのない事態だった。わたしはひどく傷つき気を失いそうだった。それでも気の強い性格だったからなんとか言うだけのことは言ったのだ。

 「ブタがきらいだからブタブタって言われていちいち泣くんだ。ブタが好きになればいいんだ。だからいちばん可愛いブタをあげたんじゃないか!」

 声を振り絞っていた。いつだってお山の大将だったのだ。人を責めたことはあっても責められたことなどなかった。ましてこんなふうに一方的に非難されたことなどない。ショックのあまり、わたしはワーワーと大きな声で泣いた。すると、ぐずぐず泣いていた被害者もいっそう声のトーンを上げて泣いた。この事態を先生がどう収拾したのか知らない。気がつくと、教室には目を赤くはらしたふたりとピンクのブタが一匹だけだった。

問 わたしが「泣いた」と田辺が「泣いた」ときのそれぞれの気持ちを答えなさい。

e:【動作の気持ち】を問う設問ですな。

F:この種の設問は、毎年と言っていいほど、出題されますね。

e:例えば?

F:平成9年 「『涙が浮かんだ』『涙がにじんでいた』とありますが、そのときそれぞれの人物はどのような気持ちでいましたか。」などですね。

e:動作というのは通常ある目的のためになされるものですね。

F:ですから、その「動作」をする「きっかけとなった出来事」をまず明確にし

e:その「きっかけ」と

F:実際の「動作」ーこの場合は、ともに結果として表れたのは「泣いた」という動作

e:との間にどのような心情が働いたのか

F:を推測すればいいのです。

e:前者は、「一方的に非難された」というのがきっかけとなっていますね。

F:そのときの心情は、「ひどく傷つき」

e:「ショックのあまり」

F:という語句に示されているとおりです。

e:後者は、高岡が「ワーワーと大きな声で泣いた」というのがきっかけになっていますね。

F:田辺はもともとぐずぐず泣いていますが、高岡が泣き出したので

e:「いっそう声のトーンを上げて泣いた」?

F:では、それはなぜか?

e:田辺が「被害者」であるならば

F:高岡は「加害者」であるわけですね。

e:その高岡が泣き出したことによって

F:自分の”正当性”が明らかになり、

e:もう悲しみをこらえる必要なしに

F:おおっぴらに泣けるという

e:心情になった?

F:気をつけたいのは、「いっそう声を上げて泣いた」ときの心情ですから

e:ぐずぐず泣き出した当初の気持ちは書かないようにする?

F:また、全文を通じて田辺の性格を考えると、

e:「高岡が非難されて、いい気味だ」

F:という心情からくるうれし泣きであるとはとらえられませんね。

少女剣士、ぐずの肥満児、

失恋、ゲーム、

大学時代、永遠の仲間


●「001」というのは、「サイボーグ009」の中に出てくる天才ベビー。頼りない赤ん坊みたいな少年を核に、大学生の4人がつながっている関係を意味します。

●いじめられっ子にすぎなかった幼友達が、コンピュータ・ゲームの世界で成功していくのを、かつていじめっ子だった少女が眺めています。彼女は幼い頃、颯爽とした少女剣士だったのに、恋愛を繰り返しおとなになるに従ってどんどん平凡な女性に変わっていきます。人生って、なんか女性に不利な気がするというお話。ー001にやさしいゆりかご | Eiko's worksーより引用

松村栄子━001にやさしいゆりかご━

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 「たーなべクン」

 おもちゃ屋のウインドウをじっと眺めている田辺を見つけて、わたしはふざけた声で呼んだ。

 中学生になって双方同性の友人もできたし、クラスも別だったのに、どこかで顔を合わせれば相変わらずわたしは彼を子供扱いしてなぶった。もちろん、そんなふうに扱われることを田辺は迷惑がっている。そこをさらにかまって彼の子供っぽい側面をさらけ出してみせるのは癖になってやめられれない遊びのようだった。

 うーんとひとりうなりながら田辺は歩き出す。完全にこちらを無視しているくせに、足のほうはごく自然にわたしと歩調が合っている。この無理のないリズムは、他の友人には見られないものだ。そうして歩くわたしたちは幼なじみ以外の何にも見えない。背はまだわたしのほうが高かった。ほっそりしていたので彼と並ぶといっそう高く見える。セーラー服にいちいち着替えるのが面倒で体操着のままだったから、男の子がふたりに見えたかもしれない。学校でもわたしたちが親しいことは知られていたけれど、それで変な噂が立つことは決してなかった。なにしろ一方はがさつなことこの上ない女の子であり、一方は肥満児なのだ。

 実際のところわたしたちは仲がよかったのか悪かったのか、わたしはいつだって彼を一人前の男の子としては扱わなかったし、彼に対して感じていた気安さも、人形やペットになら自分の秘密を打ち明けられるのと同じような種類のものだった。もちろん、その頃そんなことを考えてみたことはない。どちらかというと小学三年生のとき、ともに傷ついた記憶のほうが強く心にかかっていた。何年たっても思い出せば悔しくて涙がにじんだ。

 少なくともわたしにとって、あれは好意でしたことだった。どんなにわかりづらくても、わたしにはわたしなりの考えがあったのだ。気づいてもらえないだけならかまわない。でもまさか問答無用で悪人呼ばわりされるとは思ってもいなかった。正義というものを信じていた小学生のわたしは、あのとき初めて世界から裏切られた。強いはずの自分が思わずひと前で泣いてしまったというのも羞恥に身悶えするようなできごとだった。忘れることはできない。それどころか田辺を見るたびに記憶を新たにしていたくらいだ。けれど、わたしは決してそれを語らなかった。相手が田辺であってさえそのことに触れたことはない。むしろわたしは、彼がわたしの支配下から逃れてどこかでそれを喋り出すのを極度に恐れていたからこそ、いつも自分の力を彼の前にちらつかせずにはいられなかったのだと思う。

問 「いつも自分の力を彼の前にちらつかせずにはいられなかった」とありますが、「わたし」は「自分の力」を、おもにどうすることで見せていたと考えられますか。

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慶應への国語  松村栄子  ━001にやさしいゆりかご━ 6

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問 「いつも自分の力を彼の前にちらつかせずにはいられなかった」とありますが、「わたし」は「自分の力」を、おもにどうすることで見せていたと考えられますか。二点に分けて説明しなさい。

e:””答えを何点かに分けて説明するという形式の問題は

F:最近、よく出題されるようになりました。

e:そう言えば、平成8年ー「三点答えなさい」

F:平成9年ー「三点にまとめなさい」などです。

e:ポイントは?

F:重要な内容、含まれるべき語句が、一点の中に偏らないように

e:均等に書くのがポイントですか?

F:高岡は小学校時代に、不覚にもみんなの前で泣いてしまったことがありましたが

e:そのときの”被害者”である田辺に、

F:高岡が”加害者”であるなどと喋られてしまっては、

e:自分の評価は下がり、

F:「権力は失墜」してしまいかねませんね。

e:そこで高岡は、田辺に対して優位を保つために

F:田辺を「からかったり、かばったり」してきたのです。

e:で、二点に分けたときに中心となるポイントは?

F:「からかう」と「かばう」という行為です。

e:「からかう」という行動は他に「子供扱いしてなぶった」とも表現されていますね。

F:「かばう」という行動は、「わたしの<保護>をうとましがっていた」

e:「彼を保護してやるのは余裕からくる慈悲心だと思っていた」

F:とあることから、「保護」に近いものであることがわかります。

e:ただし・・・ですね。

F:同い年の少女が、少年を「保護」するというのは

e:大げさ?

F:で、田辺が「保護」を「うとましがっていた」ことから

e:「必要以上の世話をやく」?

F:ぐらいに言い換えた方がよいでしょう。

 あの日はどうやって明日から生きていいのかわからなくて呆然としていたから、田辺が何を思っていたかなどほとんど意識の外だった。結局、次の日は何事もなかったようにきれいさっぱり忘れたふりをして登校し、おかげでわたしの権力は失墜することもなく相変わらず彼をからかったりかばったりしながら過ごしたけれども、ぬいぐるみの話はどちらからも決して蒸し返さなかった。そういえば、あのぬいぐるみはどこへいってしまったのだろう。

細い糸でつながれている四人の男女の物語。

脱皮をしたり、好きな人のことを何も知らなったり、足りなかったり、当たり前のことを松村栄子さんはぐさりとくる文章で紡いでくれます。


「脱皮ばかり繰り返してわたしの肌はひりひりしている。もう身につける殻を間違えてはいけない。普通の大学生になって、どんな話にもうまく相槌を打てるくらいに柔軟になって、そうしてわたしを隠してくれる環境を作ってから、したたかに強くなっていけばよい」p.33

「そんなとき、わたしは四人の中に細い糸を通したいと思った。数珠玉を結んでいるそれのように、透き通って見えないほどに細くて、しかも丈夫な糸。おのおの別な方向を見つめていてすぐどこかに散らばっていってしまいそうな四人を肝心なときはここに呼び戻してくれる細い糸」p.96

「もちろん笑顔は何より好きだった。その笑顔がいま目の前にある。触れることもできるという事実に最初の頃はなかなか馴れることができず、ふいにそれがこぼれるとき、いつもぴくりと神経を緊張させた。明日もそこにあるだろうということがいまひとつ信じ切れなかった。」p.150

「恋愛にはもう関心が持てなかった。誰かを好きになってああでもないこうでもないと悩むのは仕事以上に疲れることだ。あんなことをまた一からやり直すのかと思うと、想像しただけで精神が萎えて、少しでも素敵な男性に巡り合うと、ことさらそのひとを避けさえした。恋などしてもひとは美しくなんかならない。エゴイスティックにヒステリックにそして疑り深くなるだけだ。」p.200

「ただひとつ望みがあるとすれば、自分を取り戻したいということだろうか。その望みならときおりぼんやりと頭をかすめる。三十代になって馬鹿げたことだが、わたしにはわたしという人間のほんとうの姿がわからない。わたしはこういう人間だと言える像がない。普段は、キャリア・ウーマンと言えるほど恰好のよいものではないしろ自立したひとりの人間としてそつなくおとなのふりをしている。でも、ふとぼんやりして頭が空白になったような一瞬のあと、自分がどう振る舞うべきなのかをとっさに思い出せず戸惑うことがある。突然笑い出すことも怒り出すことも知らぬふりを装うこともできる場面で、どんなリアクションが自分にふさわしいのか選べずに凍りついてしまう。そんなとき、わたしはどんな人間なのだろうと考え込む」p.212

万里に共感できる女性はとても多いと考えられる。すべてでないにしろ、幼少期の勝気な時期、憧れの先輩に淡い恋心も抱くも自分に劣等感を抱き、行動できない。仲間の裏切り。大学での脱皮。恋愛の醜さ。社会人になり若い頃より生きやすくなっているはずなのに、とてつもない不足感に襲われる。とくに『自分を取り戻したい』というくだりには思わずはっとさせられた。


P.233の文章を読んで、わたしここではじめて万里に対して抱いていた共感が薄れ、『違う』と思った。万里は田辺を見下してるわけではない、優越感をおぼえているわけではない。田辺は001、優秀な赤ん坊。保護すべき対象。この文章から私は『母性』を感じた。

「魔法の杖も聖なる剣もないこの現実世界で、どうやって田辺が姫を守る騎士や侍になれるだろう。不良にからまれただけでもわなわなふるえ出す田辺に、恋人であれ妻であれ家庭であれ守ることができるはずがない。当たり前のことではないか。そんな無力な彼に、十歳も歳下の、世間知らずで甘えることしか知らない少女の相手がいつまでも勤まるものか。赤ん坊と赤ん坊が手を取り合って作る未来などたかが知れている。」p.233ー2012-01-18 - そっと、夜にーより引用

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 田辺がある女の子に好意を抱いていると気づいたのは、その年の夏休みが明けた頃だ。あんなにわたしの<保護>をうとましがっていた彼が、放課後よく目の前に現れるようになった。こちらの部活が済むまで図書館で時間を潰しているらしかった。図書館で宿題を済ませたほうが合理的だとか、貸出禁止の重たい事典に用があるのだとか、田辺としては完璧な理由で防壁を築いたつもりだったろうが、わたしのクラスの子の話を聞きたがったいるのは明らかだった。

問 「田辺としては・・・・・・明らかだった」とありますが、

(Ⅰ) 「防壁を築いた」とは、どういう意味ですか。

(Ⅱ) このときの「わたし」の気持ちはどのようなものでしたか。

e:これは【比喩の説明】でしょう?

F:平成2年、6年に出題されていますね。

e:気をつけなければいけないのは?

F:たとえを含む━━全体を説明するのか、

e:━━一部分だけ説明すればいいのか?

F:ということです。この場合、「防壁を築いた」の部分を説明すればいいのであって

e:全体を説明したものは×?

F:あるいは、「完璧な理由」

e:直前の語句ですか?

F:の方を説明してしまっているものは

e:条件に外れているために不可?

F:(Ⅰ) 「防壁」とは「敵や火・風雨などを防ぐための壁」という意味ですね。

e:田辺としては、高岡のクラスの女の子に好意を抱き、

F:その女の子についての話を聞きたくて放課後遅くまで残っているということを

e:高岡に知られたくない?

F:ですから、「図書館で宿題を・・・・・・事典に用があるのだ」

e:という”嘘”をついて

F:高岡に真意を悟られないようにしていますね。

e:つまり、こういうことですか?”嘘”をつくという「防壁」を築いて、高岡に自分の心の内を悟られるという害を防ごうとしたわけ?

F:ですね。

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e:次に、(Ⅱ) せっかく”嘘”をついて、「防壁を築いた」田辺ですが・・・

F:どんな口実をつけたところで、

e:高岡は田辺の本心をお見通し?

F:田辺の気持ちが高岡にわかってしまうということで

e:高岡が田辺を見下す気持ちが出ていますな。

F:ただですら、「少なくとも自分は田辺よりは優秀な人間」だと思ってきた高岡は

e:バレているのも知らずに・・・

F:一生懸命言い訳する田辺に

e:イイワケナイヨ・・・

F:優越感を感じているのですね。

e:また、その優越感が態度としてあらわれてしまっていますね・・・

F:態度については、この後の設問に出てきます。

 色の白い小柄な少女で、勉強は抜群にできた。校則違反の赤いリボンを髪に結んでいて、ときおり注意されても成績がよいせいかあまり強くは叱られない。先生や男子に対するときだけ声が一オクターブ高くなると言われ、同性の評判はきわめて悪い。たまに上級生の女子が数人、リボンを取れと彼女に詰め寄る場面が校内で見られるけれども、それはハタからはいたいけな美少女が虐められている図にしか見えず、こんなところに出くわすとクラスの男子たちは果敢に上級生と闘ってしまったりして、他の女子を余計いらいらさせていた。

 「ほんっと、おまえって見る目がないな」

 吐き捨てるようにわたしが言うと、彼はまず別に好きなわけではないと甲斐のない言い訳をムキになってし、次にわたしは彼女を誤解しているのだと少女を弁護し始めた。互いに腹立たしくなり、ずいぶん口論した。

 「ちがうよ、みんなに嫉妬されて孤独なんだよ」

 「孤独ぅ?どっからそんな言葉が出てくんだよ。言ってて恥ずかしくない?」

 「孤独なんだ。高岡にはわからないんだ」

 「あー、そうかよ。じゃあ、孤独な美少女にラブレターでもなんでも書きゃいいだろ。そんな度胸、あんのかよ」

 彼がこんなふうに何かを主張するのは初めてだったから、わたしは多少狼狽していた。もういいよ、背をそむけて歩き出す田辺に追い打ちをかけずにいられなかった。

 「書けば?なんだったらあたしが書いてきてやろうか、田辺君をどう思うって。知らないかもしれないな。おまえのことなんか」

 そしてげらげらと下品な声で笑った。

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 田辺はくるりと振り向いてわたしを突き飛ばした。顔が真っ赤だった。声が震えていた。

 「ぼくが・・・・・・、ぼくが、もしも君津さんに高岡のことを聞いたらどんな気がする」

 どきりとした。君津さんというのは剣道部の男子の主将だ。わたしの秘かな憧れをまさかこの愚鈍な田辺に見透かされているとは思いもよらなかったのだ。わたしは見事にしどろもどろになり、何を勘違いしているのだという声に力がこもらず、どうしてそう思うのかとおそるおそる尋ねた。田辺はにじんだ涙を手でぬぐった。

 「いつも君津さんのことを話しているじゃないか。蹲踞の姿勢がいいとか、負けても言い訳しないのが立派だとか、高校から特待生のお呼びがかかってるとか」

 怒りの解けない低い声だった。そうかもしれない。いじけたような田辺をなじるのにいちいち君津さんを引合いに出し、田辺とは無関係なのに君津さんを見習えとさえ言った気がする。うるさそうに聞いていないような振りをして、田辺は全部聞いていたのだし心の中で苦笑していたのだ。口に出してからかったりしなかったのは、同病相憐れむといったような心持ちか、あるいは武士の情けか、いずれにしてもわたしの態度とはえらく違った。

 「・・・・・・ごめん」

 わたしはむすっと呟いた。田辺もむすっと答える。

 「いいよ。言われなくても知ってるよ。デブなんて相手にされないって」

問 「顔が真っ赤だった」とありますが、なぜですか。

問 「わたしの態度」とありますが、どんな態度ですか。

e:【表情の理由】ですか?

F:この種の設問も毎年出題されていますね。

e:よく似た設問としては?

F:平成5年の「二人が『赤い顔』をしたのはなぜですか。」

e:あと・・・

F:平成8年の「なぜ、『顔を赤らめ』たのですか」などがあります。

e:また、笑顔(ほほえみ)の理由を問うものも多い?

F:平成3、4、7年に出題されていますね。

e:ところで、田辺が「真っ赤」顔をしたきっかけとなる出来事は?

F:高岡にからかわれたことです。

e:「孤独な美少女にラブレターでもなんでも書きゃいいだろ」とか

F:「知らないかもしれないな。おまえのことなんか」とか言われ、

e:よく言うねぇ・・・この高岡早紀は!

F:”早紀”じゃないです!?

e:失礼!?

F:そして、そう言われた後に、

e:「げらげらと下品な声で笑」われた訳ですね・・・

F:心の中で「デブなんて相手にされない」と思っていた田辺がどのような気持ちになったか?

e:見当はつきますね・・・

F:直前の「突き飛ばした」という行動や

e:「もしも君津さんに高岡のことを聞いたら・・・・・・」

F:と、高岡のどきりとするようなことを言い返すという行動

e:そして「怒りの解けない」という表情から

F:「怒り」という心情であったことは明らかですね。

e:【きっかけ】→【心情】の順に記述していけば

F:表情や動作の理由は説明できるでしょう。

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